例年なら9月に2回くらいのまとまった降雪が有るのですが今年はどうしたことか、デンバー地区での降雪が見られません。この調子では10月も全く雪を見る事無く終わりそうです。

それでもロッキー山脈の各峰嶺は8月に1回、9月に2回、そして10月に入ってから1回と雪が降って最低気温だけは摂氏零度以下に下がって来ていますので標高の高いところに在るLovelandやArapahoe Basinの両スキー場では人口降雪機を使ってのオープンが10月12日の日曜日に早くも行われ、その後標高の高い順に毎週末順次各スキー場がオープンをしています。

デンバーは標高がちょうど1マイルの高さに在る事から「Mile High City」と自ら呼称していますが、写真はデンバー市と私の住んでいるオローラ市とを結んでいる通勤道路Alameda Avenueに在る市の境界線を示す道路標識です。 「Elevation 5280 Feet」という標高を示す表示がされていますが、5280フィートはちょうど1マイルでメートルに直すと1609mと言う事になります。 コロラドは山が多い事も有って道路標識にこうしたその場所の標高を示す数字が表示されているものが多くなっています。

写真はオローラ側からデンバー側に西に向かって見ているところですが、道路標識の支柱の間から雪を冠ったロッキー山脈のごく一部「Mount Evans(標高14264フィート/4348m)」を中心とする峰嶺が見えます。 道路の右側はかってのアメリカ空軍基地「Lowry Air Force Base」の跡地ですが、広大な土地がデンバー市とオローラ市に払い下げられて現在住宅、ビジネス、公共施設などの開拓が行われていますが、あまりに広すぎて一時には埋められず現在パブリックのゴルフコースとしても一部が使用されています。

同じ道路の反対側デンバー側からオローラ側を見たところです。 道路標識にはオローラ市の標高を示す「Elevation 5471 Feet」という表示が見えますが、5471フィートはメートルに直すと1667mと言う事で、デンバー市よりもオローラ市の方が58m高くなっている様です。

オローラ市のこの高さは市内のどの部分で決められているのか不明ですが、もともとロッキー山脈の東山麓地帯は大昔は内海となっていて、ロッキー山脈から長い間かかって流れ出した土砂が堆積して出来た土地だと言われています。 デンバー市側にはSouth Platte川やCherry Creek川などの更に土砂を東の方へ押し流す川が有りますが、オローラ市側にはそれが有りませんので、オローラ市側の方が少し高くなってしまっているのだと想像されます。道路の右側にはKaiser Permanenteという医療保険会社の運営する病院が在ってその広い駐車場となっています。

ガソリン価格が下がって来ている

アメリカの各地で今迄1ガロン当たり4ドル以上していたレギュラーガソリン価格がここ2週間の間に急激な下がり方をしています。

AAA (American Automobile Association) 調査による日常のアメリカ各地での価格の統計をfuelgaugereport.comで毎日見る事が出来ますが、コロラド州はアメリカ各州の中でもガソリン価格が低い方の数字を常に示しています。ここのところその平均値で下がって来て1ガロン当たり3ドルを割って来ています。

コロラドでの10月21日の価格平均値は2.97ドルとなって3ドルを8ヶ月振りで割って来ていますが、その前日の10月20日では3.005ドルでした。地元の情報筋では、これから暫くの間はアメリカ経済の活況が戻る迄は4ドルを越える事は無いだろう、としています。

しかしながら、このガソリン価格を押し上げる要因としては、主要な精油工場の火災とか油送パイプラインの破裂などがありますが、世界的な規模での経済不況の心配が続くかぎり消費者の需要低下が継続するので、ガソリン供給元の市場への供給過剰の状態が続くと見られています。

アメリカ全体でのガソリンの消費量は10月13日の週にはその前の週の消費量に比べて約5%の低下を示しましたが、それがトリガーとなってこの様に1ガロン当たり1ドルもの値下がりを示すのですから、アメリカの消費者のもう一段のガソリン節約が期待されるところです。 [参考] 1Gallon = 3.7853 liter

