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[染瀬直人のVRカメラ最前線]Vol.03 360°キャプチャとアクションカメラの境界を超える~ Insta360 ONE X最新アップデートレビュー

2019-01-15 掲載

Insta360 ONE X

2018年10月、中国・深圳のArashi Visionから、コンシューマー向けVRカメラのフラグシップ機「Insta360 ONE X」(以下:ONE X)が発売された。初代ONEが2017年8月発売だったので、1年2ヶ月ほどで後継機が登場した格好だ。

発売後も機能が順次追加されているので、ここでは最新のアップデート情報をフォローしながら、ONE Xについて紹介していく。

5.7K動画撮影に対応

ONE Xは、1/2.3インチのセンサーと、画角200°のF2.0のレンズをデュアルで搭載。5.7K(5760×2880)30fpsの動画と、7K(6080×3040)の静止画をサポート。静止画のサイズは若干減少したが、動画のサイズがアップした。動画のファイル形式はinsvとmp4、動画コーデックはH.264、各レンズのビットレートは50Mbps、最大ビデオビットレートは120Mbpsである。視聴者が視聴範囲を制御できる360°ライブ配信も可能だ。

本体の見た目は大きく変わり、レンズが水平の同軸上に配置され、これによりステッチの精度が向上した。

新たにボディにディスプレイが設置され、撮影モード、画質の設定、その他の詳細設定、バッテリー残量まで、ディスプレイで確認できるようになったのは便利だ。日中の屋外などでは、液晶が見えづらい場面があるが、スマホがなくてもカメラ単体で撮影ができる範囲が格段に広がった。また暗所の撮影時にLEDをオフにしておけば、光害も防げる。

ディスプレイに設定の表示がされる

初代では、Bluetoothで端末と通信してカメラを操作するのみだったので、できることが限られていたが、ONE XではWi-Fi接続にも対応し、モバイル端末のアプリからリモートでプレビューしながら撮影したり、撮影モード、ISO感度、EV値、ホワイトバランス、シャッター速度などのパラメーターの設定をしたり、無線で写真を転送することが可能になった。

初代に内蔵されていたiPhoneに直結するためのLightning端子は廃止されたが、Micro-USB to Lightningケーブル、Micro-USB to USB Type-Cケーブル、Micro-USB to Micro-USBケーブルがパッケージに同梱されており、それらを使用することで、iOSでもAndroid機でも接続が可能になる。Wi-Fiの通信が不安定な場合でも、いざとなれば有線接続ができるのは非常に安心だ。

Micro-USB端子に、ケーブルでデバイスと有線接続が可能に ONE XとiPad ProをMicro-USB to Lightningケーブルで接続

スペックが上がった分、バッテリーの減りが早い印象を持ったが(動画の撮影時間は公称60分)、付属の1200mAhのバッテリーは、本体の側面から取り出して交換可能な仕様になっている。1日じっくり撮影するつもりなら、予備バッテリーは必須であろう(別売りバッテリーが追って発売された)。5V2Aの電源さえ給電できれば、バッテリー抜きでも使用できる。

1200mAhのバッテリーは、取り外し可能

当初、電源ボタンを軽く押すだけでオンになってしまい、移動中バッグやポケットに入れていると、知らないうちに電池が消耗してしまったことが何度かあったが、発売後まもなくのアップデートで、長押ししないとオンにならない仕様に変更された。ストレージはmicroSDカードのUHS-I、V30以上、最大128GBが使用できる。

microSDカードを挿入して使用できる

スタビライザーをはじめとする多くの機能を実装

Insta360の持ち味のひとつ、FlowStateは今回のONE Xにも搭載されており、本体に6軸のスタビライザーが内臓され、これにより手ブレを強力に低減する。

FlowState作例

タイムラプス、ハイパーラプス、インターバル撮影が可能。また、3K@100fpsで撮影した素材から作りだすバレットタイムも健在で、書き出しの動画サイズは3Kに上がっている。コンシューマー機なのに、動画ではLog、静止画ではRAW(dng)に対応している。Log用には、適用できるLUT(v1.0.0)が用意されている。

