年の初めの1月に催される毎年恒例のショーといえば、ラスベガスでのConsumer Electronics Showそしてデトロイトでの自動車ショーなどがありますが、コロラドではデンバーの北の国道ハイウエイ70号線沿いに在るデンバーコロシアムを中心会場とするNational Western Stock Showが昔からの名物となっており、今年も1月8日(土)から1月23日(日)までの16日間にわたって開催されています。

本来、牛や馬そして羊などの家畜の取引市なのですが、期間中にはカウボーイ達のロデオ大会を始めとするいろいろなショーや競技会が行われ、コロラド州内を始め周辺の各州からの見物客を毎年60万人以上集めての一大イベントとなっています。

また、昨年11月8日のElection Dayに行われた選挙で圧倒的な住民の支持を得て新しいコロラド州知事に選出された今迄のデンバー市長であったJohn Hickenlooper 氏が前任のBill Ritter知事の後任として第42代のコロラド州知事に着任する就任式(Inauguration)が1月11日(火)に州庁舎で行われました。

セレモニーは朝の10時から始まったのですが、この日の天候は晴れで良かったのですが、気温が風もないのに開始時間で華氏19度(摂氏零下7.2度)と非常に寒く、凍り付く様な中での式となりました。

更にコロラド州は全米の他の州に比較して人口増加が急激であり、また、第2次世界大戦後のベビーブーマー人口の人達が引退をするタイミングとなって来ており、特に州政府として教育、交通、健康保険、人道対応といったサービスについて効果的な施策を早急に打つ事が必要とされています。

また、併せてコロラド州に於ける失業率は昨年11月で8.6%と高いままに推移しており、全米での失業率は同じタイミングで9.8%となっていますが、コロラド州は全米でも高い方になっていることからこの早急な改善が重要課題となっています。

そうした厳しい経済環境を感じさせる厳しい寒さの中での新たな知事の就任でしたが、コロラド住民たちはHickenlooper知事がビジネス出身であり新たな事業などをこれまでに多く手がけてきている経験と今迄のデンバー市長としての実績に期待して多くの支持を集めました。今後の新政権下での新知事の活躍によるコロラド州の成り行きに注目です。

2011年のデンバー地区での初雪

デンバー地区では昨年末の12月30日、31日に少しまとまった積雪を見ましたが、その後は一時的に氷点下の最低気温を記録していますが、大変良好な天候で日中の気温も温暖ということで穏やかな元日を迎えました。

その後1月8日(土)には急激に気温が下がって雪が再び降り出し、翌日の日曜日いっぱい降り続きましたが、気温が低かった為にさらさらの乾燥粉雪で降雪量としては8インチ(20cm)程となり久しぶりのまとまった積雪となっています。

写真は1月11日に我が家の裏庭を撮影したもので、このブルースプルスの樹は私が日本からコロラドへ移住して来た時に苗木を植えたものですが、早くも今年で14年が経過し、樹も大きく育ちました。


今年の初雪に犬も喜び庭駆け回る

我が家で飼っている犬2頭です。手前はジャーマンシェパードの雌8才で、向こう側はレッドドーバーマンの雌4才です。


寒さに弱いドーバーマン犬

ジャーマンシェパードの方はその体毛も厚く寒さには大変強いのですが、ドーバーマンの方は大変寒がりで、外へは勢い良く飛び出して行きますが、その気温の低さに直ちに家の中へと引き返して来てしまいます。

この朝は気温が華氏で零度(摂氏零下17.8度)以下に下がったので、地面の雪も凍てついており、伝わってくる冷たさで右前脚を持ち上げています。 生後2ヶ月で我が家にやって来たのですが、その後直ぐに肺炎にかかって動物病院へ4日程入院治療を受けましたので、その後我が家では特別に甘やかしたためか寒さにはまるっきりだめです。


アメリカの新聞社主幹編集者達が選ぶ2010年のビジネス面10大ニュース

日本でも各新聞社などが2010年の10大ニュースということでいろいろと報道されていると思いますが、AP通信のAssociated Press社が実施したアメリカの各新聞の主幹編集者からの「2010年のビジネス面での10大ニュース」投票結果の集計は下記の様になったとしています。

