州庁舎入口からデンバー市庁舎を眺めた様子
州庁舎と市庁舎はこのシビックセンター公園を挟んで東西に向かい合って建てられています。大勢の人たちが参加するパレードやデモ行進などの集合又は解散場所にもなっていて時々のパレードなどがここから出発します。

11月11日(日)はVeterans Dayと言ってアメリカでは退役軍人の現役時代の功績を讃える記念日となっています。デンバーのダウンタウンでは退役軍人の人たちのパレードが行われました。昨年まではこのVeterans Dayの地元新聞では第2次世界大戦で活躍した軍人たちの記録が特集ページとして掲載され、フィリピンでの「バターン死の行進」で生き残った人たちの状況が報告されていましたが、今年は次世代の「朝鮮動乱」時に活躍した軍人たちの記述が主体となっています。

広島へ原爆を投下したB29爆撃機「エノラゲイ」の機長/操縦士を務めた人が丁度最近亡くなって新聞やTVのニュースで伝えられましたが、徐々に第2次大戦の歴史を伝える生き証人の軍人だった人達が亡くなって世代が移って来ているのを思い知らされました。

一方、現在継続しているイラクでの死亡アメリカ軍人の情報が毎日もたらされて今年になってから既に850名を越えて今迄の記録を更新して益々厳しさを増して来ています。ウイークデイの毎日、夕方の6時からTVの全国ネットPBSチャンネルでは其の時々のニュースを取り上げて各メデイアの記者や当事者達に会談形式で伝える「The Newshour with Jim Lehrer」と言う番組がアンカーマンを務めるJim Lehrerさんの進行で放送されていますが、その番組の最後でその日に知らされたイラクとアフガニスタンで亡くなったアメリカ軍兵士の顔写真と階級、年齢などを無音で順次伝えています。

州庁舎正面玄関への石段
親子連れが見学に来ていました。中央に南北戦争当時の兵士の銅像と両側に当時の大砲2門が据えられています。

その中では圧倒的に20歳代前半の兵士が多く約半分を占めていますが、中には19才の兵士の死亡も多く伝えられて、何とも痛ましい思いに浸らされます。現在、次の大統領選挙への候補者を決める共和党、民主党のそれぞれの候補者達の選挙合戦が展開されていますが、事イラク問題となると暫時派兵縮小から極端な即時撤退まで広範囲な討議が繰り広げられていますが、いずれも解決にはほど遠くどうなることかと考えさせられてしまいます。

一旦治まった湾岸戦争にトリガーを引いてバクダッド侵攻を始めたのはアメリカ自身ですが、当時連邦議会では開戦反対をしたのはカリフォルニア代表の女性議員ただ一人だったわけですから、ほぼ全員の議員に責任があると言う事になります。

もっともこんな展開になるとは誰もが思わなかったと言うことだったと思います。過去太平洋戦争やベトナム戦争で多くの兵士の犠牲を出していますので、その教訓を活かしてうまい解決を行って欲しい、と願うばかりです。私事で恐縮ですが、私の次女のボーイフレンドは日常的には会社のコンピュターシステムの保守を務めていますが併せて海兵隊の予備役の兵士を務めています。 予定では来年春にはイラクへ派遣される事になっており、人ごととは思えない状況を感じている最近です。

今回のレポートでは、コロラド州の概況について皆さんへご紹介したいと思います。

コロラド州の地理

コロラド州の首府デンバー市に在るコロラド州庁舎の遠景
1890年にその基礎の石組みが完成して、1894年にこの建物が完成しました。中央のドームの金箔の屋根はコロラドのゴールドラッシュを象徴するものですが、1908年になってから取り付けられたもので、同時にこの建物の電気による照明も設備されています。前の道路に駐車している何台ものスクールバスは州庁舎の見学に来ている学校の生徒達を乗せて来たものです。

アメリカの地図を開いて見て頂くと、アメリカ本土の西海岸から全体の1/3くらいの位置で南北にはちょうど中央辺りに位置していますが、コロラド州はその総人口約480万人で東西に少し長い長方形の地形の州です。

東西の州境は東は西経102度03分、西は西経109度03分の経線で仕切られており、北は北緯41度、南は北緯37度の緯線で仕切られていますので、地球が球面である事から北が少し南の州境より狭い逆扇形をしています。

