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[オタク社長の機材買ってみた:特別編]Vol.13 「ジャパンキャンピングカーショー2018」レポート

2018-02-13 掲載

txt:手塚一佳 構成:編集部

映像業界最大の機材、それは“自動車”だ!

キャンピングカーショー2018

一般的にPRONEWS読者層が撮影に用いる機材でもっとも大きいもの、それは間違いなく「自動車」だ。実際、撮影車輌の重要性は年々意識が高まっており、特に、機材も搭載でき、出演者の待機場所にも、現場の編集ベースにも使えるキャンピングカーを撮影に利用しようとする場面は年々増加している。米国では、少し規模の大きい撮影にはキャンピングカーが必ず同行する。我が国でも先般のInterBEE2017で、スノーピーク社がトレーラーハウスを出展したのは記憶に新しいところだ。

今回は、ちょっと変わった目線で、日本最大のキャンピングカーイベントの一つ「ジャパンキャンピングカーショー2018」をご報告してみたい。

映像制作におけるキャンピングカーの利便性

筆者の持っていたヨットの内の一つ。ヨットキャビンは最高の作業環境だがマリーナにしか置けないのが不便だ

筆者は、日本ではいち早くキャンピングカーを映像業務に導入し、多くのメリットを受けている。とはいっても実は単に、昔ヨットをやっていて、シナリオや記事仕事など集中を必要とする時には事務所近くのマリーナに置いた自分のヨットのキャビンで仕事をしていた時の名残なのだが、ヨット以上に非常に集中できる作業環境がどこでも手早く得られるキャンピングカーのメリットは十分に理解しており、既に3台目となるキャンピングカーを所有している。

その筆者の経験から、デカければ楽で偉いという普通のレジャー目的のキャンピングカーとは異なり、映像業務向けキャンピングカーに必要なのは、まず第1に「安定した正弦波電源と作業テーブル」、第2に「積載荷物量と生活キャビンの両立」、第3に「出来ればどこにでも入れる車体サイズである事」が重要だ。逆に、トイレは今や各所にあって簡易トイレも充実し、シャワーは日帰り温泉やスーパー銭湯があるので、その辺は全く重要では無い。一般的なキャンピングカーではラーメンの汁を捨てる程度で飾りになりがちなキッチン、というか水回りは、撮影では何かと洗いたいものが発生するのでできればあった方が良い。

筆者がキャンピングカーでやっていたネット生中継。映像用途だけ考えてもキャンピングカーは非常に使い道が広い

電気周りの大幅な改善のあった日本製キャンピングカー

ではまず、電気周りに注目してご紹介しよう。

電気と言えば、近年話題になったのが、軽キャンピングカーながらもちゃんと給電できる仕組みを付けた「オートワン」ブースにあった「給電くん」だ。100V家電製品利用に特化した「給電くん」は、映像制作に必要な電気と作業場所を確実に提供できる。しかもソーラー対応なので電気利用が難しくなる場面は減るだろう。軽キャンパーなので狭いのが難点だが、それもポップアップルーフで解決している。

次に、大手「NUTS RV」のエヴォリューションシステム。これは今まで満充電には向かなかった走行充電を強化することで、アイドリングでも充電可能としたシステムだ。同社製のキャブコンには搭載可能とのこと。

ただし、キャブコンはトラックベースにワンルームの居住部分を取り付けた、モーターホームとでも呼ぶべき大型の車輌で、映像用途としては運用が限られるので注意が必要だ。少なくとも都市部では使いにくい。逆に用途さえ明確ならこれほど便利なものも無いだろう。

また、リチウムイオン電池の使い勝手を良くした仕組みも登場していた。ハイブリッド車などに搭載されているリチウムイオン電池は大変に便利で強力な電源なのだが、その特性上オルタネーターからの不安定な電源では充電がしにくく、いちいちコンセントや専用施設から充電する必要があった。これはキャンピングカーとして使いにくいのはもちろん、映像用途と考えるとかなり問題がある仕様だ。

それをオルタネーターから走行充電可能にしたのが「キャンパー鹿児島 RVトラスト」で、自動車用品大手のオートバックスとタッグを組んで、同社製高級キャブコン「レム レポーズ」に100Vの家庭用エアコンと共に搭載して話題をさらっていた。

