txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

今注目の「ヒマナイヌスタジオ」とは

セミナー講師を務めた株式会社ヒマナイヌ 川井拓也氏

日頃は、LiveNinjaとして数多くのライブ配信業務を手がけている、株式会社ヒマナイヌ代表の川井拓也氏が新たにスタートした「ヒマナイヌスタジオ」の開設背景について語られたセミナーの様子をレポートしたい。

スタジオの詳しい説明やセミナースライドなどは、川井氏本人による動画がhimagに掲載されているので、そちらも参照してもらいたい。

ヒマナイヌスタジオを作ったきっかけ

多くのライブ配信コンテンツに感じていた違和感は、テレビのバラエティ番組を参照とした、“素人のテレビモノマネ”が多くを占めていること。ストリーミングコンテンツは、ながら見が多いからこそ、つい聞き耳をたててしまうような日常のシチュエーションを参考にすべきと考え、居酒屋や喫茶店で隣のテーブルの面白い会話に聞き耳をたててしまうようなスタジオ作りを構想したという。

スタジオであることを出演者が忘れる空間を作りたい

通常の映像制作は、カメラが一番優先的な場所に設置されるが、ヒマスタでは出演者の居心地を最優先にするために、機材の存在感をなくし、スタッフも不在となる仕組みづくりを目指した。

カメラ位置は全て事前に用意された位置に固定され、出演者の増減や着座位置などの変更には、レンズ交換で対応。トークを行う対面式のカウンターを狙うカメラは、イマジナリーラインを考慮して、一方の壁面にカメラを効果的に配置している。

無人で複数台のカメラをスイッチングするためには、リモート機能やプログラム制御が可能なスイッチャーが必要だったが、以前から使用していた、Roland V-1HDのオートスキャン機能を活用することを思いつき、2年近くの試行錯誤を繰り返しながら、現在のVR-4HDを使用したスタイルとなったという。

現在のメインスイッチャーはRoland VR-4HDを活用

クリアな音声を収録するために、ピンマイクを出演者分用意し、省スペースで絵と音の両方を扱えるようにとメインスイッチャーにはVR-4HDを導入している。

番組の終わらせ方もシンプルにするためにアウトプットフェード機能を使用している。ボタンを押すことで、映像も音声も合わせてフェードアウトしてくれるので終了をワンボタンでできることも重宝しているという。

いかに印象に残る配信を作るか

スマホの小さな画面で視聴する人がほとんどであるという前提から、画面内に入る小物やプロジェクターを活用した背景の工夫も盛んに行なっている。スタジオに設置された100インチプロジェクターからは、BGVとして暖炉の映像など、Amazon Fire TVのアプリケーションから再生している。また、カレンダー(配信した日付)を画面内に入れることでライブ配信・収録であることを強調するなどの工夫をしているという。

今回のセミナーに参加して感じたことは、「個人が発信する映像のためにスタジオを用意する」という新しいスタイル構築ノウハウを惜しげもなく披露しているなぁと感じたことだった。スイッチャーのオートスキャン機能や録画機の自動キャプチャ機能など、省力化をすることで、いままではコスト面で難しかったマルチカメラでの配信収録を、より広いユーザー層が活用できるような方法論と機材選びなど、大変参考になる内容だった。

多くの人の行動や感情が、SNSなどを通じて記録され、投稿・共有されている現代。だからこそ、改めて、対話が生まれる場所を用意し、日常の記憶を残す方法論を構築しようとしているヒマナイヌスタジオの今後に注目していきたい。

ヒマナイヌスタジオ見学ツアーも実施!

また、セミナー終了後にはヒマナイヌスタジオの見学ツアーが行われた。見学ツアーでは普段川井氏のみが入れるバーカウンター内で、参加者が実際に映像のスイッチングやオペレートを行った。その他にも、スタジオ内にある機材のタッチ&トライや、100インチプロジェクターでのサンプル映像の上映、川井氏への質疑応答などが行われた。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。