デンバーとオローラとを結ぶ通勤道路Alameda Avenueの両市の境界に在るガソリンスタンドの様子です。 写真は5月24日(金)の午前中に撮影しましたが、レギュラーガソリンが1ガロン当たり2.69ドルと言う表示となっています。 1月前には4ドルを越えてどうなる事かと思われましたが少しホッとした感じです。

デンバーのダウンタウンの各ホテルが盛況

8月に民主党全国大会が開催されたデンバーでは各ホテルの活況が認められましたが、Robert S. Benton & Associates社の「Rocky Mountain Lodging Report」によりますと9月のデンバーのダウンタウンの各ホテルの占室率は8月の実績を少し下回ったものの9月もかなり盛況であった、としています。

デンバーのダウンタウンに在る各ホテルの平均占室率は平均で9月は79.5%で8月の実績の80.8%をわずかに下回っています。 また、宿泊料金の平均値は、9月が一部屋当たり174.91ドルで8月の平均180.42ドルを3%程下がっています。

一方、デンバー地区全体ではダウンタウンのみの数字に対して、平均占室率では9月は73.1%で宿泊料金は125.93ドルなっており、昨年同月が75.5%/117.15ドルであったことから、総収入は昨年同月とほぼ同等となっています。

また、2008年の1月から9月迄の平均占室率は69.0%で宿泊料金119.99ドルとなっており、前年同期間の69.6% / 111.41ドルを占室率で下回り、宿泊料金で上回った、と言う結果となっています。

更に、9月のコロラド州全体では、66.5%/124.16ドルに対して、昨年同月の70.5%/118.06ドルと同様な実績となっているとしています。

フラットパネルTVセットの価格が下降傾向

市場調査会社のNPDグループの市場分析者の最近の報告によると、消費者の財布のひもが固くなって来ているのと、セットの製造能力が伸びすぎて来ている事とから、今年の年末商戦時のフラットパネルTVセットの販売価格は空前の低下を見せると言っています。

同レポートでは、11月27日(木)のThanksgiving Dayの後の「Black Friday」以降から、その価格は急速に下がり始め来年まで価格低下は継続する、としています。

例えば、32インチのLCD TVセットについては現在その販売価格は600ドルから700ドルとなっていますが、長期的に見た平均値で店頭価格は350ドルくらい迄下がるとしています。

消費者自身やクレジットカード会社などが高価格商品の購買に対してその消費を引き締めるので、今年は小型サイズのTVセットが大きく売り上げ台数を伸ばすものと予測しています。

32インチのTVセットはコモデイテイ商品となって来て、40インチや42インチのTVセットは市場では1000ドルの価格を既に割り始めており、地上波アナログTV放送が停まる2月17日に向かって今迄のTVで継続視聴するにはコンバーターボックスが必要となることから、デジタル放送対応のフラットパネルTVのセールスを押し上げる要素となるとしています。

いずれにしても、Thanksgiving Dayから始まる全末商戦でどのような展開となるか大変興味が持たれるところです。

第3四半期の世界のパソコン出荷量が増加

調査会社のIDCによると、世界のパソコンの今年第3四半期(7月~9月)の出荷台数はアメリカの経済金融不調により市場分析社達の期待値を下回ったものの前年同期比で15.8%の増加を示し総計8010万台となったとしています。

アメリカ市場のみの出荷台数は昨年同期に比べて5.3%上昇して1810万台となったとしています。また、日本を除くアジア太平洋地域では2桁以上の伸びを示し、欧州、中近東、アフリカでは需要が強く第3四半期の結果を元気付けています。

HP (Hewlett-Packard) 社は世界で最大のパソコン会社としての地位を維持しており、世界市場の18.8%を占めています。 そして、Dell Computer社が第2位で14.2%、台湾のAcer社が3位で12.5%となっています。

アメリカ市場については、Dell Computer社が首位で29.2%、HP社は2位で25.1%の占有率となっています。 Apple社は9.1%を占めてアメリカ市場の第3位の地位を確保しました。