1.アメリカ経済の不調低迷

1930年代よりその兆候が出て来たと言われるアメリカ経済の低迷はその年ごとに悪化をたどって2010年の1月から3月にかけての第1四半期にはその経済成長の回復が見られたので順調に回復軌道に乗るかと見られていました。しかしながら各企業の今迄縮小していた活動が少し動き出したにも関わらず、経済の実体はそれについて行けずにゆっくりながらも経済不況の拡大が進行し、失業率も依然として高いままに推移しました。

2.メキシコ湾岸沿いの海底油田からのオイル大量流出

イギリスに本社を持つ石油メジャーの一社BP社が操業していたメキシコ湾岸沿いの海底油田で、その掘削リグで爆発が起きて、働いていた作業員11名が死亡して、原油が海中に漏れだして環境汚染が拡大し特に漁業や観光業に多大な損害を与えました。その回復には数10年の期間を要するとされています。

3.中国GDPの台頭-日本を抜いて世界2位に

2010年には中国のGDP(国民総生産)はそれ迄世界2位であった日本のそれを抜いて世界第2位となり、13億人以上の総人口で一人当たり約3600ドルの生産となっています。世界銀行の予測ではこの調子で行くと2020年迄にはアメリカを越して世界第1位となるものとみられています。ちなみに現在アメリカのGDP値では一人当たり約4万2000ドルの生産となっています。

4.アメリカでの住宅不動産取引の低迷

ローンの貸し出し金利が2010年11月には30年固定金利で4.17%と今迄に比べて超低金利となったにもかかわらず、消費者の住宅の購入は全米で停滞し、住宅の販売戸数、販売価格は大きく低下しました。全米での家を持っている人の4軒に1軒はその持っている家よりもそれに支払っているローンの方が高価となる状態が続きました。

5.トヨタ自動車の大リコール

今迄のトヨタの自動車は高品質であると言う評判を覆す程の大規模な販売した車のリコールで、車が突然急加速してしまうと言った事も含めてその他の理由も併せて対象総台数1000万台に上るリコールでした。トヨタ社はそのいくつかの機種で突然急加速してしまい事故につながったとして数100件の訴訟を迫られました。

6.GM社の復活

自動車の最大手メーカーのGM(General Motors)社はその経営不振から破産状態となり会社更生法の適用下に入り、同社の株式もその市場取引から外されましたが、連邦政府からの500億ドルにのぼる緊急資金援助を受けて、その後再建に努め2010年11月にはその株式の初期上場を果たして、新規株式の公募を行ってその資金により政府からの援助の返済に充てています。

7.アメリカ金融業界のオーバーホール

2008年にアメリカで生じた金融危機につながる様な危険な投資や監視不足の再発を防止する為に連邦議会では1930年代以降の初の金融ルールを規定する大幅な修正を行いました。その法律によると、搾取に近いローンやその他の悪用からコンスーマーを保護する為に専門エージェンシーを設けて、その問題を起こしている大会社を閉鎖する機能を持たせる事によって市場での取引を透明性のあるものとし監視不足を起こさない様にする事を目指す事となっています。

8.ヨーロッパ(特にギリシャ、アイルランド)の財務破綻の救済

特にギリシャとアイルランドでの巨大化した負債の問題が世界金融市場に波及して不安定をもたらす危険性が持ち上がった事から、緊急資金援助投入が必要となりました。ヨーロッパ各国政府とIMFとは合意してギリシャの救済に1450億ドルの資金援助を2010年5月に実施して、続いてアイルランドの救済に900億ドルの資金援助を2010年11月に実施しました。

9.SocialサイトのFacebookのユーザー数が5億人に達した

交際インターネットメデイアのFacebookはそのSocial Mediaとしての地位を確立して世界のコミニュケーシヨンの方法を大きく変革しており、その総ユーザー数は世界で5億人を越しています。

10.アップル社のタブレットコンピューター iPad の大ヒット

アップル社はiPadを発売してタブレットコンピューターを市場で主流商品に押し上げ、そしてラップトップコンピューターの売上げを凌ぎました。今年2011年にはアップル社では1300万台以上のiPadの売上げを見込んでいます。

いろいろな出来事があった2010年でしたが、今年2011年は明るい話題が10大ニュースに多く取り上げられる様な年となって欲しいと願っています。

2010年映画館での入場券総売上げ

全米の映画館での2010年の入場券総売上げがウェブサイトHollywood.com の発表になり、105億5600万ドルで今迄の最高記録であった一昨年2009年の106億ドルに次いで100億ドルを越える2回目の売上げ高を示しています。しかしながら、入場者数では一昨年2009年から5.36%の減少となって、これまでの10年間では2005年の減少に次ぐ低下となっています。