本腰を入れて乗り出してきた車輌メーカー

こうしたキャンピングカー架装メーカーだけでなく、いよいよ大手車輌メーカー自身がキャンピングカーに乗りだしてきたのも今回のキャンピングカーショーの特長だ。ここでもキーワードはやはり電気。ハイブリッドや電気自動車で培った蓄電技術は非常にキャンピングカーと相性が良いのである。

まず「日産自動車」。日産は子会社の「日産ピーズフィールドクラフト」を通じて長年キャンピングカーの製作を行ってきたが、いよいよその規模が本格化してベーツ車輌キットとしての提案も大きく行われるようになってきている。

日産ピーズフィールドクラフト社製キャンピングカーとしては、セレナのハイブリッド機能を生かして給電を行う「セレナP-SV」を展示していた。ハイブリッド車であれば当然電気には強いので、これは理想的な選択だ。

日産自動車本体からは、他社に提供するキャンピングカーベースとして、同社製NV350搭載を推奨として、リチウムイオン電池のサブバッテリーシステム「NV350キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載グランピングカー」も提案していた。これもやはり走行充電を意識したものではあるが、ハイブリッド車とは異なり、完全にサブバッテリーとして搭載することで、電気を自由に使える「グランピング」を実現しよう、という仕組みだ。もちろん、映像用途との相性は抜群だろう。今年の後半からこのシステムを搭載した車輌も現れると思われ、非常に期待ができる。

続いて三菱は「西尾張三菱自動車販売」が、定番の三菱製「デリカD:5ポップアップ仕様」の他、「アウトランダーPHEVポップアップ仕様」を登場させ、話題をさらっていた。これも当然にハイブリッド車輌ベースなので、電気を自由に使う事が出来る「家電が使える」次世代キャンピングカーだ。キャンピング架装部分はギャレーなどが弱いが、電気とテーブルがあれば映像用途には充分、さらにポップアップで空間も取れるので、我々に取っては非常に使い勝手の良い選択肢と言える。

他にも日本メーカーでは、キャンピングカーベース車輌の定番中の定番であるトヨタ社が「トヨタモデリスタ」として、ハイエースのベッドシステム搭載型「ハイエース リラクベース」を提案していた。これは、ハイエースにベッドシステムをメーカー搭載し、さらには車体にもクラシカルな塗装を施したもので、普段仕事使いをして、週末はキャンピング、というハイエースキャンプユーザーに一番多い用途に向けて提案されたものだ。残念ながら電気面などは普通のハイエースのままだが、単にハイエースにベッドキットがあれば、という向きには次の機材車の買い換えとして候補に挙がるだろう。

さて、そして今回の車輌メーカー展示の目玉の一つが「メルセデスベンツ」社「V220d ベンツマルコポーロ・ホライゾン」だ。これは筆者も一昨年まで乗っていたメルセデスベンツ社製キャンピングカー、マルコポーロの正規版。そう、ついにメーカー正規ディーラー自らがあのマルコポーロを輸入してくれたのだ!

とはいえ、フルキャンピング仕様車では無く、日本富裕市場向けのキャンピングキットの乗っていない、ポップアップとフラットベッドのみの「ホライゾン」クラスのみの輸入であるが、それでも画期的なことには違いがない。ドイツでは、メルセデスベンツ社やフォルクスワーゲン社がメーカー自らキャンピングカーを出していて、それが非常に高品質で有名なのだが、それがいよいよ日本にもやってきたのだ。機材車というだけでなく、お洒落な接客車としても使いたいという場合には、充分に選択肢になる1台だ。

室内空間と駐車場の両立

機材車兼編集作業車と考えた場合、今度は、如何にして小さい車体に広い空間をねじ込むか、という点が大切になる。

そこでまず紹介したいのが、「Stage21 Redort Duo」ブース展示の「リゾートデュオ ルクシオエグゼ」だ。これは、トヨタライトエースのボディを後方に大きく延長し、延長部分の床面を低くすることで、天井高を低く保ったままキャブコン並みの架装と室内高を実現した車輌だ。

2メートルを切る車輌高さと、5メートルに入る車輌長さなので、なんと、機械式駐車場にも入れることが出来る。デザイン的には昔のワーゲンバスを一回り大きくしたようなクラシカルな雰囲気だ。8ナンバー登録なので、後部座席は横向き座席なのが、またお洒落だ

