txt:岡英史 構成:編集部

良きタイミングで面白いカメラ登場!JVCのCONNECTED CAMとは?

JVCケンウッド(以下:JVC)は本当に面白いカメラを良いタイミングで出してくる。HDの時も4Kの時も真っ先に新フォーマットを採用してくるのはJVCだ。特にマルチフォーマットを最初から搭載してるのもJVCが最初だった。とは言え筆者も失礼ながらJVC(当時ビクター)はVHSの終演と共に終わってしまったメーカーと思っていた。そしてその考えが間違いだと気づいたのはHM700の登場だった。HM700は登場時、MOVの収録が出来るMac専用機種(当時のWinベースのNLEでMOV対応はなかった)と思っていたが、それがSxSの対応と共にファームアップグレードでMPEG4(XDCAM-EX互換)が記録できるようになった。そうなってくると当時中型ショルダー機でFHDを記録可能なカメラはHM700しかなかった。

この時期からJVCのカメラはファームアップでユーザーの声に応えてくれる機種だったのかもしれない。HM700の後はHM750、HM850と順当に進化を進めていたが、これだけ型番が変わっているのにボディデザインはほとんど変えておらず、新鮮さは薄れるかもしれないが、操作性は全く同じでエンジンが進化をしているので非常に使い勝手が良く、正に現場主義のカメラだった。

価格も他のメーカーより抑えてあるので、レンズワークがしっかりできるマルチカメラを組むには非常に便利な機種だが海外モデルにはHM790、HM890という品番がある。NABに行くようになりこの型番を確認すると、リターンビデオを入力できる端子がある。つまり別途小型モニターを付けることなくVF上でリターンを見る事が出来た。この機種に関しては帰国後JVCに何度も限定で良いから国内販売をと打診してきたがその回答が限定販売ではなく今回のHC900というカメラの発表という事だった。

CONNECTED CAM

4本アンテナが最大の特徴(前2本はOPのワイヤレスレシーバー)

HC900の最大の特徴はつながる(接続/CONNECT)という部分。ビデオカメラなので色々と接続端子はあり、それらを使って色々な物につなぐことができる。モニター、レコーダー、スイッチャー等々、色々な機器にSDIやHDMIケーブルを使って接続するが、HC900の場合ワイヤードの他にワイヤレスでも接続が可能で、しかもRJ45端子を装備しており、LANケーブルを使ってIP接続が可能だ。簡単に言えばライブストリーミングを出しながらリターンビデオ/オーディオを双方向で受ける事ができるということだ。これで低価格のIPスイッチャーが販売されれば、ミドルレンジでのマルチカメラ収録は大きく飛躍する。

もちろんJVCが販売しているIPソリューションの核でもあるStreamstarシリーズを導入すれば簡単にIP化も可能だ。そしてIPは何もワイヤードだけではない。HC900に標準装備されている後部のアンテナは無線LANのアンテナなのでこれを使えば簡単に伝送が行える。最も遅延問題があるのでライブストリーミングでのマルチカメラに使うのはチョット難しい部分もあるが、既にJVCが海外で展開しているIPサーバーのソリューションを使えば、同じネットワーク内の信号を一番遅延のあるものに統一するために、遅延によるスイッチングの障害は回避できる(使用環境による)。

またコネクト部分が必要なければWi-Fiユニットを取り外し、専用SSDを装着する事でより長時間の収録が可能となる。既存のSDスロット含めて同時に3か所で同じ収録ができるのは安心感がある(2019年実装予定)。せっかくのマルチフォーマットカメラなのでSDスロットとSSDスロットで異なるフォーマットが記録できれば使い勝手もぐっと増えるはずだ。

FHDカメラとしてのHC900

コネクト部分が一番の売りであるHC900だが、デモ機をお借りしたPRONEWSのInterBEE2018取材時にはまだ100%の実装はされていなかった。特に無線LANの部分はリミッターが掛けられているのかしっかりと本来の機能は試す事が出来なかった。とはいえ日本国内だと無線LANの出力も絞られているので海外程のパワーが出せないのは非常に残念だ。

