デンバー地区では4月2日(土)は快晴で風の強い一日でしたが、気温の方は急上昇してこの日の最高気温がなんと華氏84度(摂氏29度)となりました。 この時期でこの気温は1996年に記録した華氏76度(摂氏26.5度)を超える新記録で、それも8度も上回ったので真夏を思わせる陽気となりました。

それまで相対湿度で5%から15%という異常と思える程の低湿度、乾燥状態が続いていたところでこの強風を伴った高気温は野火(Wildfire)の発生拡大に好条件となって、デンバーの北のWeld郡のGreeleyの町の周辺を始めとしてあちらこちらで大規模な草原をなめ尽くす野火火災が発生して通常の消防車だけでなく森林警備隊も出動すると言う大忙しの一日となりました。

おかげでそれぞれ広大な地域を焼失しましたが、人畜には被害が及ばず家屋の焼失についても人が住んでいないモービルホームが2軒焼失したのみで済みました。

ところが、この土曜日の暑さが収まらないその日の晩には、今度は「気温が急激に下がって日曜日の午後からは降雪の可能性があり、2インチ(5cm)ほどの量の降雪となる見込み。」との天気予報が報じられて、皆が一様に「本当かいなあ!」と思っていました。

そして、地元新聞のDenver Post紙では日曜日の朝刊の記事でその見出しを「Hot! Don’t put away snow shovels yet.」そして「This is not unusual at all for this time of the year.」として土曜日の気温が記録的な暑さだったのと対照させている紙面となっています。

デンバー地区の春雪(1)
春の雪が降った翌日の朝の我が家の前から見た様子です。前日の記録的な高温で地面が暖まっており、道路はそのまま解けてしまっています。新緑の新しい葉が出始めている芝生の上は一面真っ白となっています。

雪の方は予報で知らされた様に日曜日の午後一時半頃より降り始めて夕方6時半頃迄降り続きましたが、地面が暖まっていたところへの降雪でしたので道路面の雪はすぐに融けてしまい月曜日の出勤の車の交通渋滞は有りませんでした。 気温の方は月曜日の明け方の最低気温は氷点下となって日替わりで温度差の非常に多い気候となりました。


デンバー地区の春雪(2)
「山は大雪、麓は小雪」、ロッキー山中では例年を大幅に上回る大雪のこの冬でしたが、麓のデンバー地区ではこの冬はとうとう大雪が見られませんでした。そして、地球温暖化を思わせる様な暖かい日が続いたロッキー山脈の麓です。

なんとも変化の激しいコロラドの気象ですが、この冬はロッキー山脈の特に北部山岳では例年に比べて大雪でしたが、デンバーなどの在る東山麓の平野部では非常に降雪量の少ない冬で平均してかなりの暖冬だったと言えます。


山に雪が多かった事から、その雪解け水を大きないくつものダムで貯水して夏の水道水や灌漑用水に使っているコロラドですが、USDA (U.S. Department of Agriculture)農務省のNatural Resources Conservation Serviceの調査レポートによりますとロッキー山脈を水源とする河川別のこの冬の積雪量を例年と比較してみると、下記の様になっています。

河川名 例年平均との比較 2010年春との比較
Colorado River 130% 172%
South Platte River 123% 149%
North Platte River 135% 182%
Arkansas River 103% 99%
Rio Grande River 76% 66%
州全体の平均値 113% 128%

と言う事で、下流のグランドキャニオンへ水を供給しているコロラド河は昨年に比べて172%と非常に豊富な水量となりそうですし、コロラドの北のホートコリンズの町を通っているNorth Platte川も182%と多いことからこれが暑い陽気で一気に解けると洪水となるのではないかと心配されています。

デンバー地区への水の主要供給源であるSouth Platte川は丁度良い豊富な水量ですので今年の夏の渇水の心配は無さそうです。

デンバー地区の春雪(3)
夜間に気温が急降下したためでしょうか、木の枝に付いていた雪が氷となっています。
デンバー地区の春雪(4)
我が家の前の通理に面した所に建っている2本のメイプルツリーのうちの一本です。既に新芽が出かかっていますが、この雪の影響は無く急激に新しい葉が出てくる時期となって来ました。
デンバー地区の春雪(5)
物干竿の代わりに我が家では太めの針金を吊ってベッドカバーやテーブルクロスなどの大きすぎて乾燥機に入らないものをここに吊るして日光浴をさせています。針金に付着した雪が朝方の気温低下で凍り付いていました。
デンバー地区の春雪(6)
木々の枝が凍り付いてまさに樹氷、この後急速に回復した天候で僅かな間にこの景観は消えてしまいました。

