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[コロラド紀行]Vol.6 D-Day ~ 地上波TV放送が全面デジタル移行

2007-12-22 掲載

クリスマスが間近に迫って来ましたのでデンバー地区の各店々ではクリスマスセールの真っ盛りで賑わっています。併せてこの時期は11月下旬のThanksgiving Dayの3連休に次いで人々の移動が多い時期で、特にデンバー空港はその利用客で毎年大変混雑します。

サンタクロースとキャンドルのランプ飾り付け
サンタクロースやキャンドルの飾り付けはポピュラーですが、その他にトナカイとか雪だるま(Snow Man)の飾り付けも見られます。

今年のクリスマスは12月25日が火曜日となっている為、12月22日(土)、23日(日)、24日(月)Xmas Eveと4連休となるところが多く、人々の行き来が例年より激しくなると予想されています。

デンバー国際空港当局では、今年のクリスマス前後の空港利用客数の予測を発表しており、空港での乗り継ぎ客を含めて、その期間中の乗客総数は106万人に達するものとみて対応準備を進めています。

特に、12月21日(金)が16万6839人、12月22日(土)が16万2910人でこの両日の混雑が最も激しいと言う予測となっており、デンバー空港では到着便の出迎えの人々の車の混雑を避ける為にこの土曜日から月曜日までの3日間空港ターミナルの付属駐車場での駐車は1時間以内は無料とする、と発表しており、空港ターミナルへの途中に在る45分間までの無料待機駐車場の利用も含めて駐車時間の短縮を計って車の回転率を上げようとしています。

待機駐車場は到着便で空港へ着いたお客の出迎えの車がターミナル手前の専用駐車場で待機していて、携帯電話で到着客が連絡をとると短時間でピックアップ出来る様になっている仕組みです。

日本と異なりNew Year’s DayよりもXmas Dayの方が賑やかな期間ですが、今度のNew Year’s Day(元日)は火曜日となるので、12月29日(土)、30日(日)、そして31日(月)New Year’s Eveと元日迄4連休となるところが多くなりそうです。

今回のレポートは、デンバー地区で建設中のデジタルTV放送の共同アンテナの状況とアメリカでの地上波TV放送のアナログからデジタルへの移行の様子について報告します。

デンバー地区の地上波デジタルTV放送専用共同アンテナ建設

これまでアメリカの30大都市での主要放送局のデジタル放送が優先で実施されて来ていますが、デンバーもその中のひとつに入っています。しかしながら、先の航空機を使った同時多発テロでWorld Trade Centerビルを失ったニューヨークと新しいデジタルTV専用の送信アンテナの設置でもめていたデンバーの2都市だけが本格的なデジタル移行準備が進まずにいました。

デンバー地区の老人団地のクリスマス電飾
私の住んでいるAurora市とDenver市の境に在る引退した人達が住んでいるアパート団地「Windsor Garden」のクリスマス電飾の様子です。広大な敷地に4階建ての多くの部屋のアパートが数多く建設されている団地で、敷地内部は環状の広い道路があって、それに沿って両側に各アパートが建てられており、公共のバスが循環していてアパートの住民達の足となっています。 毎年、その各アパートごとに趣向を凝らした電飾が行われていてこの季節の名物となっていますが、今年も盛大に飾り付けられました。あまりにも多いので全部を皆さんにご覧頂けませんが、何枚か目に留まったものを紹介します。

デンバーの西のGoldenの町はビールのCoorsの本拠地ですが、町の西側はロッキー山脈の東山麓の端が迫っていて、急勾配の登りとなっています。そして、Goldenの町の方へ突き出した崖となっていて、その上からはデンバー地区が一望出来るLookout Mountainと言う高台となっています。

1952年にデンバー地区での最初のTV放送が始まった時に送信アンテナ建設の為に選択された場所で、それ以来、この場所にはデンバー地区をサービスエリアとするTV放送局各社の送信アンテナが林立しており、中間に障害物が無い事から理想的な送信アンテナ基地となっています。全米での地上波TV放送がデジタルへ移行するにあたり、早くよりデジタルTV専用の放送各社共同の送信アンテナの建設が申請されていましたが、その強い電波がその付近の住民のガン発生の確率を高めると言う事と、冬期にアンテナに凍結した氷が解けて落下して来る危険との2項目で建設の可否をめぐって争われて来ました。

FCCの定めるデジタル完全移行の期限が迫って来ている事から、地元Jefferson郡のコミッショナーから一旦建設の認可がおりましたが、その後Jefferson郡の地方裁判所の担当判事が申請について再検討を要求してコミッショナーへ差し戻しを命じて再検討を行いましたが、2004年8月に再度建設の認可をおろしています。しかし、今度は住民側からアンテナの鉄塔が事故で倒れた時にその崖の下の住宅を押しつぶす危険が有り、また、一本の鉄塔が倒れた影響で他のアンテナ鉄塔が倒れる危険が有ると言う事で訴えて、裁判所が再度差し戻しをしています。