ではFHDカメラとしてのHC900はどうなのか?新開発の画像処理エンジンと2/3型 220万画素プログレッシブCMOSセンサーにより、F12と言う高感度に加えS/N比62dBの低ノイズを実現している。数字的にはXDCAMとほぼ同じだが実際の見た目はもう少し明るく感じられた。現状でFHDカメラとしては一番明るいカメラと言う事で間違いは無い。記録フォーマットとしては2種類あり、H.264/MPEG4とXDCAM互換のMPEG2を搭載。4:2:2/10bitは最早スタンダートな仕様という事だろう。できればサイズが軽くて取り扱いの楽なAVCHDも搭載があるとより仕様の幅が広がるはずだ。

更にJ-LogはもちろんHLGも搭載し、高ダイナミックレンジ、広色域なHDR収録にも対応している。また音声も最近はデフォルトとも言える4ch収録が可能。アナログ端子は前面にキャノン5P(ステレオ)と後部にキャノン3Pを搭載。ワイヤレススロットにはUNIスロットを採用しているのでRAMSAやAZDEN等のデジタルからアナログ迄各種対応レシーバーをマウントする事ができる(筆者はAZDEN製のレシーバーをセットしている)。

記録
フォーマット
形式 解像度 フレームレート ビットレート
HD QuickTime/MXF
(MPEG2)
1920×1080 59.94i/29.97p/50i/25p 35Mbps(HQ)
1440×1080 59.94i/50i
1280×720 59.94p/50p
1440×1080 59.94i/50i 25Mbps(SP)
QuickTime
(H.264)
1920×1080 59.94p/59.94i/29.97p/23.98p/50p/50i/25p 50Mbps
(YUV422/XHQ)
1280×720 59.94p/50p
1920×1080 59.94p/59.94i/29.97p/23.98p/50p/50i/25p 50Mbps(XHQ)
1920×1080 59.94i/29.97p/23.98p/50i/25p 35Mbps(UHQ)
1280×720 59.94p/50p
SD 720×480 59.94i(16:9、4:3) 8Mbps(HQ)
720×576 50i(16:9、4:3)
WEB 720×480 59.94i(16:9、4:3)
720×576 50i(16:9、4:3)
960×540 29.97p/23.98p/25p 3Mbps(HQ)
480×270 1.2Mbps(LP)
High-Speed QuickTime
(H.264)
1920×1080 120fps 59.94p/29.97p/23.98p 50Mbps(XHQ)
35Mbps(UHQ)
100fps 50p/25p
60fps 29.97p/23.98p
50fps 25p

現場での使用感

短い期間ではあるが数か所の現場に持ち込んで見た。一応サブ機扱いでの持ち込みだったがやはりいつもの通り何の問題もないと判断し、メインでの取材に現場で格上げされた。スイッチ類は第二世代ENGカメラのスタンダートとも言えるXDCAM機種とほとんど同じ場所に同じような配置で並んでいるため、そのままブランドタッチでオペレートしても特に迷う事は無い。

SW類の配置は某社のショルダーカメラとほとんど同じ

サイドのLCDはピクチャーモニター含めた色々な情報が表示可能

重さ的にはストリップ状態(本体のみ)でカタログ値は4.1kgなので非常に軽い部類に入るがこれにバッテリーやレンズを組み合わせるとそのボディの大きさに見合った重量感にはなる。その為ハンディで背負って行っても心地よい重さは画に安定性が生まれてくるのはENG担いでいる方ならおわかりだろう。実際にはバッテリーとレンズを付けての運用重量になると8~9kgと言う感じだろうか?イメージ的にはPMW-320よりチョイ重いかなという感じだ。

それに合わせる三脚として純正のキットレンズならManfrotto Nitrotech N12でOKだが、放送用のショートズームレンズやチョイ長めの標準ズームだとVinten System Vision 100 FT MS with Flowtech 100の方が相性は良かった。この手のショルダーカメラにしてはカメラの高さが低く抑えられているためカメラを担いでも右側の視界はしっかりと確保されている。

背面の意味ありげな蓋が!3G×4本=12Gなのか?!

総評

4Kの時代にいまさらFHDの新機種はどうなのか?と思う方も多いと思うが、やはりすべてが4Kになるにはまだ時間が掛かる。SDからHDに代わるときも同じだったが、未だにDVDのコンテンツが多い中、質の良いFHDはまだまだ需要がある。特にHD第一世代のHDCAMはそろそろ引退時期だ。HC900ならコストも抑えられ、さらに画質もFHDでは最高のカメラなので乗り換えるには最適なはずだ。B4マウントレンズやVマウントバッテリー等、HDCAMの資産はそのまま受け継ぐことが出来る。もうしばらくFHDの時代は続くだろう。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。