再び苦戦が始まっているアメリカの航空各社

アメリカの主要各航空会社では昨年2010年が2007年以来暫くぶりでの利益好転の年でしたので、今年の始めの予測ではアメリカの各企業での活動が活発となりビジネスクラスの利用客が増加する傾向にあると言う明るい見通しで2011年をスタートしていますが、ここのところのジェット燃料の価格高騰と利用客、特にアメリカから東京へのビジネス客が大地震、そして大津波、さらに原子力発電所の破壊事故とによって急激な減少となっており悲鳴を上げております。

ジェット燃料の現在の価格は昨年の9月の時と比べて50%近くの上昇をしており、今年の年初めの価格と比較しても既に約20%の上昇となっている現状です。

デルタ航空では、昨年2010年に同社が購入したジェット燃料の総費用に比べて2011年には約30億ドルの購入総費用の増加となると試算しています。

また、3月11日の日本での大地震に伴う一連の大事故で東京への便の利用客数が激減しており、デルタ航空ではその対応策として早くも3月下旬から5月末迄の間の東京への便数を20%削減するとしています。 そして、それによる運航コストの削減額は2億5000万ドルから4億ドルになるとしています。

一方、アメリカン航空では今回の日本への航空客の減少には困惑しておりますが、併せて先般のアメリカ東部での悪天候の続いた影響での大幅な収入減も悪影響を与えております。

そして、アメリカン航空ではこの4月6日より4月26日迄のしばらくの間ダラスフォートワースと成田間の往復2便のうちの往復1便と新しくスタートしている羽田とニューヨーク(JFK)とを結ぶ往復1便とを運休すると発表しています。

しかしながら、アメリカン航空では先にスタートさせた太平洋路線に於ける日本航空とのジョイントベンチャーには4月から力を入れて行く事にしており、それが活力を得る源となることに期待しています。

また、これらの難題のうち特にジェット燃料の高騰については、ユナイテット航空およびコンチネンタル航空の両社では既にアメリカ国内便のほとんどについて往復で10ドルまでの航空運賃の値上げを発表しており、デルタ航空でもそれに続いて国内線の往復で6ドルから14ドルの運賃値上げを発表しました。この他アメリカン航空、US Airwaysなどの大手航空各社も追随しようとしています。

一方、Southwest航空、JetBlue航空、AirTran航空、Frontier航空といったいわゆる格安航空運賃で知られている各航空会社では、こうした運賃の値上げでの解消策に追従しない方向であり、特にアメリカの国内線での最も多くの乗客を扱っているSouthwest航空が今後4月24日のEaster Sundayまでにどのような価格設定を行うかが今後のアメリカ国内便の航空運賃の鍵を握るとみられています。

デンバー国際空港の2010年の総乗客数は世界第10位

Airport Council Internationalが最近発表した報告によりますと、2010年の世界の各空港の総扱い乗客数でデンバー空港は前年の2009年に続き第10位となったとしています。

デンバー空港の昨年扱った総乗客数は一昨年に比べて5220万人の増加となり一昨年に比べ4.1%の増加となっており、空港開港以来の新記録を達成していますが、この4.1%と言う数字は世界の各空港の中でも最も大きな伸びとなっています。

ちなみに世界の各空港の順位は下記の様になっています。

1位 アトランタ空港 アメリカ
2位 北京空港 中国
3位 シカゴ空港 アメリカ
4位 ロンドン空港 イギリス
5位 東京成田空港 日本
6位 ロサンゼルス空港 アメリカ
7位 パリ空港 フランス
8位 ダラスフォートワース空港 アメリカ
9位 フランクフルト空港 ドイツ
10位 デンバー空港 アメリカ