映画のタイトル別の売上げ順位では「Toy Story 3」が2010年のトップとなり、4億1500万ドルを稼いだとしています。以下にタイトル別の順位と売上げ金額そしてそのうちに3D映画が占めた比率とを10位迄について示します。

順位 タイトル 入場券総売上げ 3D映画の占めた比率
1 Toy Story 3 4億1500万ドル 54.8%
2 Alice in Wonderland 3億3420万ドル 70.5%
3 Iron Man 2 3億1210万ドル
4 The Twilight Saga: Eclipse 3億50万ドル
5 Inception 2億9250万ドル
6 Harry Potter 2億7880万ドル
7 Despicable Me 2億5100万ドル 44.0%
8 Shrek Forever After 2億3840万ドル 60.9%
9 How to Train Your Dragon 2億176万ドル 63.7%
10 The Karate Kid 1億7660万ドル

通常の2D版と立体3D版との平行上映が多くのタイトルで行われていますが、3D版が稼いだ比率がそれぞれかなり多くを占めていますので、まだ、3D版のみでの上映で行く事にハリウッドの各スタジオとしては決めにくい状況ではありますが、徐々に映画館では3Dでという傾向になって行きそうな気配です。

ボーイング787型機のデンバー国際空港の滑走路を使ったテスト飛行実施

既に5回の初号機納入期日の延期を行っているボーイング社の新型旅客航空機Boeing 787型Dreamlinerの試験機6機のうちの1機が1月11日(火)にデンバー国際空港に現れ、空港の6本の滑走路のうち最も長い16000フィート(4877m)の滑走路を使って離着陸テストをそれぞれ3回ずつ繰り返し行っています。

昨年後半にボーイング社では787型機の初号機出荷を今年の春から行うとのアナウンスをしていましたが、昨年11月にテキサス州Laredo近郊の上空でテスト飛行中にその推力制御盤から発火して直ちに自動消火装置が作動し消化され、無事そのテスト機は着陸しましたが、その発火原因を究明の為その後5回目となる出荷期日の延期を発表しています。

更にボーイング社では787型機の試験飛行を昨年12月23日にも行っており、今回のデンバー空港での離着陸テストもそうした試験飛行の一環としています。

Boeing 787型Dreamliner機はボーイング社では最新の情報として、1月13日にはその初号機の出荷期日及びその後の納入スケジュールについて2週間以内に発表する準備をしているとしており、FAA(連邦航空局)の認可が出次第公表するとしています。

ボーイング社での787型機の機体の組み立ては2006年6月に開始されましたが、その後基本設計上の変更を含めて各種の問題点の検出により5回にわたる出荷期日の延期をして来ましたが、いよいよその初出荷の準備が整って来たものと思われます。

ボーイング社からのBoeing 787型Dreamliner機の出荷スケジュールに関する最新の情報がその後1月18日(火)に提供されて、今年の第3四半期となるとしています。この初号機出荷期日の延長については7回目の延期発表で、当初からは既に3年を越す延期となっています。
(2011.1.19. 追記)

この新型機の一番顧客は日本のANA(全日空)で総計50機の順次購入を予定しています。そして、ボーイング社では一番機の納入はANAに行う事にしており、ANAでは現在運行に使用している各機体を順次この787型に切り替えを計りその燃料消費の低減効果を活用する計画をしており、長期間にわたる何回もの納入期日の延期で同社の事業計画は大きな狂いを生じて来ていると思われますが、やっと2011年度の事業計画に組み入れてスタートが切れる事となりそうです。

Boeing 787型Dreamliner機はその機体の長さと客席の配置のバラエティでいくつかのバージョンが準備されており、客席数は200名から300名の総乗客数の中型機で特にカーボンファイバーを主体とする複合材を多用して機体重量の軽減化を計った設計が特長でその構造上も現在の巡航飛行高度よりも更に高い高度の飛行が可能となっている事から現行の同サイズの航空機に比べてより高速飛行が可能で20%の燃費低減そして20%のエンジン排出ガスの低減が計れると言うセールスフィーチャーとなっています。

