txt:高信行秀 構成:編集

グラフィカルなインターフェースをもつFCPXは、イメージとしてショートカットキーの使用は縁遠いように思われるかもしれない。しかし実際のところFCPXのショートカットキーは充実しており、キーボード操作がメインになりやすいノートブックでの編集にも順応できる。

今回紹介するショートカットキーの内容は「機能を呼び出す」ためのものではなく、効率の良い操作のためのショートカットキーを紹介したい。さすがに全てのショートカッキーを紹介するわけにもいかないので、よく使うもの、便利なものをいくつかピックアップして紹介しよう。

ワークスペースの移動、表示/非表示

編集時にはその目的/状況においてワークスペース内を移動する必要がある。また目的のワークスペースを大きく表示するために、使わないワークスペースを非表示にしたい場合がある。

ワークスペースの移動、表示/非表示もショートカットでできる。ただし理解すべきポイントがある。基本的にワークスペースのショートカットには「移動」と「表示/非表示」があるのだ。

例えば「command + 4」はインスペクタの表示/非表示になる。インスペクタが非表示の場合は、表示されることでインスペクタに移動できるのだが、インスペクタが表示されている状態でこのショートカットキーを押すとインスペクタが隠れてしまい移動できなくなる。ただ単純にインスペクタへの移動をしたい場合は「command + option + 4」を押すことになる。

タイムコードを使用しての移動/編集

FCPXでの編集操作で誤解を受けていることの1つに「タイムコード操作での編集ができない」と思われていることがある。これは大きな誤解だ。

これらもショートカットキーで操作できる。数値をキーで打つ前に「control + P」を押す。これでタイムコードの欄にカーソルが入るので、あとはこれまで通り目的の数値のタイムコードを入力すれば、そのタイムコードへ移動する。もちろん、これまで通り「+」や「-」などの計算式を絡めることもできる。

さらにタイムコードを指定してのクリップの長さ(尺)を調整することもできる。目的のクリップを選んでいる状態で「control + D」を押すことで、タイムコードの欄がアクティブになる。この状態で目的の長さのタイムコードを入力することでそのクリップの長さを設定できる。

クリップのタイムライン上での移動はこれまでどおり、目的のクリップを選択した後にそのままタイムコードの数値入力で可能。ただし、事前に「位置」ツールを選択している必要があることと、入力が数式(+ / -)でのものになる。

カット編集時のショートカットキー

編集時間の多くを占めるカット編集でのショートカットキーは、うまく使いこなしていけば作業効率が格段にあがるだろう。

■再生コントロール

基本中の基本的なショートカットキーだが、映像の再生コントロールをする際にスペースキー、矢印キーのショートカットキーを使うことが多いだろう。これを少し、効率の良いものにしよう。

いかがだろう。先ほどのものに比べてキーを押すための移動範囲が減り、より効率的な操作ができるだろう。

注意点としては「J K L」キーでの再生コントロール時の「K + J」と「K + L」だが、詳しく書くと「Kキーを押しながらJキー(あるいはLキー)を一度押す」となる。これで1フレームの移動になる。

「Kキーを押しながらJキー(あるいはLキー)を押し続ける」とスロー再生となる。

■書き込む編集

書き込む編集には用途に応じて「Q/W/E/D」のショートカットキーがある。これらはFCPXを使う上では基本的なショートカットキーで、使用されている方も多いだろう。

一方で、書き込み内容を「ビデオ+オーディオ」「ビデオのみ」「オーディオのみ」で切り替えて編集できることを知らない方も多い。これもショートカットキーで切り替えることができる。

書き込み内容を変更した際に、画面上のアイコンに注目してほしい。切り替えたことでアイコンの内容が変わっていることに気づくはずだ。これにより現在の書き込み内容を確認することができる。

■トリム/リップル編集

トリム/リップル編集の為のショートカットキーも用意されている。基本的な考え方としてはショートカットキーでトリム、あるいはリップルする箇所を選択し、その編集点を移動するものだ。ショートカットキーは次の通りになる。

編集点の形状と、キーの文字の形状との違いに違和感を覚えなくもないが、単純に「左側」「右側」と捉えるべきだろう。

■ビデオ/オーディオ個別の編集

ビデオとオーディオをそれぞれ別に編集点を選択することで個別にトリム/リップル編集、Jカット/Lカット編集ができる。

オーディオのレベル編集

オーディオのレベル調整はショートカットキーで操作することができる。

レベル調整はクリップ全体はもちろんだが、範囲選択した部分だけに使用することもできる。

レベル調整の記録はキーフレームを使ったものとなる。そのために編集された箇所との移動には「キーフレームの位置へ移動」(option + ; / option + :)のショートカットキーが利用できる。

その他には目的のオーディオクリップだけを聞くための「ソロ」(option + S)も用意されている。

カラーインスペクタの操作

カラーインスペクタの操作も「ある程度は」ショートカットキーで操作が可能だ。実際のところ、ショートカットキーで機能の操作を完全にカバーできるわけではないので、マウス操作の補助的なものと考えた方が良いだろう。

便利なショートカットキー

特定の機能ではないが、編集作業全体で使用できるショートカットキーも用意されている。「クリップを選択」(C)はあまり知られていないものだが、ショートカットキーを優先とした操作には必須のショートカットキーだ。

ショートカットキーのカスタマイズ

ショートカットキーは、メニューバーから「ファイル>コマンド>カスタマイズ」で設定の画面が表示される。これによりショートカットキーの割り当てを変更することができる。

実はFCPXにはコマンドとして用意されているが、ショートカットキーに割り当てられていないコマンドが意外と多い。例えばより多くの色補正のショートカットキーやフェードイン/フェードアウトのコマンドが用意されている。これらを割り当て直すことで、より効率の良い作業が可能だ。

まとめ

FCPXのショートカットキーの紹介はいかがだったろうか。レスポンスの良い編集操作が評判のFCPXだが、ショートカットキーを使った操作は、よりそれを感じさせてくれるだろう。

必ずしも全ての操作をショートカットキーでする必要はない。私個人としてもショートカットキーの優先度は低いし、一部にあるショートカットキー絶対主義には疑問を感じなくもない。ただ、ショートカットキーを操作の中に織り込んでいくことで、編集速度は加速するだろう。そしてそれにFCPXは答えてくれるだろう。

WRITER PROFILE

高信行秀

ターミガンデザインズ代表。トレーニングや技術解説、マニュアルなどのドキュメント作成など、テクニカルに関しての裏方を務める。