一方、デンバー空港の1月の扱い乗客数が発表されて392万8196人となって、昨年1月の377万6133人からは約4%の増加となって、順調な2011年のスタートを切ったとしています。

デンバー国際空港は乗客の満足度調査で世界第57位

Airport Council Internationalが最近発表した各航空会社の便の乗客に対するアンケート形式での世界の各空港についての満足度調査の結果によりますと、デンバー空港は世界で第57番目となっています。

この調査は2010年の第2四半期に実施されたもので、乗客の満足度でのトップ3空港はシンガポール空港、インチョンソウル空港そして香港空港となっていて、トップ10にはそれらの他に北京空港、上海空港、クアラルンプール空港などのアジアのハブ空港が含まれており、いずれも新しく建設された空港となっている結果となっています。

ヨーロッパの主要空港はトップ90にも入る事が出来ず、オランダのアムステルダムスキポール空港が93位で、イギリスのロンドンヒースロー空港が99位となっています。

一方、アメリカの主要空港では 世界で最も多くの乗客を扱っているダラスフォートワース空港が42位、続いてデンバー空港の57位、そして アトランタ空港の69位となっています。

今回の調査対象となった世界の主要空港は全部で216の空港で「古い空港は下位となり、新しい空港が上位を占めており、アジアの各空港はいずれも比較的新しく建設された物が多く上位に付けている。」と調査担当では言っています。

飛行中に客席の天井部に破損事故発生

4月1日(金)にアメリカのSouthwest航空の中型ジェット旅客機のボーイング737-300型が118名の乗員乗客を乗せてアリゾナ州Phoenixを離陸して間もなく突然客室の天井に1.5m程の長さにわたって孔が空き室内の気圧が低下するという事故が発生しました。

パイロットは直ちに機体を急降下させて近くの軍の基地へ緊急着陸して幸いにも乗務員1名が軽症を負っただけで大事にならずに済みましたが、このSouthwest航空の使用しているボーイング737型の中でも最も古い15年前の機体であることからFAA (Federal Aviation Administration)では同型機79機全体に付いて緊急チェックを実施した結果、他の5機についても同様の事故発生の危険性のあるものが発見されています。

FAAでは直ちに全航空会社に対して使用しているボーイング737型機1800機のうち初飛行からその離着陸回数が3万回以上の機体に全部に付いて確認検査の実施を命じました。

かつて、1988年にハワイの各島々を接続運行しているAloha航空のボーイング737-200型機が飛行中にその客室の上部を大きく破損脱落した事故がありましたが、その時の調査結果では機体の腐食と金属疲労によるものと判定されています。

一方、ボーイング社では離陸回数で少なくとも6万サイクルまでには機体の検査を実施する必要があるとしており、今回の事故を受けてボーイング社では緊急サービスブレテンを発行して、737-300型、737-400型、737-500型の全機についての機体の繋ぎ合わせ部に付いて検査点検の実施を警告として出しています。

また、今回の調査結果では、アメリカの全航空会社で使用している中での2009年に於ける1機あたりの1日の離陸回数としてはSouthwest航空が最も多くなっており、一日平均5.7回離陸を行っていて、1日の1機あたりの平均飛行時間としては殆ど各社間での差がない、という統計結果から、今回の様な事故は飛行時間よりも離着陸回数による機体に加わるストレスが主原因となっていると見られています。 更に、今回のボーイング737-300型についての2010年の年間離陸回数としてはSouthwest航空が飛び抜けて多く、全体の92.0%を占めている事も分かっています。

ちなみに、2番目の航空会社はUS Airwaysの0.3%と言う事でSouthwest航空がボーイング737-300型機を多く使用しており比較的短距離の飛行便が多いという運行をしていると言う事が分かります。

現在まだこの事故原因に付いては調査委員会で調査中ですが、原因としては航空機が離陸する時は周囲の気圧は高いので機内の気圧もほぼ外気圧と同じで離陸しますが、飛行高度が上昇するに連れて外気圧は下がってくるため、機体内部の気圧は外気圧より少し高めで乗客の呼吸に異常を生じない程度に保って飛行します。