Log動画作例

さらに昨年12月に公開されたアプリのアップデートで動画のHDR撮影が可能になった。360°撮影では、画面内にハイライトからシャドウまでの幅広いダイナミックレンジを網羅する場合が多いので、白飛び、黒つぶれを回避してデティールを滑らかに再現するために、これは有用な機能である(HDR動画撮影では、5.7K@25fpsになる)。

HDR動画作例

編集で360°撮影の自由度を最大限に活かす

ONE Xで撮影した動画や静止画は、iOS/Android用アプリのInsta360 ONE X Camera Control Appか、Windows/Mac OS用のソフトウェアInsta360 STUDIO for ONE X Betaを使用して、編集・書き出しを行うことになる。

モバイルアプリの書き出せる最大解像度は4Kだが、パソコンのソフトからはカメラの最大スペックとなる5.7K動画の書き出しが行える。

アプリでは、Optical Flowの処理はスマホの性能の限界から、静止画のみ可能で、動画ではできないが、見せたいアングルを書き出したり、被写体を追尾できるフリーキャプチャや、動画のスピードをコントロールして、早送りのハイパーラプスや、強調したいところをスローモーションで見せるなどの「タイムシフト」を手軽に実現できる。ハイパーラプスは少し前まで、三脚を用いながら、静止画のシャッターを押しては一歩ずつ進んで、あとで動画化するといった地道な作業で作られていたが、ここまでシンプルにできるとは隔世の感がある。

タイムシフト作例

一方、パソコン用のInsta360 Studio for One Xは、現在ベータ版となっているが、インストール時に「Adobe Premiere用プラグイン」を選択すると、Premiere Pro内でステッチや安定化の機能が可能になるので、ステッチからポスト編集までのフローが非常にシンプルになる。ゆくゆくは従来のInsta360 Studioの完全上位ソフトウェアになる予定だという。

Insta360 Studio for One X Betaのインストール画面

豊富でユ二ークなアクセサリー

アクセサリーもユニークなラインナップが揃っており、自撮り棒のほか、バレットタイム用のハンドル。Bluetooth対応コントローラー。水深5メートル以内で使用できる防水用ベンチャーケース。水下30メートル以内、IPX8級の潜水用ダイブケース。”擬似空撮”も可能とする3mの自撮り棒などが別売りで用意されている。

3m自撮り棒による擬似空撮作例

この他、近日発売予定の「ドリフトダーツ」は、ONE Xをこれに取りつけて、放り投げて、ハイフレームレート撮影を行うという前代未聞のユニークな撮影スタイルが提案されている。

同じく発売予定のGPSスマートリモコンは、リモートのコントロールが可能であると同時に、写真や動画にスピード、高度、方向などのGPS情報を自動的に同時記録し、Googleストリートビューにアップロードできるアクセサリーだ。

近日発売予定の「ドリフトダーツ」

総括

アクションカメラとしてのアプローチから、360°カメラを極めるという初代からの基本コンセプトは変わらぬものの、ONE Xのリリースにあたり、見直された点は非常に多い。動画解像度は4K(30P)から5.7K(30P)にアップされ、GoPro Fusionを凌いでいる。

しかし、スペックのみならず、あらゆる面でユーザーからの要望を徹底的に反映して、使い勝手を良くして仕上げられている点に着目すべきだ。そして、非常にコンパクトで軽量(バッテリー込みで115g)に設計されているので、携帯して、動きのある撮影に用いるにはとても良い。コンシューマーから、プロまで、幅広いユーザーを楽しませる機能が満載されているので、使っていて飽きることがない仕上がりになっている。


WRITER PROFILE

染瀬直人 写真家、映像作家、360°VRコンテンツ・クリエイター。日本大学芸術学部写真学科卒。勉強会「VR未来塾」を主宰し、360°VR動画のセミナー、ワークショップなどを開催。


[ Writer : 染瀬直人 ]
[ DATE : 2019-01-15 ]
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