デンバー地区での討議の対象となって来たデジタルTV送信アンテナは、CBS系の(第4チャンネル)、ABC系の(第7チャンネル)、NBC系の(第9チャンネル)、UPN(第20チャンネル)の4社がLake Ceder Groupという団体を結成してDTV専用の共同アンテナの建設推進を行って来たもので、問題点の解決の為にアンテナ予定地から近距離に住んでいた人達の家や土地を買収して、もはや危険は無いのだ、としています。 そしてアンテナはLookout Mountainに建っている現在の各アンテナのうち一番高い834フィート(254m)よりは高くならない計画だとしています。

高い樹木の飾り付け
高く迄伸びたブルースプルス木に付けられた電飾です。クレーン車でも使って飾り付けたのでしょうか? 素人ではここまでは出来ないと思われます。専門の職人に頼んで飾ったのだと思います。

このままではFCCの定める14ヶ月後に迫って来ているデジタル完全移行期限に本格的な対応が間に合わなくなる、と言う事で今年の6月にコロラド州知事の仲介で話し合いが進んで、やっとアンテナ建設工事が始まりました。

既に前記のLake Ceder Groupの4社とWarner Brothers系の(第2チャンネル)とPBS系の(第12チャンネル)の合計6社はデンバーのダウンタウンに在る一番の高層ビルの17th Street Plazaビルの屋上のアンテナを使ってデジタルTV放送電波を出していますが、そのサービスエリアの広さではLookout Mountainにはとても及びません。

FCCでサービスエリアをシュミレーシヨンした結果によると、現在の17th Street Plazaビルからのサービスエリアは北はLongmontやBoulderの町、南はCastle Rockの町迄をやっとカバーしていますが、Lookout Mountainからの送信が始まると更に北はFort Collinsの町、南はColorado Springsの町迄を充分カバー出来るとしています。

Lookout Mountainの代替案として、もう少しロッキー山脈を登ったところに在るSquaw Mountainの山頂にアンテナ建設を行う案も提案されましたが、建設工事の為に新たな道路の建設や、タワー周辺の整地、そして送信所への送電線の設置、各放送局から送信アンテナへのアップリンクの新設など新たな建設が膨大な事になる為、実績の在るLookout Mountainで最終決着が着きやっと建設工事開始へこぎ着けています。

アメリカの30大都市の中で一番最後の地上波デジタルTV放送の準備地区となってしまいましたが、何とか期限迄には本格的なデジタル放送への移行が出来そうです。

FCCの定めた地上波TV放送の従来からのアナログ方式からデジタル方式への移行スケジュールに沿ってその作業が業界で進行しています。コロラドに於いても既に放送時間限定ですがNBC系列のKUSA(第9チャンネル)など4つの放送局がデジタルTV放送の電波を出しており、特にKUSAではそのローカルニュース番組はHDTV電波で放送しています。

従来からのアナログ電波の放送は継続しており、新しい電波割当をもらって同じプログラムをパラレルにHDTV電波でも出しています。FCCの定めているデジタル移行の主要スケジュールに付いては下記の様になっています。

  • 2009年2月17日
    現在の全米のTV放送局全てについて、そのアナログ方式からデジタル方式への全面切り替えの期限となっています。各放送局は新たな割当電波を使用し、今迄のアナログTV放送で使っていた電波をFCCへと返還することになります。
  • 2007年3月1日
    この日以降はアメリカ国内から、またはアメリカへ外国から輸出されるTVセットはその中にデジタルチューナーを内蔵して既に行われているデジタルTV放送が受信出来なくてはならない事となっています。
  • 2007年5月25日
    この日以降はアメリカ国内でデジタルチューナーを内蔵していないTVセットを販売する業者は、その商品がアナログチューナーのみを内蔵していて、2009年2月17日以降はアンテナを介して受信する地上波デジタル放送を受信するためには、特別なデジタルからアナログへのコンバーターボックスの接続が必要となる、と言う事を表示して消費者に明らかにすることが義務付けられています。

アメリカでの地上波TV放送のデジタル移行スケジュール

部屋の中迄飾り付けたアパート
環状道路との間の芝生だけでなく、部屋の中迄満艦飾の飾り付けです。

従来のアナログ方式のみのTVセットは全部の地上波TV放送局がデジタルとなる2009年2月17日以降もケーブルTV、衛星TV、ゲーム機などへは継続して使用出来ます。