その首府はDenver市で人口約56万人で、私の住んでいる隣接するAurora市が約30万人強ですので、周辺の各町を含めていわゆるデンバー地区では100万人を越える人口です。

10年毎に行われる国勢調査で前回の2000年の調査では州の総人口は430万人強でしたが、以前の1900年の統計ではわずか54万人でしたので、ここ100年間で約8倍弱の増加となっています。

其の後も経済発展の影響を受けて都市部を中心に人口は増えて州の統計では現在480万人になっているとしています。

州の中央部をロッキー山脈が南北に走っておりその山岳地帯をHigh Countryと呼んでいますが、西山麓をWestern Slope、東山麓をFront Rangeと地元では呼んでいます。更に其の東側はアメリカ中西部に続くプレーリー地帯でデンバーから東へ一直線に伸びるハイウエイ70号線を100マイルと行かないうちに土地は広大で平坦な畑や牧場、牧草地帯となって、隣のカンサス州との州境まで続いています。そして、主要な都市は全て東山麓に沿って点在しており、北から、

     
  • Fort Collins/Loveland
  • Longmont
  • Boulder
  • Denver/Aurora
  • Colorado Springs
  • Pueblo

の各町となっています。ちなみにデンバーの緯度は北緯39度45分で日本で言うと秋田市や盛岡市と同じ緯度になります。

コロラド州政府が外国や州外の企業誘致の活動で使う州の売り込み口上としては下記の様な事になっています。

  • 年間で300日の日照日
  • 全米で2番目の高学歴労働人口
  • 54峰に及ぶ標高14000フィート(4200m)以上の山々
  • 全米で4番目に低い課税率
州庁舎の正面入口前の石段の丁度標高1マイル(1609m)の部分に丸い金属製の「Mile High Emblem」が取り付けられています。自転車でデンバー名所巡りをしている若者2人がマーキングの両側で休憩していました。

ちなみに首府のデンバー市は「マイルハイシテイ」と呼んでいて海抜が丁度1マイル(5280フィート/1609m)に在ります。

デンバーに在るコロラド州庁舎の正面入口の石段の丁度海抜1マイルの部分に金属でマーキング為されており、観光で訪れた人たちの記念写真撮影の場所ともなっています。

最近精密測量をし直してみたら少し違っていた、と言う事で現在のマーキングは3代目ですが、時代とともに測量技術の進歩が感じられますが、どのような方法で測量するのか興味が持てるところです。

コロラド州のミニ歴史

Coloradoの語源は最初にこの地へ入植したスペイン人達がスペイン語で「赤色の大地」と呼んでいた事から名付けられたもので英語で言えば「Red Colored Earth」の意味です。多くの土地や山肌に鉄分を多く含んでいることから赤色の土地が多くなっています。

1858年に現在デンバー市内を流れているSouth Platte 川とCherry Creek川の合流地点で砂金の堆積鉱床が発見されてからコロラドの「ゴールドラッシュ」となり、一角千金を目指す人たちでその人口が急速に増加して町としての形態が形成されました。

そして、1876年8月1日にアメリカで38番目の州として連邦議会と大統領に承認されています。

1876年と言えば日本では明治9年の事ですから、かなり新しい州だと言う事が出来ます。

シビックセンター公園の中に造られている荒馬に乗ったカウボーイの銅像です。この銅像は市民達にはかなりポピュラーでシビックセンター公園にあると皆が知っています。

アメリカ西部の開拓が進むに連れて西端の交通/通信の拠点としての役割上で重要拠点となってデンバーやコロラドスプリングスの町が発展して来ました。

時が流れて、放送/通信の事業分野では、アメリカでのケーブルTVの発祥の地でその全米へのサービスの地理的な有利点からケーブルTVトップ企業のTCI 社(Tele Communication Inc.) がその事業拡大をしていましたが、大手電話会社のAT&Tに買収され、AT&T Broadband社となり、その後最近になってペンシルバニアに本社を置くComcast社に買収されて、今や全米一のケーブルTV会社となっています。