そのボディ構造の使用材料の比率を現行の類似機Boeing 777型機と比較してみると下記の様になっています。

客室ボディ部 機体構造部
カーボンファイバー
複合材
アルミニウム チタニウム 鋼鉄
787型 50% 20% 15% 10%
777型 12% 50%

一方、デンバー国際空港当局では、特に日本のANAがデンバーと成田間の直行便をこの787型機を使っての運行を目指して過去長年にわたって交渉を続けて来たので、この787型機の出荷スケジュールについては非常に強い関心があり、空港当局者は「ANA is still saying Denver is one of the top market.」としており、「Tokyo brings us all of Asia.」と言ってデンバーから成田空港への直行便の開設は更に成田からアジアの各地への航空便の接続をもたらす、と言う事でデンバー空港開港以来の悲願であるアジアへの直行便の開設に大きな期待をよせています。

今回のデンバー国際空港での787型機の試験飛行がこのANAによるデンバー/成田間の直行便の開設と直接関係があるのかどうか分かりませんが、デンバー空港の今回テスト飛行に使用した滑走路は世界の商用空港の各滑走路の中で最も長いとされているもので、特にデンバーの標高がMile Highと1600mの高地の空港であるため、その空気が希薄である事から離陸速度を高くしないと十分な浮力が得られない事から、建設された経過があります。

特にデンバーを飛び立ちジェット気流に逆らって成田への西向きの航路をたどる航空機は多くのジェット燃料を搭載して離陸する必要があり、この滑走路はそうしたアジアへ向かう直行便の為に造られたとも言えるものです。

ボーイング787型機の今回のテスト飛行はそうした意味でデンバー/成田間の直行便開設の事前デモンストレーションとも感じられるもので、今後の成り行きが大変注目されています。

あとがき

昨年末に所用で昨年の12月25日(土)クリスマスの朝の飛行機でデンバーを発って、12月30日(木)の午後にデンバーへ戻ると言うとんぼ返りで私は日本へ行って来ました。

年末は各便とも大変混み合うのでクリスマスの朝であれば少し空いているのではないかと考えてこの日程を決めたのですが、私の乗った便は空席待ちの乗客で一杯で結局満席となり、空席無しの飛行機での行き帰りとなりました。

1月11日午後の我が家の裏庭の雪景色
この日は天気は晴れとなったのですが一日中寒い日で日中の最高気温も摂氏で氷点下となっていました。この日の朝の最低気温はデンバー国際空港では華氏零下2度(摂氏零下19度)を記録したとTVのニュースで伝えています。

この前のレポートでデンバー地区にはこの冬に入ってから殆ど降雪らしい雪は見られていないと報告しましたが、帰りの便がデンバーへ着陸する午後2時30分頃にはデンバーは激しい降雪となって視界もあまり良好でなかったので心配しましたが無事着陸してホッとした程でした。

空港へ出迎えに来ていた家内の話ではこの日の午前11時頃から雪は降り始めたと言う事ですが、久しぶりの降雪で、結局翌日の12月31日夜迄降り続きましたが、積雪量としてはたいした事は無く約5センチ程の雪となっています。


こちらは2011年1月1日の午後に撮影した我が家の裏庭の様子です
我が家の隣の家では地上波デジタルTVの放送の屋外アンテナとDishNetworkの衛星放送TVのパラボラアンテナの両方で双方の受信しています。もともと衛星放送のパラボラアンテナの方はキャンピングカーに取り付けていて、遠方へそれで出かけても何処でもTV番組を楽しめる為にしていましたが、キャンピングカーを使わない時は家の軒先にアンテナを取り付けて使用しています。

デンバー地区の市街地や各主要幹線ハイウエー、そしてデンバー空港などの各除雪部隊は予め出ていた予報に呼応して手ぐすねを引いて待機していましたので除雪の方はスムーズに行われましたが、それでも路面は非常な寒気の為スリップし易くノロノロ運転の渋滞は生じたものの交通状況にはあまり大きな事故も無く終始していました。

デンバーのダウンタウンの16番街モールでは大晦日の夜9時からと新年を告げる午前0時から盛大な打ち上げ花火が上げられデンバー地区での新年2011を迎えています。


旧年中は皆様にはこの「コロラド紀行」をご愛読頂き大変有り難うございました。本年も元気を出して継続して行くつもりですので相変わらずのご高覧をお願い致します。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。