したがって、離着陸を繰り返す毎に機体はその内部気圧力によって伸縮を繰り返しており、それによるストレス、そして地上に居る時の常温と飛行中の極低温の繰り返しによるストレス、更に長期間の運行による金属腐食、更にはその合成による応力腐食割れといった機体表面材料の疲労の蓄積がその原因と言える様です。

高い高度を飛行中に突然機体に大きな孔があくということは運悪くその便に乗り合わせた乗客に与えるストレスも非常に高いので機体設計上の余裕度とともに充分な日常検査を各航空会社では行って欲しいと希望します。

あとがき

デンバー大学(University of Denver)はデンバー市の南端に在って地元ではDUの愛称で知られている私立大学の名門で、今年3月で創立147年を迎えています。

当時はコロラド州はまだアメリカ合衆国の州とはなっておらず、Colorado Territorial(コロラド統治地区)と呼ばれていましたが、その知事を務めていたJohn Evansさんがその友人達のグループに働きかけて、William Byers, David Moffat, Samuel Elbert, William Loveland, Lewis Weld, Jerome Chaffeeといった人達が発起人となって設立されたアメリカ中西部で最初の大学で、当時はColorado Seminaryという名称でスタートしています。

ゴールドラッシュでコロラドが沸いている1864年の事ですので、その頃はデンバー市はまだロッキー山中の金鉱山町の規模にも満たない町だったのですが、ロッキー山中へ金を求めて分け入る人達の基地として拡大をし始めていました。

それ以来デンバー大学からは多くのアメリカ社会でのリーダー達を産み出して来ていますが、現在ではコロラド州の総人口は500万人となり、デンバー市を中心とするデンバー地区では300万人を越える大都市となっています。

そして、現在ではデンバー大学は「アメリカの最も美しい大学キャンパス」の一つに選ばれている環境で高度のアカデミックな活動が展開されています。

デンバーの町の中心を南北に走っている大通りUniversity Boulevardの南の端にデンバー大学のキャンパスが在り、また、大学のキャンパス中心を東西に横切っているこの大学の創立に寄与した当時のEvans知事にちなんで付けられた通りEvans Avenueが通っています。

現在の学生の総数は学士課程が5343人、そして修士課程が約4000人、博士課程が約1700人と言う事で総数1万1000名を越す大きな大学です。 そして、学士課程学生の43%はコロラド州内から来ており、外国からの学生数は全体の7%で52ヶ国から来ています。

デンバー大学はアメリカの大学の中でも最も早くに入学する学生にラップトップパソコンを所有する事を義務付けた大学の一つで、大学構内の教室などのいたるところにはインターネットに接続するジャックと電源コンセントが設けられており、ワイヤレスでのWiFiの接続も早くから完備しています。 また、全米の大学や図書館などを接続しているいわゆる「インターネット2」の端末も大学には引き込まれていますし、日常的に学生達はその受講レポートや研究レポートの提出はこれらの端末を介して提出する事になっています。

また、キャンパスの敷地の北西の端にはアメリカのケーブルTV事業の草分けで巨大な富を築いたMagness家より寄贈されて建設された大きな「Magness Arena」の建物やアメリカのケーブルTV事業発祥の地を象徴し、その発展の経過を示す「Cable Center and Museum」の施設が設けられています。

デンバー大学ではその創立150周年を迎える2014年にはそれを記念する事業を催す事にしており、今からその準備としてのプログラム「ASCEND」を昨年10月からスタートしており、デンバー大学の将来の発展を期す区切りとなる創立150周年を有意義な物となる様その準備計画を推進しています。

コロラド州内の主要大学としては下記の4校があります。

コロラド州立大学(CSU) Fort Collins 農業および機械学校から発展した。
コロラド大学(CU) Boulder 理工科系を主体としノーベル賞受賞者を多数輩出している。医学部はコロラド医療の中心。
Colorado School of Mine Golden 鉱山学科がその前身、エネルギー関連に力を入れている。
デンバー大学(DU) Denver 文科系を主体としている。

アメリカでは大学を始め各学校の新学期は9月初めから始まります。 もう殆どの学生がその進学先を決めている時期ですが、長きにわたる景気不調から大学を卒業したけれど就職先が見つからない、といった人達が増えて来ており、私の知り合いでもその子供さんや孫達に就職出来ないでいる、という人を多く聞く様になって来ています。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。