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[DaVinci Resolveで始めるカラーグレーディング]Vol.05 カラー調整の基本(その4:色相vs色相カーブ+ウィンドウのトラッキング)

2019-01-29 掲載

txt:小島真也 構成:編集部 図00_01

前回取り上げた「カスタムカーブ」は、Adobe Photoshopのトーンカーブに良く似た機能と操作方法だった。主にプライマリーで映像全体の色相(色調)やコントラストの調整に使われる。カーブの残りは以下の5種類があり、主にセカンダリーのカラー調整をする時に、特定の限られた領域(ターゲット)を調整・変更するツールだ(図00_01)。

  • 「色相vs色相」
  • 「色相vs彩度」
  • 「色相vs輝度」
  • 「輝度vs彩度」
  • 「彩度vs彩度」

(1)使用頻度の高い「色相vs色相」「色相vs彩度」に加えて…

今回の監督の意向は、「交差点を横切る黄色い車両(小型トラック)が、視聴者の注意を引き過ぎてしまうので、目立たなくしたい」というもの。具体的な調整としては、周囲と馴染ませるために車両のボディ色を青色系に変更し、さらに彩度も落とすという処理が必要だ。つまり、今回の「ターゲット」は車両の黄色いボディ色である(図01_01)。

図01_01
※今回はターゲットが移動するので、ムービーファイルを用意した。こちらからダウンロードして実習にご活用いただければと思う

色相vs色相カーブは、ターゲットとなる色相を、まったく別の色相に変更してしまう強力なツールだ。今回はカーブだけでなく、移動するターゲットを「ウィンドウ」を使って囲い、そのターゲットを追尾する「トラッカー」も利用する(図01_02と図01_03)。

図01_02 図01_03

(2)最初は色相vs色相カーブ

カーブ・パネルのポップアップメニューから「色相vs色相」を選ぶと、映像上のカーソルがスポイト形のアイコンに変わる。そのスポイトを車両のドア付近に移動してクリックすることで、ターゲットの色相を抽出できる。カーブのグラフを見ると、3点のポイントが現れる。抽出されたターゲットの黄色をセンターポイントとして、左右両側にもポイントされる(図02_01)。

図02_01

(3)ボディ色を黄色からシアンに

センターポイントを図表を参考に少しづつ上方にドラッグすると、ボディ色がマゼンタ→紫→シアンへと変化するのがわかるだろう(図03_01)。

図03_01

この時点で一度、ボディ全体がすべてシアンに変更されているかを確認してみる。スポイトのワンクリックだけでターゲットの領域がすべて選択されることは稀だ。今回の例題でも塗り残しのような“まだら模様”になっていることが分かるだろう(図03_01)。

(4)ターゲットの領域を広げて塗り残しを無くす

ターゲットの領域を広げるには、左ポイントは左へ、右ポイントは右に、それぞれ少しづつ広げてゆく。ポイントの操作は、映像のターゲットをよく観察しながら行うこと。今回のように左右のポイントを広げてもまだ塗り残しがある場合は、センターポイントをもうひとつ追加して選択範囲を拡大すると良い。これで黄色い車両のボディがシアン色に変更された(図04_01)。

図04_01

(5)次は色相vs彩度カーブの調整

色相をシアンに変更するだけでは、クライアントの「目立たなくする」という意向には不充分だろう。つづいて「色相vs彩度カーブ」を使って、同じターゲット領域の彩度を下げることにする。カーブ・パネルを「色相vs彩度」に切り替えて、シアンに変更されたボディをスポイトしてターゲットを抽出する。

図05_01

「色相vs彩度カーブ」はポイントを持ち上げれば彩度も高く、色鮮やかになる。逆にポイントを下げれば彩度は低くなり、モノトーンに近づいてゆく。上図を参考に左右のポイントを広げ、センターポイントを追加して押し下げてみる。車両ボディの彩度が段々と低くなり、グレーに近づいてゆくのがわかるだろう(図05_01)。

(6)カーブだけでは他の領域にも悪影響が出る

ここまで処理してきて、カンの良い方々はすでにお気付きと思う。車両ボディ以外の領域にも、色相と彩度の変更の悪影響が出ているのだ。特に右端のビル壁面は黄色いボディの色相と近かったため影響が強く出てマゼンタに変色してしまった(図06_01)。

(図06_01)※作業中のノードの処理前・処理後を見比べるには、メニューからカラー/ノード/選択したノードの有効化無効化を使うか、ノードの番号をクリックして処理前/後を切り替える

(7)ウィンドウを使って効果の範囲を限定する

処理した調整や変更といった効果をターゲット領域だけに限定するには、「ウィンドウ」を使って囲ってしまうのが良い。

ちなみにDaVinci Resolveのウィンドウは、他のソフトではシェイプやマスクと呼ばれている。ウィンドウ・パネルに切り替えると四角形、円、多角形(線の形)、ペン、グラデーションのアイコンが並んでいるので、車両の形状に似ている四角形を選ぶ。映像の中心に三重の線に囲まれた四角形ウィンドウが現れたら、ターゲットである車両を囲むようにウィンドウをドラッグ移動する(図07_01)。

図07_01

(8)ウィンドウの変形と境界線のボカシ

図08_01

(図08_01)を参考に、四隅の白丸をドラッグしてターゲットである車両に沿うように変形させる。つづけて紅白丸をドラッグして効果の及ぶ境界のぼかし幅を調整し、周囲と馴染ませる(中心から伸びている縦線は回転ツール)。これで色相と彩度の変更は、ウィンドウの内側だけに限定された。

(9)車両の動きに合わせてウィンドウを追尾させる

ターゲットは下手(しもて)から上手(かみて)に移動するため、ウィンドウもターゲットを追尾(トラッキング)させる必要がある。トラッカー・パネルを開いて、再生ヘッドが先頭に来ていることを確認する。順方向(右向き三角形)ボタンをクリックすると、ターゲットの動きに合わせたトラッキングを開始して、ウィンドウサイズや回転などを自動的に計算する。

その結果はグラフとして表示される。確認のためにもう一度クリップの始点から再生し、問題なければ車両の色相と彩度の変更は完了である。

なお、今回の車両ボディ色の色相と彩度の変更は、すべてをひとつのノード(車両の色変更ノード)で処理している。つづけて別のターゲットを処理する場合は、シリアルノードを追加して作業の切り分けをしておくことをお勧めする。仮にクライアントからの修正指示があった時でも、処理が区別されていれば探す手間も省けて対応も容易になるだろう。


WRITER PROFILE

小島真也 写真家、撮影監督。赤坂スタジオを経て、篠山紀信氏に師事。1990年に独立後は雑誌、広告界にて人物、ドキュメンタリーを中心に写真家活動。動画へのきっかけはFinal Cut Studio 5.1を導入し映像編集を始めたこと。商業映画や自主映画では撮影監督として撮影・照明・カラーグレーディングを担当し、TVドラマでは撮影部として参加。


[ Writer : 小島真也 ]
[ DATE : 2019-01-29 ]
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小島真也 写真家、撮影監督。赤坂スタジオを経て、篠山紀信氏に師事。1990年に独立後は雑誌、広告界にて人物、ドキュメンタリーを中心に写真家活動。動画へのきっかけはFinal Cut Studio 5.1を導入し映像編集を始めたこと。商業映画や自主映画では撮影監督として撮影・照明・カラーグレーディングを担当し、TVドラマでは撮影部として参加。


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