HP社がノートパソコンの売上げの伸びで5月~7月の第3四半期好調決算

Hewlett Packard社はその世界一のパソコン事業部がコロラド州の北のFort Collinsの町に在りますが、最近同社の第3四半期(5月~7月)の業績発表が行われて、その利益が前年比で14%の増加となり、新しいデザインのノートブックパソコンの売り上げ好調によりその市場占有率で2.6%の伸びを示した、としています。

利益金額は昨年同期が17億8000万ドルであったのが、今年の第3四半期は20億3000万ドルとなっています。 その主力商品として同社のパソコン部門の売り上げの伸びが15%を示して、特にノートパソコンの新型の斬新な外観デザインでメタリック仕上げの商品が消費者に受けてその売り上げに大きく寄与したと言われています。

HP社は2年前にそれまでパソコンの売り上げでは首位を占めていたDell社を追い抜いて以来首位の座を確保して、現在では同社の売り上げの1/3をパソコン事業で占めています。

特に同社のアジア太平洋地区でのパソコンの売り上げの伸びは14%を示した、としています。

同社の第4四半期(8月~10月)の予想見通しでは売り上げが302億ドルから303億ドルになるものと予測されています。

デンバー/オローラ地区の経済規模が全米で16位

The Bureau of Economic Analysis(経済分析局)から最近その調査データの公表が行われて、2006年の経済活動規模でデンバー/オローラの首府圏地区は全米で17位であった、と報告されています。

全米の総合GDPは1220億ドルで前年より3.2%の伸びでしたが、デンバー/オローラ地区はそれより少し高い伸びの3.3%を示したとしています。また、コロラドのボールダー地区は全米の111位で、GDPは153億ドルと前年より5.3%の伸びとなっています。

また、全米の363の首府圏のうち55地区、特に5大湖周辺の各地区での建設及び耐久消費財の製造業のGDPが停滞している、としています。 一方、カリフォルニア州のSan Jose地区が大きな伸びを示して、順位を上げたのに対して、デンバー/オローラ地区は2005年よりわずか順位を上げるに留まった、としています。

コロラド北部地区での来年の失業率の予測

アメリカ経済が不調な状況を示す中、コロラド州立大学の経済学者2名によりレポートが発表され、コロラド州北部のGreeley、Loveland、Ft. Collinsなどの市を含むLarimer郡及びWeld郡の2009年に於ける雇用創出の伸びは4000人と予測され、現在全米で進行している金融破綻の影響を受けて今年2008年の雇用拡大数とほぼ同じの1.9%の伸びになると推定しています。

2006年及び2007年の失業率が相対的に低かった事から、2008年7月現在でのコロラド州北部地区の失業率の4.9%という数字に対して2009年の失業率は少し低めの約4.5%近辺を示すと予測されるとしています。

民主党全国大会のデンバー市の収支決算

先の8月25日から28日にかけてデンバー市で開催された民主党全国大会によるデンバー地区へもたらした経済効果についての調査決算報告がデンバー市長のJohn Hickenlooper氏より行われて、事前の予想を大幅に上回る好成績となった、と公表されています。

その内容の主な部分について見てみますと

この全国大会に参加する為にデンバーを訪れた人の数
民主党員 6,000名
アメリカ内及び外国からのニュースメデイアのメンバー 18,000名
民主党員の家族や役員そして招待客など 26,000名
ホテルに宿泊した人数
デンバーのダウンタウンのホテルに宿泊 約12,500名
デンバー周辺のホテルに宿泊 約15,500名
総合的に試算した結果
デンバー地区にもたらした経済効果金額 2億6610万ドル
内訳
この大会そのもので使用された費用 1億3350万ドル
デンバーの市内で使われた金額 1億3260万ドル
租税収入
ホテルの宿泊税,消費税、物品税などでデンバー市へ入った租税収入 270万ドル

などとなっています。

当初資金不足で赤字になってしまう、とHickenlooper市長が早期に白旗を挙げてしまいましたが、それに呼応して個人からの基金供与が行われて、6000万ドルの寄付金が集まったが、その80%はデンバー市以外の人達からのものであったとしています。