但し、現在デジタル方式とアナログ方式の放送が混在して使用されているケーブルTVシステムに於いてアナログ方式のみのサービスを受信している全米で約4000万所帯の視聴者に対しては、2012年2月迄は継続して現行のTVセットでアナログケーブルTV放送が受信出来る事をそのケーブルTV会社が保証する事としており、その為の方法として各ケーブルTV会社はデジタル放送信号をアナログに変換して供給するか、または、そうした視聴者に対してデジタル放送信号をアナログに変換するコンバーターボックスを供給する事が義務付けられる事になります。

と、言う様な事でTVセットの市場へのアナログ方式の商品供給を止めて、一定期間はデジタルTVセットに買い替えないでいる視聴者の救済策としてデジタルからアナログへのコンバーターボックス(連邦議会では一台30ドル以下の価格での供給を希望している)を準備して全面切り替え時の混乱を凌ごうという方針となっています。

これまで、アメリカに於けるTV放送の視聴者総数の65%はケーブルTVの視聴者で占められていて圧倒的な「ケーブル大国」でしたが、最近、衛星TV放送の視聴者獲得戦略が功を奏して、新規視聴者のみならずケーブルTVの視聴者迄も食ってその数を伸ばして来ていますのでケーブルの視聴者比率は62%位に低下している現状です。

ここ2年間の第3四半期に於けるケーブルTVのトップ2社と衛星TV社の視聴者数の増減は下記の様になっています。

ケーブル/衛星 会社 2006/3Q増減 2007/3Q増減
ケーブルTV Comcast +11,000 – 65,000
ケーブルTV Time Warner + 3,000 – 83,000
衛星TV EchoStar + 295,00 +110,000
衛星TV DirecTV +165,00 +240,000

と言う様な星取り表となっていて、衛星TV放送の健闘が顕著です。

また、そうしたケーブルや衛星そして地上波でのTV放送を受信している視聴者の中にはパソコンを介してパソコンのデイスプレイで見ている視聴者も多数にのぼり、今後インターネットプロトコルベースのTV放送サービスが増加して来ると、ますます、そうしたパソコンの画面でTVプログラムを楽しむ人達が増加する傾向に有ります。

ちなみに、アメリカの総人口は極く最近3億人を越えたところですが、こうした市場統計などに関する基礎数字としてのアメリカ全土の所帯数は1億2000万所帯という数が一般的に使われています。

また、一般にRabbit Ear Antenna(ウサギの耳アンテナ)と呼ばれている室内用のアンテナを使って地上波TV放送を視聴している家庭は全米で約2000万所帯有ると推定されており、地上波TV放送のデジタル化でその放送電波の周波数は現在のVHF帯にあるものは無くなって全てUHF帯となるため、室内アンテナのウサギの耳部分は不要となり、UHF帯に対応した小型なアンテナとなります。

こうしたデジタルTV専用の受信室内アンテナは既にいくつかのメーカーから発売されており、既に例えばRCAブランドの商品が「HDTVアンテナ」と称して販売されています。

現行のアナログTV放送のTVセットを継続してデジタルTV放送を見る人達にとって、この「HDTVアンテナ」とコンバーターボックスとを一体化したシステムがポピュラーになるかもしれません。

今迄、しばらく先の話だ、と思っていましたが、その時期が刻々と迫って来ています。アメリカでの地上波TV放送が全面デジタル移行の「D-Day」は2009年2月17日の翌日2月18日です。

あとがき

アパートの入り口の電飾
一つの建物はその両側に入り口が有って、2階以上の人達用のエレベーターが付いています。杖の形をしたキャンデー「Sugar Kane」の電飾がいくつも並んでいます。

クリスマスが目前となってデンバー地区の公共の建物や商店、そして多くの家庭での小型のカラーランプを沢山使った電飾が多くなっています。

今回のこのレポートでの写真は私の住んでいるオローラ市とデンバー市の境に在る引退した人々が住んでいる広大な土地に4階建てのアパート群の団地内でのクリスマスのイルミネーシヨンの様子を幾つか見て頂きます。

地元新聞ではこの季節になると、毎年デンバー地区での家庭の電飾の様子を取材しており、その素晴らしい家庭電飾のランキング付けリストと場所、その家の人のコメント、そしてWebでの検索で、其の読者の家の住所からそれらを見物するのに適した道順などを提供しています。 あまりにも沢山リストされているので、読者としては、「自分の家から何マイル以内の距離に在るトップ何位までを見たい」といったリミットを入力するとそれに応じてマップを提供してくれます。

多分、今年中にもう1回分のこのレポートがお送り出来ると思いますが、次回ではこうした一般の家庭での電飾の様子を写真に撮って来て皆さんに見て楽しんで頂こうと思っています。


WRITER PROFILE

萩原正喜 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。


[ Writer : 萩原正喜 ]
[ DATE : 2007-12-22 ]
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