txt:岡英史 構成:編集部

Made in japan

小型カメラ専用キット

久しぶりにLibecからミドルレンジの三脚「TH-Z」が登場した。TH-Zは生産こそ海外で組立をしているが、企画・設計は埼玉県の八潮市で行われているので日本製品というくくりに入れて良いだろう。

同社は本社工場も機械を入れ替え、1/1000単位での加工が出来る機械工作技術は三脚業界の中でもトップレベルの技術を持っている。社長も交代し、新生Libecとしての一発目はNABでも大々的に出していた大型のQD/QHシリーズだった。流石にこのクラスは自分には全く関係ない領域。

そんな中でTH-Zがひっそり?と展示してあったのだが、最初はその大きさ形が既に発売されているTH-Xと同じなのでスルーしてしまったほど。実はCP+でも参考出品扱いで展示してあったが全く気付かなかった。そう言えばLibec製品は随分と使用レポートを書いてなかった。

小型業務用カメラ専用

足の伸縮度は60cm~180cm程度と、十分な高さだ

THシリーズは今までのALXの置き換えとなり、これでALXシリーズはディスコンと言う事だが、ALXと比べるとそのヘッド廻りのコンパクトさが目を見張る。

耐荷重は5kgなので、小型業務用ならすべてのカメラが適合するサイズだ。5kgならNX5やCX350、HM650もいけるのでは?と思われるかもしれないが、少々カウンターが足らないので、その部分を人間で(技術で)補う事が必要な感じだ。筆者も試しにDVX200と言う大型ハンドヘルドを乗せてオペレートして見たが、出来なくはないが精密を要するワークには厳しいと言う感想だ。

S8(スライダー)とDVX200との組み合わせはスライダーワークのみ可能という感じで良い

逆にPXW-X70やZ150、GY-HM175等の小型業務機にはバッチリの組合せだ。逆にそれ以下の小さい民生機では流石にカウンターバランスが効き過ぎるので流石に使用には無理がある。DSLR系ならRIGを組まないEOS 5Dクラスなら単焦点から400mmクラスのレンズまで全く問題なく使用が出来る。

特にこの手のレンズ交換式だとレンズの長さで大きくバランスポイントが崩れるがスライドプレート+取付ネジのスライド量も多いので簡単な調整だけでカバーできるだろう。

ネジ穴に対してもかなりのスライド量がある

S8スライダーKIT

Libecと言えばスライダーとの組み合わせに定評がある。雲台のグリスと同じものをスライダーベースのベアリングにも封入しただのスライドだけではなく、ワークとしてヘッドとスライダーの動きを同期させていることが特徴だ。TH-Zもその例外ではなくスライダーとの相性は良い。今回はスライド量80cmのTH-Z S8 KITをお借りした。

80cmのスライド量でも操作の仕方ではフルに使う事も可能だ

TH-XにはスライダーKITが無かったのは雲台のボール分部が60mmと小型の物なのでその重さを支えるには少々不安があったからだろう。しかしTH-Zは小型三脚標準の75mmボールになったのでALXと同じようにスライダーKITが登場した。ボールサイズだけではなく、ミッドスプレッターも調整可能となり、脚をより大きく広げるようにできた。ほんの少しのサイズ感だがこの大きさからくる安定感は馬鹿に出来ない。

これだけの差は大きい

ピポット部分がALXでは圧入だったのがEリングでピンが固定された

とはいえ、流石に80cmの長さをすべて使ってのワークなら支点から一番遠い40cm部分ではもう少し強度が欲しいのも事実。既にALX S8 KITが登場した時に色々な方がその補強をされているが両端に一脚を入れるのが最も簡単な方法だ。自由雲台をスライダーとの間に入れれば、取り外すことなくバッグに収まるのもポイントだろう。

これだけの事で強度は飛躍的に上がる。販売店によってはこのセットもあるのでお勧めだ

TH-Xとの違い

一番の違いは耐荷重の違いだ。数字的には1kgの差(TH-Z:5kg/TH-X:4kg)だがこの1kgはかなり大きい。メーカーHPからその耐荷重表を見てみると重心ポイント75mm付近を見るとTH-Xでは2kg強、TH-Zだと3kgある。これは計算上の値なので実際はもう少しマイナスになるだろう。だとすると幾ら軽量な小型業務機とは言えTH-Xでは厳しい。

逆にRSシリーズとなると、バランスは良い数値に入っているがドラックがちょっと大きいので全体的なワークとしては若干無理がある。TH-Zの5kgは当にバランスが良いサイズだ。

左:TH-X、右:TH-Z

物理的な大きさはTH-ZとTH-Xは全く変わらない。上部のスライド部分の色が違うのと、ボールサイズが違うだけなので色も同じなら見分けは不可能だ。更にブライダルの一脚でよく使われているマンフロットの500AHともサイズ感でみれば全く同じと言って良い。また、スライドプレートはTHシリーズ共通はもとよりマンフロット等にも互換性があるので双方向で付け替えが可能。状況によって使い分ける事が容易に出来る。

THシリーズは全く同じサイズ

500AHともほとんどサイズ感は同じ

双方向にプレート互換がある

動作感

現場で早速使ってみたが、これといって特に特徴も癖もない。つまり意識せずにオペレート出来ると思って良い。ただ普段大型の三脚でドラック多めに掛けて使ってる方だとその剛性感に頼りなさを感じるかもしれないがそれはしょうがないだろう。

カメラはJVC GY-HM175で4K収録としビジネス系のセミナーでフルバックからオペレートしてみた。最初にも書いた通りテレ端での精密なコントロールではドラックの固さがもう少し欲しい感じがする。なのでギリギリの部分ではかなりシビアな操作が必要だがそれ以外は特に問題なかった。小型軽量な三脚はワンマンでの搬入出は無理をせずに非常に助かる。

総評

久しぶりにLibec製品を使ったがやはり安心感がある。特徴がないのは三脚としては良い事だと筆者は思う。この三脚小型カメラを乗せてオペレートするのも良いが、少し大きめのカメラ(NX5R・HM650等)を無人で置く時の脚としてもその剛性を考えれば問題ない。もしメインの脚が不具合あってもサブ機として十分なワークは出来る。RSシリーズは重いと言う方は2本目の脚としてTH-Zは良いチョイスかもしれない。単純な機構は逆に言えば壊れにくい。

これも現場では大切な事。社長の交代もありこの先のLibecには王道をしっかりと頑張って貰いたい。カメラが日本製が多いこの業界、出来ればそれを支える脚も日本製が多くなって欲しいのは筆者だけではないだろう。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。