txt:岡英史 構成:編集部

写真業界の遊園地「CP+2019」開幕

CP+が絶賛開催中である。映像業界の遊園地がInterBEEなら、CP+は間違いなく写真業界の遊園地に違いない。そんな写真業界の展示会に映像関係者がなんの用があるんだ?という話になるが、それは疑う余地はない。すでに写真と動画の関係は切っても切り離せないものとなっている。それはもちろんDSLRの登場に端を発している。

今回のメインターゲットであるプロ向け動画エリア。セミナーも併催されている

そして数年前からは「プロ動画エリア」なるものが新設された。昨年から本会場とは別棟に移ったので逆に区別されわかりやすいともいえる。その一角は本会場に比べれば小さいが面白い物が置いてあったりする。

そして、毎年CP+は、天候に恵まれない(なぜだろう?)。例に漏れず今年は雨のスタート。あいにくの雨にもかかわらず一般入場の12時を過ぎると会場内は人でごった返している。この辺が写真人口の多さなのかInterBEEとは全く別時間の感覚がする。

展示ホール

■ヴァイテックイメージング(Manfrotto)

どちらかといえばビデオより写真機材としての方が有名なヴァイテックイメージング。今回は通称ゴリラポットで有名なJOBYの新製品が気になった。

今回は油圧のビデオ雲台が付いたものが目玉で各々耐荷重が3kg、5kgとなっている。これならばテーブルトップで小型のビデオなら十分取り回しが可能だ。またカメラバックの中でもローラーバックがフルモデルチェンジ2輪のソフトバックからペリカン並みのハードバック、さらにはスーツケース型の4輪セミハードバックが秀逸。中のインナーバックをすっぽりと抜けば正にスーツケースとなる。


■銀一

銀一は写真関連では知らない方がいないくらい有名だ。今回気になったのはピークデザインのバッグ。ここもシステムバックのように外側のカバン部分と内側のインナーバック部分に分かれているので自分の使いやすいバックにカスタマイズできる。

また、RODEがマイクだけではなくそれらを繋ぐミキサーも発表した。録音機能も標準装備した無駄のないデザインは経験の浅い方でもしっかりとオペレートが可能だ。


■アドビ システムズ

色々とマルチソフトウェアで各種揃っているアドビだが、その中でも今回はNLEツールとして有名なPremiere Rushのデモを含めたものをセミナー形式で発表していた。今まではデスクトップPCでしかNLEはまともに動くものがないといわれる中、iPad Proで全く遜色ないオペレートを実現。もちろんデスクトップPCとはクラウド経由で既に接続済み。

プロ向け動画エリア

■Sony

本会場にも大きいメインブースを構えているソニーだが、プロ向け動画アリアではαシリーズよりもFSシリーズを中心に展示を行った。InterBEEだと人があふれてなかなか実機に触れないがこのエリアなら思う存分触ることができる。メインはFS7のRAW出力をSHOGUNと組み合わせてた展示だ。


■ローランド

関東圏初お目見えのVR-1HDが白いボディも相まって目を引くが、筆者的にはInterBEEで登場したV-02HDの展示に注目した。

ようやく外部リモート可能なiOSアプリが登場。UIも良くできている。小型スイッチャーとは思えない性能は一つ持っているとかなり便利なガジェットだ。


■カールツァイス

写真の祭典であるはずの会場にARRI ALEXAが鎮座している姿は遠目から見てもその迫力はよくわかる。数ある同社のレンズの中から動画に適したラインナップやシネレンズでも比較的リーズナブルなライトウェイトスピード等の展示が中心。本会場ではごった返しているカールツァイスブースもここなら心行くまで堪能できるだろう。


■Nikon

新製品ミラーレスであるZシリーズに各種RIGを組み込んでの展示が気になった。動画に関してならZ 7よりもZ 6の方がメリットがあるとの事。今回の筆者の取材カメラもZ 6を使用し、思った以上の性能に実は驚いている。


■ティアック

3種のICレコーダーの展示に注目。特に最上位モデルは4ch録音が可能で、その出力をそのままDSLRやビオカメラに戻す事ができる。ライン音声2chと本体マイク2ch分の4chはオペレートも簡単かつ効果的な収録が可能。コストパフォーマンスも良く音声バックアップ的にも持っておくと非常に便利だ。


■Lime Tech

どこかで聞いたことがある屋号だと思ったら、PRONEWSでもコラムを書いている柳下巨匠のブースがNikonの横にある。自分の機材を見せびらかしたいだけ!と本人は言ってるがまぁそんなところだろう(笑)。とはいえ色々ノウハウが詰まったRIGのセットアップ等現場で使いたい方は必見だ。

総評

さすがに写真の祭典であってその人の多さは、InterBEEの比にはならない程。プロ動画エリアは最初の2日間しかないので注意が必要だ。今年はフォトキナの開催もなくなったためなのか、海外メディアも多くみられた。それより多くいるのがいわゆるYouTuberだ。彼らの情報発信の速さはジャーナリストの原稿より確実に早い。これも時代なのだろう。

CP+で初めての試み

Nikon Z 6

今回筆者が取材カメラに選んだのはNikon Z 6だ。より画素数の大きいZ 7の方がいいのでは?と思われる方もいると思うが、ムービーに関してはZ 6の方がより優れている部分が沢山ある。Panasonic GH5とGH5Sの違いと思ってもらえばわかりやすい。

CP+だからこの手のカメラを使ったのか?というとそんな事はない。過去CP+でDSLR系を使ったのはEOS 7Dだけ。では何故か?今回は動画も撮れる写真機というよりビデオカメラという意味合いでこの機種を選定しNikonからお借りした。

この手の機種、特にフルサイズミラーレスはSonyを始め各メーカーが出しているが、その中でもZ 6を選んだのはその開発パッションが良かった。他メーカーだとどうしても上位機種に既に鎮座しているフラッグシップカメラがあるので、その性能を越したり同機能を盛り込むのは中々難しいが、どうしても少し厳しい所がある。

しかし、Nikonはそういう大人の事情は全く無視できる立場なので何でもかんでも盛り込む事が理論的には可能なところだろう。後発という事も含めてビデオカメラとして色々と使いやすい部分が沢山ある。

その中の例としてTCが装備されている。ビデオカメラなら当たり前の機能が当たり前のように組み込んであるのもZ 6のエンジニアのこだわりだろう。音を同録モニター出来たり、アサインボタンを色々と組み込めたりとビデオカメラとしての当たり前の機能が備わっているというのが今回選んだ最大のポイントだ。

既にブライダル等の現場でも投入したが、思った以上の高性能に実は驚いている。今回はヘビーにRIGを組んだ仕様ではなく、ENG取材としてワイヤレス受信機をメインとしたライトウェイトな装備で会場を取材している。そのシリーズ名の「Z」は究極と言う意味も込めていると噂に聞いたことがある。この先のバージョンアップが楽しみな同機でもある。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。