アメリカのハイテク田舎コロラド

コロラドには航空宇宙産業、放送通信産業、バイオテクノロジー、コンピューターソフトウエアなど先端ハイテク企業が多く事業所を持って活動しているにもかかわらず、その本社機構をコロラド州内に持つ企業が少なく、好景気の時は多いに潤っても一旦不景気になると最初にレイオフなどの悪影響をこれまで大きく受けてきました。 そして景気回復による還元も遅れる様に成っています。コロラドが「ハイテク田舎」と言われる由縁です。

また、ハイテクベンチャーの起業が盛んで、それをサポートする基金が集まりやすい環境に有り、皆で資金を出し合って一山当てるゴールドラッシュ時代の名残かもしれませんが、 近年ではベンチャーキャピタルの活動も盛んですが、何かアイデイアを活かして事業を興そうとすると個人の資産家が大勢でリスクを負って投資する、と言う土地柄です。

コロラドの主要企業

地元新聞の毎日の経済欄の株式市況を報ずる部分にはコロラドに本社は持っていないがその雇用従業員数の多い企業25社についてと、コロラド内に本社を持っている主要企業25社とがそれぞれ区分されて載っています。それらの中からハイテク関連の企業名をピックアップしてみますと下記の様になっています。

コロラド外に本社が在り、コロラドに事業所を持つ主要ハイテク企業

会社名 コロラド内の従業員数 コロラド事業所の主要業種
Agilent 2800 電子計測器、電子医療機器
Atmel 2230 LSI 開発設計/製造
Boeing 2842 航空宇宙(ロケット)
Eastman Kodak 2200 X線フィルム、特大サイズ写真
EDS 1650 コンピューターシステム保守
Hewlett-Packard 3666 パソコン及びその関連システム、LSIデザインシステム
IBM 7800 大型テープシステム、高速プリンターシステム
Lockheed Martin 16141 航空宇宙(ロケット)
Raytheon 10100 軍需用システム機器
Sun Microsystems 2700 コンピューターシステム/ソフトウエア
Verizon Communications 4800 ワイヤレス携帯電話ネット

と日本でもかなり知られている企業が名前を連ねています。

コロラド内に本社を持つ主要ハイテク企業

会社名 全社の従業員数 主要業種
Ball Corp. 12500 航空宇宙(衛星)
EchoStar 15000 衛星TV放送Comcast
Level 3 6275 光ファイバーバックボーン
Liberty Media 7460 ビデオプログラミング社等の運用
Qwest Communications 61000 電話/光ファイバーバックボーン
Time Warner Telecom 1893 高速インターネットサービス
Titanum Metals 1956 チタン精製/インゴット製造

等となっています。

業種別に見てみますと

  • 衛星TV放送:
    業界を2分するDirecTVとEchoStarの2社ですが、コロラドの地の利を活かしてDirecTV社は衛星へのアップリンクの送信所をデンバーの南のCastlerockの町へ設けており、EchoStar社はその本社機構をデンバー地区のLittletonの町に持っていますが、アップリンクの送信所はコロラドの北
  • ケーブルTV放送:
    Comcast社が主力のケーブルオペレーターですが、一部の地域でUS Cable社とVCR Plus社のサービスが行われています。

コロラドはケーブル事業発祥の地と言う事も有って、デンバーの北西の町Louisvilleには全米のケーブルTV会社が資金を出して運営している研究機関のCable Laboratoryが在り、Arapahoe郡には全米各地のケーブルTVの発信基地へのプログラム送信所National Digital TV Centerが置かれています。

