txt:江口靖二 構成:編集部

ソウルのスターフィールドCOEX MALL

ソウルのスターフィールドCOEX MALLはコンベンションセンター、ホテル、ショッピングセンターが一体化している巨大な複合施設である。2014年にリニューアルされたあとに訪れていて、ここはデジタルサイネージ的な見どころが多い。4年ぶりに再訪した今回はどんな変化はあっただろうか。

せっかくの高いクリエイティビティがもったいない感じ。もっとじっくり見せて欲しい

このクリエイティブはショーウインドウの中で人が作業している状態を表現している。ただ画面転換が早すぎて気が付く前に映像が変わってしまう。ベゼルが気にはなるが、表現としてはとてもセンスがいい。もう少し時間を使ってじっくりと見せてくれたらいいと思う。たとえば作業していると思ったら突然手前のガラスが割れる表現とか、もう一工夫あればなぁという印象だった。

壁面と柱の組み合わせはインパクト大

こちらは壁面と柱の組み合わせ。壁面はLED、柱面はLDC横3面である。似たような設置環境は渋谷の「渋谷駅ビッグサイネージプレミアム」に近い。動画でどこまで伝わるか微妙だが、こちらのほうが大きさ、コンテンツともに迫力がある。多分クリエイティブがサイネージのことをきちんと理解して制作されているからだろう。日本ではありそうで案外こういう例は多くなく、「テレビ的な映像」がまだまだ多い。

さて、4年前の前回、とても多くの人が利用していたフロアガイド用のタッチパネルサイネージである。今回どれくらい利用されているかはこのタイムラプス動画をご覧頂きたい。

タイムラプスで見ると途切れることなく利用されていることがよくわかる。リニューアルオープンして5年が経過しているので、来訪者にはある程度モールの構造や位置はわかっていると思うのだが、極めて高い利用率は相変わらずだ。むしろサイネージで調べればいいということが浸透している印象を受ける。

興味深いのは同じものが異なる設置方法をされると明らかに利用率が下がっていることだ。壁面に垂直に設置されているものを、やはりタイムラプスで見てみよう。こちらは利用が少ないのがわかる。

ところでCOEXのこれが世界2位だとしたら世界1位はどこなのか。それはロンドンのWestfield Shopping Centerだろう。こちらもオープン後5、6年目に再訪した2016年にPRONWESでも紹介しているのでぜひ今一度見ていただきたい。実際にどちらが1位か2位かはともかく、とても頻繁に利用されていることは明確だ。

これらのモールのフロアガイドのサイネージに共通していることは、その場所が巨大すぎてわかりにくい、覚えられないという状況がある。これを解決するためにフロアマップが存在するわけだが、アナログマップだと、大きさ的にも情報的にも膨大になってしまい探しにくくなる。そこでデジタルによってある程度検索条件を絞り込みながら探していくことが有効なのである。

さらに筐体デザインにも共通点がある。どちらも同時に2人以上が使えることだ。これは人が操作していると、自分もやってみようという心理が働くためだろう。またタッチパネルは人が操作しやすいように斜めに取り付けられていて、それぞれ高さが異なることで、子供でも使いやすく設計されている。

また車椅子でも利用しやすいように、足元部分は奥側に傾斜させている。このようにデジタルサイネージ、とりわけタッチパネルは、設置場所の状況と筐体も含めたデザインをきちんと施すことが必要なのである。なお画面の中のデザインはどちらもごく普通と言えるレベルであり、特段優れているわけではない。

COEX MALL SEOUL

Westfield Shopping Center LONDON

続いてはCOEXから地下鉄三成駅に直結している部分の柱や壁面の事例だ。この壁面は100インチを超えていて、その柱全面をLCDではなくLEDで覆っている。ドットピッチは3.9ミリくらいだと思われる。この大きさの画面を全部LEDディスプレイで覆ってしまうとなかなか壮観である。

これを見てしまうと、60インチクラスの日本の柱巻きサイネージが非常に地味に見えてしまう。なんと言ってもコーナー部分も含めてベゼルがないことの「普通さ」を実感する。柱巻きも今後はLED化していくことが想像される。

エッジの処理もスッキリしている

インチョン空港

インチョン空港では、数年前に話題になったLGのOLEDは最近撤去になった模様。その代わりというわけではないが、エレベーターのサイネージがなかなかの迫力だったので紹介しておく。場所はT1のど真ん中。到着フロアからも出発フロアからも必ず目に入るはずだ。

T1の中央部の吹き抜け部分、高さにして4階相当だと思うが、ここにあるエレベーターの外側とカゴの中の両方から見ることができる。外側の様子の動画を見ていただこう。

動画や写真ではわかりにくいと思うが、ものすごく大きい。高さだけで言うとロサンゼルス空港の国際線ターミナルのサイネージよりも高いように感じる。そして何よりも解像度が高い。近寄ってみると多分2.9ミリピッチではないかと思う。コンテンツは広告とインフォメーションの両方だった。

真下から仰ぎ見てもドットはほどんと確認できない

ドアが空いていたので中はこんな感じ

そして念の為にエレベーターに乗ってみると、裏側、つまり内側にも全面LEDが装着されているではないか。エレベーターカゴはガラス貼りなので中から見ることができる。その動画はこちら。

コンテンツは筆者が見たときには環境映像的なものだった。上下動するエレべーターから見るコンテンツなので、若干それを意識したものにはなっているが、カゴの上下の動きに連動はしていない。これはエレベーターが左右2機設置されていて、ディスプレイは1面として構成されているためだ。せっかくなので左右2面構成にして動きと連動させたらすごく楽しいと思った。

WRITER PROFILE

江口靖二

放送からネットまでを領域とするデジタルメディアコンサルタント。デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。