また、当初のデンバー市への経済効果の試算では1億6000万ドルと見積もられていましたが、それを大きく越えた実績結果となっています。 特に最終日のBarack Obama大統領候補の演説を会合会場のペプシセンターからより大勢の観客を収容出来るMile High Stadiumへ移して行った事がその収入面で大きかった、としています。

コロラド始まって以来の大行事が無事行われた事から、この収支決算の状況とともにホッとしているHickenlooper市長とその関係者達と言えると思います。

フォトギャラリー~Halloween特集~

ハロウイーン名物カボチャの販売(1)
Halloweenの時期は収穫の秋でもありますので、夏の間に育てられたカボチャが店の軒先に大小いろいろなサイズで沢山積まれて販売されます。カボチャの中身を繰り抜いて馬車にすれば「シンデレラ」ですが、ハロウイーンでは目や口そして鼻などの形に穴をあけて中にローソクを灯して悪魔の顔の形にして家の前に飾ります。いろいろなコスチュームを付けた子供達がそのカボチャの顔の点灯している家を1軒ずつ訪問して「Trick or Treat」と呼びかけると各家では準備してあるキャンデーやチョコレートなどのお菓子を子供達に渡すと言う仕組みです。日本でも田舎ではまだその習慣が残っている「十日夜」の習慣に良く似た行事だと思います。
ハロウイーン名物カボチャの販売(2)
我が家から近くに在る野菜や食品を主体としたスーパーマーケットチェーンのAlbertsons店の入り口の軒下に開設したカボチャの特別販売コーナーです。例年ですとこの3倍程の規模でカボチャが並べられるのですが、店の人の話では今年は夏に畑地で雨が少なかった為に収穫が悪く入荷が少ないのだ、と言っています。
ハロウイーン名物カボチャの販売(3)
やはり、我が家から近くに在るスーパーマーケットチェーンのSafeway店の入り口の軒下に開設されたカボチャの特別販売コーナーです。心無しか、今年は入荷量が少ないだけでなく、サイズが小さいカボチャばかりかの様に感じます。大型の物は既に売れてしまったのかもしれません。
ハロウイーンの飾り付け
我が家から直ぐ近くに在る家でハロウイーンの飾り付けにご覧の様な大きな空気を入れて膨らませたフランケンシュタインの人形を設置しました。内部に電灯が入っていて夜はそれを点灯する様になっています。

あとがき

10月末となって来ると、コロラドでもいよいよ年末へ向けての慌ただしい雰囲気になってきます。ご参考迄にアメリカでのこれから年末へ向けての行事や祝祭日を列記してみますと以下の様になっています。

  • 10月31日(金) Halloween(ハロウイーン)
  • 11月 2日(日) Day Light Saving Time end(夏時間終了)
  • 11月 4日(火) Election Day(選挙投票日)
  • 11月11日(火) Veterans Day(退役軍人記念日)
  • 11月27日(木) Thanksgiving Day(感謝祭)
  • 12月21日(日) First Day of Winter(冬期の最初の日)
  • 12月25日(木) Christmas Day(クリスマス)
  • 12月31日(水) New Year’s Eve(大晦日)

こうしたカレンダーの日程にのって町での年末商戦が激しく行われるので自然と慌ただしさを感じさせられる訳で日本でも同様と思います。 それに今年はアメリカ大統領の選挙が11月4日に行われますので一層その感が強い年末になりそうです。

私の住んでいるオローラ市では今迄降雪こそ無いものの、朝起きて庭の芝生を見ると芝生の表面に水滴が氷付いてちょうど霜が降った様なうっすらと白くなっている毎日です。明け方の最低気温は摂氏零度を下回る日がほとんど毎日となって来ました。

この「コロラド紀行」もスタートしてからちょうど1年目を迎えました。今後もコロラドらしい出来事を皆さんにこの欄を通じてお伝えして行きたいと思っていますのでご愛読の程をお願い致します。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。