また、デンバーの町中にあるデンバー大学の構内にはCable TV Museumが在ってアメリカでのケーブルTV放送の歴史が分かる様になっています。

また、ケーブルや衛星放送への映画プログラムの配信プログラミングで知られているStarz/Encore社はデンバーに在ります。

  • 電話事業:
    経済集中排除法に基づきAT&T社から分割設立されたUS West社がコロラドを含む中西部14州の地方電話事業会社としてデンバーに本社を置いて活動していましたが、全米の主要都市をカバーする光ファイバーの高速バックボーン事業会社のQwest社が買収して、現在ではQwest社が両方の事業を行っています。また、デンバーの北西のBroomfieldの町にはやはり光ファイバーの高速バックボーン事業会社のLevel-3社が在ります。
  • コンピューターソフトウエア事業:
    コロラドではコンピューターのソフトウエア制作やシステムのメインテナンスを行っている会社が1人か2人でやっている小規模なものも含めて1200軒も在るとされていますが、最も規模の大きいビジネスソフト制作会社としてデンバーにJ.D.Edwards社がありますが、最近やはりコンピューターソフトの大手であるPeopleSoft社に買収されてその傘下に入っています。アップル社のMacに特化した画像処理ソフトで知られているQuark Software社もデンバーに在ります。
  • 高速光ファイバーネットワーク事業:
    経済集中排除法に基づきAT&T社から分割設立されたUS West社がコロラドを含む中西部14州の地方電話事業会社としてデンバーに本社を置いて活動していましたが、全米の主要都市をカバーする光ファイバーの高速バックボーン事業会社のQwest社が買収して、現在ではQwest社が両方の事業を行っています。また、デンバーの北西のBroomfieldの町にはやはり光ファイバーの高速バックボーン事業会社のLevel-3社が在ります。
  • 航空宇宙/軍需産業:
    衛星打ち上げや宇宙探査船のロケットによる打ち上げ事業のアトラスロケットで知られているLockheed Martin社のロケット部門はデンバーの南西のJefferson郡に在り、デルタロケットのBoeing社のロケット部門はコロラドの南のPuebloに在ります。今迄Puebloの事業所のDelta IIIまでが主体で使われていましたが、最新のDelta IVからはアラバマ州の事業所で製造される様になって事業所は縮小されています。前記の2社の他に軍需産業事業で知られているRaytheon社、Northrop-Grumman社のそれぞれの大きな事務所がAuroraの町に在ります。宇宙衛星や宇宙観測システムの製造で知られているBall Aerospace社はデンバーの北に接しているBroomfieldの町に在ります。
  • コンピューター記憶装置事業:
    IBMの初代デスクトップパソコンIBM-PCに続くハードデイスク内蔵のIBM-XTの大ヒットにより、そのHDDの供給メーカーであったコロラドのLongmontの町に在ったMiniscribe社の急成長により、コロラドでのコンピューター記憶装置の事業が一躍注目を浴びる様になりましたが、現在では下記の様な良く知られた多くの各メーカーが活躍しています。
 
Loveland Hewlett Packard(光デイスクシステム)
Longmont Maxtor(HDD)
Seagate(HDD)
富士通(ハードデイスクシステム)
Cornice(HDDフラシュメモリードライブ)
IBM(エンタープライズテープシステム)
Boulder Exabyte(テープドライブ)
Louisville StrageTek(エンタプライズテープシステム)
InPhase Tech.(フォログラフィックメモリーシステム)
Colorado Springs Quantum(テープドライブ)

その他、従業員数は少ないもののハイテク先端のベンチャー企業も数多く在って活発に活動していますのでこのレポートでいずれ順次紹介して行きたいと思います。

あとがき

正面から見たデンバー市庁舎の様子
左にアメリカ合衆国の国旗、右にコロラド州の州旗がたなびいています。現在11月22日のサンクスギビングデイから点灯する毎年恒例の電飾飾り付けの取り付け工事が行なわれていました。今迄は数多くのカラー白熱電灯で飾っていたのですが、昨年から白 色、赤色、青色、オレンジ、緑色などのLEDのランプに変更したので来春1月10日迄毎晩通して点灯しているので、その電気代が約3分の1で済み、多額な節約になったとしています。毎年このシーズンには州内の多くの人たちがその電飾見物に訪れます。

11月22日はアメリカではThanksgiving Day(感謝祭)で祝日です。この前後の期間は人々の移動が年間でも最も活発と言う事で、特に航空業界では最も掻き入れ時となっていますが、事前にブッシュ大統領がこの期間の航空便の混雑や乗客が空港で待たされたり、セキュリテイチェックで長い行列待ちとなったりするのを緩和するための特別対応策を発表しています。

デンバー国際空港では、事前の対応策を発表していますが、最も心配なのが大雪などの天候不順で、この冬の除雪能力の大増強計画に基づいた準備をしています。サンクスギビングが過ぎると、あとはもうXmasに向けてまっしぐら、となるコロラドです。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。