txt:土持幸三 構成:編集部

茨城県行方市「なめがた子ども放送局」

夏休み恒例の茨城県行方(なめがた)市で専修大学の福冨教授のゼミ生との映像授業、「なめがた子ども放送局」の講師を三日間つとめてさせていただいた。学生は今まで4年生が担当だったのだが、今回からは2年生が担当することに。参加者は17名。4人グループ3つと5人グループ1つの編成にした。5人以上のグループだと撮影時に何も役割がな無い子が出てきて遊んでしまう事もあり、4人が最適だと考えている。

今回は以前、参加したことのある子供が3割ほどいたが、小学2年生が約半数という少し年齢層が低い参加者だった。行方市は霞ヶ浦の湖畔にあり、田園風景が広がるのどかな街で、いつか撮影をしてみたい場所である。以前も何度か紹介したように、民間の放送局がない茨城県にあって行方市は市内全域を視聴範囲とするエリアテレビを持っており、災害情報や地域に役立つ情報などを地元向けに放送している。

小さいながらも自前のスタジオを持っており番組制作も行い、子供達も自分や家族が番組に出たことがあることを自慢していた。小学生、特に低学年の子供達に講義する時は、とにかく映像制作が面白そうだと思ってもらう事が重要だと思っている。

いつも最初に写真を見て気付いた事を手を挙げて言ってもらい、それが「正解!」と言って褒め、写真が見る人に伝える情報を知ってもらう。テンションが上がってきたらカメラを取り出し、希望者にジャンケンをしてもらい、監督、カメラマン、録音、出演者の役割を決めて撮影し、それをその場で編集して見せると子供達は興味を持ってくれる。極めつけは映画制作の伝家の宝刀?同ポジ撮影で出演者を消すと、子供達は大きな歓声を上げ、自分達も撮影したいと思ってくれる。

八坂神社で子供達とロケハン

八坂神社でロケハン

今回も講義を行った行方市の麻生庁舎から近くの八坂神社を主な撮影場所として子供達とロケハンを行った。講義の初日に行ったのだが、市の職員の方で氏子の方がいて神社内を案内していただいた。不思議というか、当然なのか子供たちは神社に来るとテンションがあがる。

鳥居や狛犬などを喜んで触ったりするし、蜂やアリなどを見つけては歓声を上げる。その鳥居や狛犬の前でどんな事が起きたら面白いか?などを話しながらロケハンを終え、麻生庁舎に戻ってからまず各自で絵コンテを一枚、描いてもらった。

各自のアイデアを組み合わせてストーリーを創る

各自のアイデアをまとめて物語にする

ここから子供達で違いが出てきて面白い。一枚では足りずに十枚以上描く子もいれば、なかな描けない子もいる。描いたら筆者の所に来て説明してもらう。壮大なストーリーを話す子には、筆者が感じたユニークな所、面白い所を伝え、何かが戦っている絵を一枚持って来て「ヒーローが悪い奴をやっつける」と説明した子には、なぜヒーローは戦うのか?なんで悪い奴は出てきたのか?を考えてもらった。

全員が自分の描いた絵コンテを持って来て説明が終わったら、グループ全員のアイデアを組み合わせてストーリーを創りあげてもらった。長いストーリーを考えていた子には申し訳ないが、筆者に説明した時にユニークな所と指摘した部分を他の子供達のアイデアと組み合わせる部分にしてもらった。

麻生庁舎内・八坂神社の2チームに別れて撮影開始

撮影は概ね順調にすすんだ

初日でロケハンと絵コンテを仕上げて二日目は撮影。麻生庁舎内で撮影する2チームと八坂神社で撮影する2チームに別れて撮影開始。午後には麻生庁舎で撮影していたチームも八坂神社で撮影し、大学生の協力を得ながら予定通り撮影は終わった。

VEGAS Proを使っての編集作業

編集も真剣に取り組んでいた

三日目は終わらなかった撮影を済ませて編集。動画編集用のノートパソコンではないが解像度を落として撮影していたのであまり不自由は感じなかった。編集ソフトはVEGAS Proを使用。子供達は編集に興味津々だが、あまり馴れていなく作業の多くは大学生が担い、完成した作品は子供達の家族の前で上映。「人に見せる」映像を創った子供達は興奮が収まらないようだった。

専修大学の福冨教授と行方市との取り組みを手伝わせていただいて数年となるが、川崎市の取り組み同様、市の方も含め、子供達の映像制作の熟練度が上がってきているように感じた。これからもこの取り組みを続けて欲しい。

WRITER PROFILE

土持幸三

鹿児島県出身。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。