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txt:VISIONGRAPH Inc. 構成:編集部

SXSW Online 2021バーチャルシネマ

2021年3月16日から20日までの5日間、SXSW Online 2021が完全オンラインで開催されます。その一部となるFilm Festivalでは、57本のワールドプレミアを含む75本の長編作品、ミュージックビデオを含む84本の短編作品、その他エピソードシリーズ作品やスペシャルイベント等がラインナップされています。

SXSWのFilm部門には、社会的なメッセージ性の強い作品が集まりやすく、毎年その1年を象徴するようなラインナップになります。今回は、その中でもVR作品を中心に取り上げるバーチャルシネマ部門の作品をピックアップしてご紹介したいと思います。

1.宇宙体験はどんどん身近なものに。NASAが取り入れるVRストーリーテリングの手法

昨年カンファレンスのテーマの一つに"Space"が新設されるなど、SXSWでは宇宙に関連するスタートアップビジネスやテクノロジーが今非常にホットな分野として注目されています。今年のバーチャルシネマでも、NASAの協力の元に制作されたVR作品が2本登場します。かつてはSFの話だった宇宙進出が次第に現実味を増していく中で、人々に宇宙をより身近な存在として感じてもらうためにVRストーリーテリングの手法が注目されています。

WebbVR:The James Webb Space Telescope Virtual Experience
Director:Chad Smith

NASAが2021年に打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって、月より遠い軌道上から、より鮮明に宇宙観測が可能になります。遥か遠くの惑星系の誕生の様子、銀河が形成され、色とりどりの星雲の中から星々が出現する様子をVRで体験できる映像作品です。

Space Explorers:The ISS Experience Episode 2:Advance(Canada,United States)
Director:Félix Lajeunesse,Screenwriters:Félix Lajeunesse,Paul Raphaël,Producers:Felix & Paul Studios in association with TIME Studios

実際にISS(国際宇宙ステーション)内部に設置されたカメラで撮影された事で注目される本作品。ISSの8人の宇宙飛行士と一緒に、宇宙でのミッションに取り組む体験ができます。CGによる作り物の宇宙ではなく、実際にカメラで撮影された本物の宇宙空間のVRでの再現度はどれほどのものなのか、非常に気になります。

2.新型コロナウイルスのパンデミックから考えるVRの活用方法

Poison(Republic of Korea)
Directors:Meesol Yi,Cooper Sanghyun Yoo,Screenwriter:Hyunsoo So,Producer:Wooyeol Jeon

没入型VR体験「Poison」では、ウイルスの知性と危険性を直感的に感じることができると言います。人々が目に見えないウイルスの存在に対して警戒心を持ち、自分たちの生活を改善する事を目的として開発されました。新型コロナウイルスのパンデミックにより、世界中が目に見えないウイルスへの恐怖を体験した2020年。このような「目に見えないモノを可視化する手法」は、VRストーリーテリングの新たな活用方法としてメジャーになるかもしれません。

3.過去から現在、そして未来へ向けた社会への問題提起を行うVRジャーナリズム

SXSWでは有名なNonny de la Peña氏は、世界に存在する様々な問題を疑似的に体験させるVRジャーナリズムの手法を唱え、これまで様々な作品を発表してきました。今年のSXSWでも、その流れを継承するような作品がラインナップされています。VRの没入感は、単に映像作品を見るだけでは得られない感覚を人々にもたらします。過去に起きた悲劇の追体験から、現在進行形の問題を描くものまで、目を背けたくなるような事件にも向き合う作品をご紹介します。

A Promise Kept
Directors:Ken Winikur,Ariel Efron,Screenwriters:Susan Abrams,Ariel Efron,Kelley Szany,Ken Winikur,Producers:Susan Abrams,Kelley Szany

ナチス・ドイツによるユダヤ人の大量虐殺の歴史。ホロコーストの生存者である女性が、自分の命を救ってくれた599人の女性との約束を果たすために、 アウシュヴィッツの収容所を訪れる様子を描くVRドキュメンタリー作品です。

Reeducated
Director:Sam Wolson,Producers:Ben Mauk,Sam Wolson,Nicholas Rubin,Matt Huynh

中国政府によるウイグル人に対する人権侵害問題として世界的な批判を集めている、新疆ウイグル地区の"再教育"収容所。実際に収容所に監修された3人の男性の回想をもとに、現在進行形で存在する民族差別を描くVRドキュメンタリー作品。

4.現実を超える体験で仏教の教えを理解できる?VRの新たな可能性

Samsara(Taiwan)
Director/Screenwriter:Huang Hsin-Chien,Producer:Tsau Saiau-Yue

仏教の思想である輪廻転生をVR映像の中で体験できる作品。観客は人間以外の別の存在に変身し、全く新しい視点から世界を体験することになります。説法を聞くだけではなかなか理解できないような宗教の概念でも、VRで体験する事ですんなりと納得し、新たな人生観を得る事ができるかもしれません。近年注目されている瞑想や、ヒーリングコンテンツとしての可能性も秘めています。

まとめ

2020年に発売されたOculus Quest 2など、比較的安価なVRデバイスが登場し始めたタイミングで開催される完全オンラインのSXSW。2016年から開催されているSXSWのバーチャルシネマ部門ですが、多くの人が自宅から最先端のVR映像作品を楽しめる様にまで普及した事には感慨深いものがあります。

今年のSXSWバーチャルシネマでは20作品が公開されます。今回ご紹介した以外にも興味深い作品が多数ラインナップされていますので、是非チェックしてみてください。

※SXSW Online2021 Film部門では、プレミアステータスや技術的な問題で、日本から一部の作品が閲覧できなくなる可能性があります

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WRITER PROFILE

VISIONGRAPH Inc. / 未来予報株式会社

イノベーションリサーチとコンセプトデザインが強みの未来像をつくる専門会社。SXSW Japan Officeとしても活動中。