続いて、キャブコンの屋根全体をポップアップしてしまえばいいじゃ無いか、というのが「AZ-MAX」の「エム ホルーヴァ MIA」だ。これは、ポップアップ機構を入れることでキャブコンなのに209センチの車輌高さにして、都内の立体駐車場利用を可能にして居る。ベース車輌もトヨタライトエースなので、サイズ的には一回り小さい。しかしそこは真四角なキャブコンの作りなので、ポップアップさえしてしまえば非常に広い室内が用意されている。都内で仕事もするが、やはりそこそこ広い作業部屋を運用したい、という場合には、選択肢になるだろう。

軽キャンパーなのに広い室内を実現しようという方向性は、さらに面白い。「コイズミ」は「かるキャンロフト」をリニューアルさせ、「かるキャン コンビ」として、電動式ウィンチで車体後部を変形させる機構を組み込んだ車輌を提案していた。

ごく普通の四角い箱を積んだ軽トラックがあっという間に三角屋根の家に化けるのは、大変面白い。このかるキャンシリーズは変形の都合上ギャレーが小さくならざるを得ないので、調理器具として「アルポット」が提案されていたのも非常に面白かった。これは私もヨット時代から愛用しているアルコール湯沸かし器で、なんと、ご飯も炊ける大変便利な道具だ。あまり派手に火が出ないので、不燃アルミ布を一枚敷いて、換気さえ気をつけていればキャンピングカーギャレーでの利用も可能だ。こういういい道具をさらっと紹介するあたりに本物を感じる。

クラシック回帰も一つの焦点

最後に、折角のキャンピングカーなのだから、やはりクラシックに楽しみたい、という車輌も一つの流れであったことをお知らせしたい。

「ANNEX」の「RIW」ブランドからは、「リュウ ブローニィ」という名称で、かの名車ボンゴブローニィのリノベーションを行い、クラシカルな雰囲気のキャンピングカーとして再生させる、という「キャンピングカー」を提案していた。

元々、日産NV200ベースの「RIW」自身クラシックなキャンプスタイルに不便無く戻ろう!というコンセプトで作られた車輌であったが、そこをさらに一歩推し進めた形となる。パズル的なウッドを多用した収納可能家具類に加え、ギャレーとテーブル、サブバッテリーシステムを導入し、車輌自体のオールペイントも含めたリノベーションパッケージは、クラシカルな雰囲気ながらも、キャンピングカーとしてなんの不自由も無い。さらに、家具類の多くは車輌外に出せるので、バックハッチテントなどを展開すれば、車輌内が広く使える。素早い展開は難しいが、じっくりと腰を据えて撮影する時などにはベースとして必要充分な機能を発揮できるだろう。

そして、なによりも、日本の名車をこういうスタイルで復活できるというのは何よりも嬉しい。日本はどうにも古い車輌を大事にしないところがあるが、こうやって復活させることで、旧車の価値が高まればいずれは文化的な存在にも、と期待してしまう。ワーゲンバスばかりがあこがれのクラシカルでは無いはずだ。

また、今回からは同時開催で「ジャパントレーラーハウスショー2018」も会場内に内包し、建築よりも遥かに早く簡易設営可能なトレーラーハウスを20台以上展示して居たのも印象的であった。ハリウッド映画などではちょっとした長期撮影ともなればこうしたトレーラーハウスでベースを作るのが普通であるが、日本の映像の世界もいずれそういう日が来るのでは無いだろうか?

さて、会場を足早にご案内したが、キャンピングカーという名前でぱっと思いつくような特別にゴージャスな車輌を除いても、これだけ実用的な車輌が揃っているのが今のキャンピングカーの世界だ。

何度も繰り返すが、こうしたキャンピングカーは非常に映像業務との相性が良い。特に、デジタル化された今は、こうしたキャンピングカーさえあれば撮影現場でそのままカラーグレーディング、編集、携帯電話網や公衆Wi-Fiでネット納品、という方法すら考えられる。

もちろん「キャンピングカーは実は映像機材なのだからPRONEWSで紹介したい!」というのは、筆者の趣味が120%入ったかなり無理矢理な企画なのは自分でもよ~~くわかってはいるが、それでもなお、読者諸賢におかれては、是非ともキャンピングカーの世界に興味をお持ち頂ければ、と願う。そして映像業務にキャンピングカーを運用してくれる読者が一人でも現れることを真剣に願っている。いや、本当に使ってみれば便利なんですよ?


WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2018-02-13 ]
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