txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部

映像センターでのV-600UHD活用術

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で多くのイベントが中止や延期となった。その中でも、オンライン向けに無観客や出演者含めて自宅からの配信など、イベント実施のあり方も大きく変化してきている。

イベント関連の事業を手がけている企業は、こうした状況の中、どういった動きをしているのか、これからのイベント映像は、どのようになっていくのか。展示会・イベント映像業界を代表する企業である株式会社映像センターのイベント映像事業部 松原英明氏にお話を伺った。

今回のインタビューはテレビ電話を用いてのインタビューを行い、松原氏から機材画像の提供をいただいた

――新型コロナウイルス感染症の影響でイベント自粛が相次いでおり、業界への影響は大きいと思いますが

松原氏:イベントのキャンセルは、今まで体験したことがないほどのものになっています。

その中でも、無観客イベントとしてセミナーを、インターネットを通じたライブイベントに変更するなど、お客様の要望に合わせて対応しています。

特に会場のキャンセルが間に合わないことも多かったので、セミナー予定の会議室やホテルの会場を使って、ライブ配信用にスタジオを作り込むなどを行いました。

株主総会の時期とも重なったので、経済産業省の実施ガイドなどを参照に方法を工夫しながら実施をしています。

株式会社映像センター イベント映像事業部 首都圏営業部 技術部 次長 松原英明氏

――今回、あまり時間のない中での対応になったかと思いますが、工夫した点などはありますか?

これまでも、学会などで遠隔地からの中継映像伝送と上映などは行っていましたので、弊社のこれまでのノウハウで対応することが出来ています。

配信のみのイベントに変更となった場合には映像演出のあり方も変わるので、イベント内容に合わせて資料映像とカメラを連動し、より効果的な映像となるように、カメラの台数を追加したり、特機を活用するなど、動きのある映像を増やすようにしています。

また、現場スタッフの人数も密集を避けるために、これまでよりも少人数のスタッフでオペレートをしていくことになるので、オンライン配信用に最適化した機材構成なども工夫しています。

映像演出部分ではないですが、サーモグラフィーカメラを設置したり、定期的な検温の実施なども実施して現場を運営しています。

――映像機器のチョイスなどは、どのようにされていますか?

基本的には、これまでの経験とノウハウを活かしてイベント内容と予算に合わせて、ご提案させていただいています。

システムは、シンプルであればあるほど良いと考えていますので、オールインワンタイプの製品は積極的に利用するようにしています。セットアップの時間も短く出来ますし、複雑な変換や機器間の接続箇所が減ることでトラブルの確率も下がると考えています。

オンライン配信という意味では、世界規模でネット回線が利用されている状況から、配信として必要十分な品質で送出しつつ、5Gが自由に使える時期を見越して4Kを含めた機材構成を提案するようにしています。

V-600UHDでは4Kを含めた様々なフォーマットの入力が可能

――実際に4Kのニーズは高まってきていますか?

お客さんから「4Kでシステムを組んでくれ」と言われるわけではないのが正直なところですが、実際に映像を比べてもらえる機会があると、次回からもお願いされることが多いです。

逆にいうと、弊社を含めた業界全体で4Kが当たり前の形を作っていくことができれば、お客さんの満足度も上がりますし、演出の自由度も上がってくると考えています。

――4KスイッチャーのV-600UHDを早い段階から導入されていますが、これまでの現場では、どのような用途で使用されていますか?

大型LEDディスプレイや横長のスクリーン映像などをステージ演出で使用する際に、PinPを使った演出時でも4Kスイッチャーを使用することで、PinP子画面の解像度もHDにすることができるので、そういった現場ではV-600UHDを使って、シンプルなシステムを構築しています。

システムのバージョンアップで、HDMIの入力信号のサポートが大幅に増えたことも選択理由として大きいですね。パソコンの場合は機種も多いので、EDIDの選択機能が付いたのも現場での安心感が増えました。

12G-SDIも扱えるので、4Kカメラ信号をV-600UHDに入れてカメラスイッチング用に使用する使い方も増えていますね。

――ROI(Region of Interest)機能についても使用機会は多いですか?

セミナーなど、スライド使用がメインのイベントの場合、生カメラが入っていてもカメラワークがほとんどないことや、カメラ映像を使う時間自体が短いこともあり、ROI機能を使って必要な画角を切り出して使用することもあります。

オールインワンでコンパクトという利点を活かして、4KだけでなくHD含めた多くの現場で活躍してくれています。

――HD/4K混在の現場も多いということですね?

全て4Kの現場はまだ少数という印象です。より良い映像演出を確実に行うという点では、例えば、お客さん持ち込みのPCからはHD解像度でスライドを出してもらって、ステージからオペ卓まで送りV-600UHD上でアプコンして使う。VTRなど4Kの画質でしっかり見せたいものは、オペ卓で4K解像度を入力して送出する。という使い方をしています。

V-600UHDには、HDへのダウンコンバート出力機能も付いているので、周辺機器の構成もシンプルなものにしやすいのが良いですね。これまでの経験値を活かして、コストパフォーマンスの良い機材構成も提案することも重要なことだと考えています。

Roland V-600UHD

――オールインワンという点では、音声機能も使用されていますか?

音声も一緒に扱えるというのも重要なポイントですね。エンベデッド音声ももちろんですが、外部入力だけでなく出力もあるので、PAチームと組んでの仕事などで、音声を含めた演出の自由度が上がりましたね。

――その他にも気に入っている点や今後の活用予定などあれば教えてください

弊社のPIVOT RIGGERというスタンド一体型のLEDビジョンには自家発電も積んでいるので、パブリックビューイングから緊急時や災害などへの対応もできるようになっています。

今後、機材の消費電力や安定性という部分でも、ハードウェアから最適化しているメーカーの信頼度は上がっていくと思うので、機材や電力などが限られた現場でも、演出の自由度は損なわれないという視点でも機材選択をしていく必要があると考えています。

筆者まとめ

今回の取材を通じて印象的だったコメントに「業界全体で4Kが当たり前の形を作っていく」というものがありました。

V-600UHDをはじめとして「4Kは、もう特別なものじゃない」と思わせてくれる製品が揃ってきたからこそ、HD運用の安定と、4Kが作り出す演出の幅を組み合わせた事例が、今後さらに増えてくるのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症の影響から、スタッフの人数が限られた現場運用が求められています。固定カメラによる4K収録、ROIを使ってHD切り出し、HD配信が方法論の1つとなるようにも思いました。

機材スペックに余裕があれば、遠隔会議やイベント中継などでも伝えられる情報量が増え、演出の幅も広がります。この苦しいタイミングだからこそ、イベントや映像関係者の知見が新たに活かせる部分も大いにあるように思います。

また、現場で会える日までSTAY HOME!

WRITER PROFILE

編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。