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[DaVinci Resolveで始めるカラーグレーディング]Vol.13 トラッカー/クリップモードとフレームモード

#DaVinci Resolveで初めてのカラーグレーディング

2019-10-01 掲載

txt:小島真也 構成:編集部

動きに追随する「トラッカーツール」を使ってタクシーの色を変更

選択範囲を四角形や円形、多角形などで作るウィンドウツール(以下:ウィンドウ)。このウィンドウをカラー調整するターゲットの動きに沿って移動させたい。しかもそのターゲットは、カメラに近づいてくるので徐々に大きくなったりする…。

そんな上下左右に加えて奥行きの動き(3Dで言うX軸/Y軸/Z軸)にも楽々と追随するツールが「トラッカー ツール」(以下:トラッカー)だ。

これまでにパン、ティルト、ズーム、回転、さらには遠近3Dにも対応してきたトラッカーだが、実際の作業では、稀にターゲットの動きに追随できない、いわゆるトラッキングが外れてしまう時がある。カメラのパンニングが急だったり、ターゲットとカメラの間を障害物が横切ってしまう場合にはトラッキングが外れてしまうこともあるだろう。

今回のクライアントの要望は以下の内容だ。

交差点内でジワジワと動きながら、右折待ちをしているオレンジ色のタクシー。視聴者はこれに目を奪われ過ぎてしまうため、目立たなくしたい。

画面内には、タクシーの他にも同系色の看板が点在しているため、タクシーだけをターゲットにしなくてはならない。さらに問題なのが、ターゲットのタクシーとすれ違う黄色車両と赤色スクーターにトラッキング分析を乱しまうこと。

これらの問題をクリアするトラッキングのコツを解説しよう。

※本記事をより理解するために、記事中に使用した映像データを用意した。こちらからダウンロードして実習にご活用いただければと思う

ウィンドウツールでタクシーにトラッキングを適用

(01)最初にカーブツールの色相vs彩度を使って、ターゲットの明るいオレンジと暗いオレンジの2箇所を抽出し、そのレッド~オレンジ領域の彩度を下げる。画面右側のオレンジ色の看板もターゲットと同様に彩度が下がってしまうことが分かる(図01-01)。

図01-01
※ビューア左上の表示倍率を上げ、センターボタン付きマウスならセンターボタンを押しながらドラッグ、トラックパッドなら2本指、または3本指でドラッグすることで画面位置を調整できる。ターゲット色の抽出や、後工程のウィンドウ作成に便利

(02)ウィンドウパネルに切り換えて、ターゲットをウィンドウツールを使って囲う。今回はターゲットが凸形をしているので、多角形ウィンドウを使うことにする。ちなみに多角形ウィンドウはデフォルトでは四隅の4点しかポイントが表示されないが、線分(ポイント2点間のライン上)をクリックすることでポイントを追加できる。

ウィンドウ作成後には、その外側にソフトネスを少々かけて境界線をぼかす(今回の数値は1.0。図01-02、図01-03)

図01-02 図01-03

(03)さらにトラッカーパネルに切り換える。「ウィンドウモード」の「クリップモード」になっていることを確認してから、クリップの先頭に再生ヘッドを移動し、トラッキングを順方向に分析(▶︎印)する(デフォルトでは「クリップモード」になっている。図01-04)。

図01-04

(04)トラッキング分析の結果を見てみよう。黄色車両と赤色スクーターがターゲットとすれ違った時、そしてターゲットが加速した瞬間にトラッキングが外れてしまい、最後にはウィンドウが大きく変形していることがわかる(図01-05)。

図01-05

フレームモードに切り替えて、トラッキングの外れやウィンドウの変形に対応

(05)フレームボタンを押して、「フレームモード」に切り替える。この時ウィンドウ上部の丸印が赤色に変わる。フレームモードは、ひと言で言えば、動きに合わせて手動でキーフレームを追加していくモードだ。

再生ヘッドを徐々にドラッグ、または左右の矢印キーを使って、トラッキングを外れる原因となった黄色車両とすれ違う”直前のフレーム”に移動する。

ビューア上で崩れてしまったウィンドウの各ポイントをドラッグして、正しく囲われたウィンドウに修正する。この時、自動的にキーフレームが追加される(図01-06)。

図01-06

(06)再生ヘッドを進めて行くと、黄色車両とのすれ違い“直後”にウィンドウが変形してしまったことがわかる。このフレームでもこれまでと同様にウィンドウの各ポイントを修正することで、キーフレームが追加される(図01-07)。

図01-07

(07)次にウィンドウが大きく外れて変形してしまうのは、赤色スクーターとすれ違った時。ターゲットと同系色だったことが災いして、引っ張られるように大きく変形している。同様に、スクーターがすれ違った直後のフレームでウィンドウを修正する(図01-08)。

図01-08

(08)その後、ターゲットが加速した瞬間にもウィンドウが外れているので、これも修正が必要だ(図01-09)。

図01-09

(09)クリップの終盤には、ターゲットがフレームアウトしているのにウィンドウは画面内に残ってしまった。これも、ウィンドウを画面外に移動させた(ウィンドウ全体の移動なら、上部の赤丸印をドラッグすることで可能。図01-10)。

図01-10

(10)ここで、クリップを一度再生してみよう。すると、ターゲットとウィンドウが大きく外れている箇所が、クリップ末尾を含めて、まだ数カ所残っている(図01-11)。

図01-11

ここで外れているウィンドウを順次正しい位置に変形&移動させるのだが、1フレーム毎にウィンドウ位置を修正するのは手間が掛かり過ぎて合理的ではない。

最小限の作業とするには、ウィンドウが大きく外れたところだけを修正するとよい。ウィンドウは現在の再生位置から次のキーフレーム位置に自動的に移動するので、大きな誤差のある箇所を優先的に修正することで、移動途中もうまく補ってくれるはずだ。

(11)これが完成のトラッカー。前述の通り、大きく外れたウィンドウの修正を繰り返すこと8回、キーフレームの総数は10個でトラッキングは完成した(図01-12)。

図01-12
図01-12とAfterムービー13_15.mov
※本記事をより理解するために、記事中に使用した映像データを用意した。こちらからダウンロードして実習にご活用いただければと思う

手動でのキーフレーム追加には、最初は戸惑うかもしれないが、2~3例の実習でコツがつかめるはずだ。サンプルムービーには、今回ターゲットのオレンジ色タクシーの他にも、黄色いワンボックス車両という格好のターゲットも写っている。

ぜひ、活用してトラッカーをマスターして欲しい。


WRITER PROFILE

小島真也 Blackmagic Design認定トレーナー、写真家、撮影監督。赤坂スタジオを経て、篠山紀信氏に師事。1990年に独立後は雑誌、広告界にて人物、ドキュメンタリーを中心に写真家活動。動画へのきっかけはFinal Cut Studio 5.1を導入し映像編集を始めたこと。商業映画や自主映画では撮影監督として撮影・照明・カラーグレーディングを担当し、TVドラマでは撮影部として参加。


[ Writer : 小島真也 ]
[ DATE : 2019-10-01 ]
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小島真也 Blackmagic Design認定トレーナー、写真家、撮影監督。赤坂スタジオを経て、篠山紀信氏に師事。1990年に独立後は雑誌、広告界にて人物、ドキュメンタリーを中心に写真家活動。動画へのきっかけはFinal Cut Studio 5.1を導入し映像編集を始めたこと。商業映画や自主映画では撮影監督として撮影・照明・カラーグレーディングを担当し、TVドラマでは撮影部として参加。


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