txt:岡英史 構成:編集部

JVC発リトルモンスター

小さすぎない筐体は取り回しがしやすい

2018年後半からミドルサイズのハンドヘルドと並行してスモールサイズのハンドヘルドカメラも進化が著しい。先陣はやはりSony PXW-Z150だ。4Kディレクターカメラの定番だったX70(Z90)にレンズワークを出来るようにリングを追加したもの。同じくCanonもXF405を登場させた。この2台はCMOSに1inchセンサーを搭載しており、その画質は殆ど同じ、つまりレンズ含めたパッケージの大きさも同じ様なサイズ感、その映像も殆ど同じ質感と言って良い。

JVCは既にこのサイズ感のカメラとしてGY-HM250を投入しているが、このカメラは何方かと言えばライブ配信寄りの機能が搭載しており、その分価格も上乗せされているのだが、その機能を使うユーザーの絶対数は少ない。筆者も同じことを思っていたらなんとこの配信系の部分をバッサリ外したモデルGY-HM175が登場した。

スモールサイズは様々な現場にワンマンで行ける

このカメラは配信系の部分をバッサリ切り取った分消費電力も下がり、バッテリーも業務用の専用品から民生機でも使用されている物に代わった。意外とこの変更は現場的には家電量販店でも購入が可能なため、何かあった時に買いに走れるのがうれしい。そして一番の特徴はそのコストパフォーマンスだろう。4Kが撮れる業務用カメラが17万円前後という破格の値段だ。これならばプラス1台としても導入しやすい。

シンプルかつ解りやすい機能

取り外し可能なトップハンドルとHMシリーズ共通なスイッチ類はわかりやすい

筆者は以前GY-HM100を使っていたが、スイッチ類はその時からの配置とほとんど変わっていない。HMシリーズを使ってる方なら初見でもブランドで操作できるだろう。逆にメニュー構成はGY-HM600シリーズと同じなので2台目として購入しても取説読むことなく機能の8割は使えるはずだ。

収録フォーマットは以下の通りでJVCお得意のマルチフォーマットだ。ここで注目したいのは4Kで70Mbpsのビットレートを選択できることだ。特に4:2:2/10bitのような高詳細な4Kを必要としないのであればこの小さいビットレートは使いが手が良い。ほとんどAVCHDと同じ負荷で使えるので今のNLEをアップグレードすることなく使う事ができる。

レンズはF1.2から始まる明るいのが特徴、光学12倍ズームはFHD時には×2の電子エクステンダーもシームレスで使えるため、最長24倍相当になる。音声は2ch収録だがリミッターの値を変更する事が可能。カメラ後部にミニステレオジャックのAUX入力があるので小型ワイヤレス受信機の音声をダイレクトに入れる事もできる。映像出力はSDIとHDMIを両方装備し、もちろん両端子から同時に出力も可能となる。

シンプルなメニュー設定、ユーザーアサインはボタンに6個十字キーにも割り当てが可能

WBはA/Bchの他にプリセットでも2個登録できる/small>

プリセットは各々数値で設定が可能となる

特徴的な色調整は視覚的にわかりやすく、他メーカーとの色合わせも簡単に出来る

■フォーマット一覧
記録
フォーマット
形式 解像度 フレームレート ビットレート
4K QuickTime 3840×2160 29.97p/25p/23.98p 150Mbps/70Mbps
HD QuickTime 1920×1080 59.94p/59.94i/50p/50i/29.97p/25p/23.98p 50Mbps
(YUV4:2:2/XHQ)
59.94p/59.94i/50p/50i/29.97p/25p/23.98p 35Mbps(UHQ)
1280×720 59.94p/50p 35Mbps(UHQ)
AVCHD 1920×1080 59.94p/50p 28Mbps(HQ)
59.94i/50i 24Mbps(HQ)
17Mbps(SP)
SD QuickTime 720×480 59.94i 8Mbps(HQ)
AVCHD
WEB
(PROXY)
QuickTime 960×540 29.97p/25p/23.98p 3Mbps(HQ)
720×480 59.94i 8Mbps
720×576 50i
480×270 29.97p/25p/23.98p 1.2Mbps(LP)
AVCHD 1480×1080 59.94i/50i 9Mbps(LP)
5Mbps(EP)
720×480 59.94i 8Mbps
720×576 50i
High-Speed QuickTime 1920×1080 120fps 59.94p/29.97p/23.98p 50Mbps(XHQ)
35Mbps(UHQ)
100fps 50p/25p
60fps 29.97p/23.98p
50fps 25p

メーカーHPより引用

実践投入

この手の小型カメラはコンパクトな現場でワンマン運用がポイントだろう。最近流行りの企業系セミナーや短い尺のコメント撮りには正に打ってつけだ。筆者も同じような現場に投入してみたが今までDVX200をHM175に入れ替えるとその荷物の嵩は非常に圧縮でき、半分程度の物質量でも可能な場合が多い。ライトパネル2灯を使う場合でも、カメラキャリーバックとバックパック分の荷物でカメラ・音声・ワイヤレス・照明までワンマンで運び込む事が可能だ。

また、NX5Rサイズのカメラを2台入れるような現場では、HM175なら同じ荷物量で3カメ分が可能。さらに、もう一つバックパックがあればスイッチャー関連の機材も同時に運びこむ事が可能なサイズ感だ。レンズ周りのリングはフォーカスとズームの二つ、アイリスは前面の小型ダイヤルになる。AFはSonyほどの正確さはないが、十分及第点と言えるレベルだ。リモコン端子はLANC互換のため、対応の物ならほとんどが使用可能。メーカーHPには推奨品が掲載されている。筆者はLibec ZFC-5HDを使用しているが、そのすべての機能が使用可能だった。

総評

20万円以下で購入できる業務用4Kカメラという立ち位置はJVCならではの部分だと思う。バッテリーが民生機互換というのは前記したが、本体も業務機を専用に扱っている販社だけではなく、一部の家電量販店でも購入が可能というのも面白い。とはいえその性能は間違いなく民生機とは一線を画している。撮像素子が流行りの1inchではなくもう一回り小さい1/2.3inchなので深度が深くピントが取りやすい。この手のカメラでボケ味のある映像よりもパシッと撮ることの方が多いはず。

サイズ的にはPXW-X70とXF405の中間的なサイズ感。手の小さい女性ではやや大きく感じる事もあるかもしれないが、一般成人男性なら大きいと感じる事はない。またJVCのカメラの特徴としてFHDならSDカードをほぼ選ばず記録ができることだ。最悪コンビニで購入した低速度のSDカードでもなんとか現場を凌げることができるのは保険代わりにもなる。小さいながら中々使いどころが多いこのカメラ、機材車に1台入れて置くとかなり有効利用できるはずだ。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。