コロラドのデンバーの町の1月のメインイベントで、全米から畜産業者、カウボーイ、そして食肉業者などを集めて開かれる家畜の取引市、それに付帯したロデオ競技会などを含む各種競技でその年のチャンピオンを競う「National Western Stock Show & Rodeo」は今年で106回目を迎えました。

1月7日(土)のデンバーのダウンタウン大通りを馬や牛そして農耕用のトラクターなどを含む大勢のパレードを皮切りに開催されましたが、1月22日(日)にその16日間にわたる今年のイベントは無事閉幕しました。

コロラドの人々にとってこの開催期間中は何となくそわそわさせられる気分で、その閉幕とともに「これで一月が終わった。」と言う実感です。

主催者側の発表によると、今年の開催期間中の参加者総数は63万6662名で、昨年2011年の64万4818名を僅か下回りましたが、それでも106回の過去の開催を通して6番目の参加者数となっています。ちなみに、過去の最大参加者数の記録は第100回目の記念イベントとなった2006年で72万6972名となっています。

また、このイベントに運ばれて来た家畜の牛、馬、豚などを始めとするその総数は1万6000頭以上を数えて、過去5番目の数字を記録しています。

もともとこのイベントはこの時期にコロラドの気候は寒さが厳しく多量の降雪に見舞われて牧場や畜産業種では最も暇な時期となる事から、デンバーに集まって一般市民への牧畜業への啓蒙活動も含め開催される様になったものです。

コロラド州は全米の各州の中で日本への牛肉の輸出を最も多く行っている州となっており、かつてアメリカからの牛肉の外国への輸出が完全ストップした狂牛病の事件以後、その回復に務めて来ましたが、昨年になって、ようやくそれ以前のレベル迄回復し、現在の円高ドル安の環境下で今年の日本への輸出の更なる増加が期待されています。

早くも2012年の1月も過ぎて2月に入ると言うコロラドも忙しい一年の活動が本格的に始まる時期を迎えています。 Time to roll up sleeves!!!

アメリカの郵便制度(U.S.Postal Service)の台所事情

アメリカで郵便局を通して送付する郵便物のうち、その取り扱い件数で人々に最もポピュラーに利用されている「First Class Mail」(通常の封書)についての国内郵便の切手代は、これまで44セントの均一料金でアラスカやハワイを含む全米何処へでも扱われていました。

これまでにもこのFirst Class Mailの郵便料金はインフレの進行に沿って徐々に値上げされて来ましたが、今回1月22日より1セント値上げされて45セントとなりました。これは2年半ぶりでの値上げですが、これによりUSPS全体としては年間で8億8800万ドルの増収となるとしています。

また、今迄にFirst Class Mail用の切手として価格表示がなく「Forever Stamp」と呼ばれている切手が多く使用されていましたが、これについてはこの価格アップ後もそのまま料金追加をせずに使用出来るとしています。

アメリカの郵便システムは日本と同様民営化されてはいますが、現在でもその株式の多くをアメリカ連邦政府が所有しており、また、その国家的な重要性の見地から郵便システムに従事している労働者がストライキを行う事は法律で禁止されています。

そして、今回の郵便料金の値上げについてはUSPSの2つの労働組合とUSPSの経営者側との間で長期にわたり継続している赤字経営の改善策の一環として、交渉討議の上で決定されたものです。

US Postal ServiceのAurora郵便局の入り口
私の住んでいるオローラ市の人口の急激な増加に対応して最も新しく建設された大きな郵便局です。大通りAlameda Avenueと2つの大通りBuckley Road / Airport Blvd.とが交差する角にあります。ここで仕分けされた国内向け/海外向け航空便扱いの郵便物はここからデンバー国際空港へとトラックで輸送されています。私が日本への手紙をAirMailで送る時はこの郵便局から送っています。
US Postal ServiceのAurora郵便局の表示看板
「United States Post Office, Aurora, Colorado」の表示と、その左のマークは US Postal Serviceのトレードマークです。

USPS Aurora郵便局の入り口に設置されているFedExのポスト
USPSとは競合企業のはずのFedEx社の投函ポストが郵便局の正面入り口に何故設置されているのでしょうか?この様なUSPSのポストとFedExのポストとが並んで設置されている光景をあちこちで見かけます。2つの宅配サービスがうまく棲み分けしているのでしょうか?

アメリカの郵便システムはここのところ長期間にわたって多額の赤字計上をしてきており、その小包み郵便や急送郵便などに関してはFedExやUPSなどのいわゆる宅配便の民間会社との競合が激しく、そして特に最近顕著となって来ているのはインターネットによるE-Mailの利用が急激に増加して人々がFirst Class Mailにより郵送するという習慣自体が薄れて来ていることです。

これによりUPSPの扱っているこの部分に付いてはこの10年間でその扱い件数で約半分に落ち込んでいる事が収入減少をまねいており、一方、郵便物の集配業務や配達先の仕分け業務などを扱う人的な規模や設備については従来のままで、それらに必要な経費を固定したままで運営して来た事が決め手となっていると言われています。


下記に近年のUSPSの会計年度別の収支状況についてのアメリカ政府の対応菅理事務所の報告に基づく数字を見てみますと、下記の様になっています。(アメリカでの会計年度は10月1日から翌年の9月30日迄)

会計年度 総収入 総支出 収支差 累積赤字
2011 $65.7 $70.6 -$4.9 $15.0
2010 $67.1 $75.6 -$8.5 $12.0
2009 $68.1 $71.9 -$3.8 $10.2
2008 $75.0 $77.8 -$2.8 $7.2
2007 $75.0 $80.1 -$5.1 $4.2
2006 $72.8 $71.9 +$0.9 $2.1
(金額の単位はビリオンドル=10億ドル)

と、決算上の累積赤字額は年度毎に増加して来ており、もはや無視出来ない状況となっています。

直接経費面では郵便物の輸送の為の航空燃料や自動車のガソリンなどの価格高騰などのUSPSのみでは対応出来ない項目もありますが、USPSとしてもこうした事態に手をこまねいて見ていると言う訳ではなく、いろいろと知恵を絞って対応改善策を計画実施しています。

例えば、ここ4年間にUSPSとしてはその集配業務に携わる人員数11万人の削減を実施していますが、それでも今年度2012年の総合収支は約140億ドルの累積赤字となると予測されています。

政府の対応菅理事務所ではそうした事態に対し、さらにこれからの2015年迄の間に22万人の人員削減を計る様USPSに要請しています。

こうした人員削減についてデンバー地区を担当するUSPSの部門としては2008年から今日迄に全体の22%の人員に相当する1,050名の人員削減を実施しました。

この削減はそれ以前の各家庭や商店、会社、事務所などの郵便物の配達先数としては変わらない48万9000軒の集配先について今迄より約300名少ない人員で現在処理していると言う事になります。

さらに、USPSでは昨年の9月には全米の郵便局合計3,700ヵ所や配送先仕分けセンターなどの250拠点の削減や統合、そして人員12万人の削減を含む年間200億ドルの経費削減計画を2015年迄に実施すると発表しています。この計画には現在コロラドスプリングスにある配送先仕分けセンターの閉鎖が含まれており、閉鎖後の対応はデンバー局でその仕分け業務を扱う事になると考えられています。

US Postal ServiceのAurora郵便局の建物側面
郵便物を出しにくる人達は皆自動車でやってきますので、建物の東側と北側は沢山の駐車スペースとなっています。切手をお客が自分で貼って投函するだけの郵便物は自動車を横付けしてこの外に設置されている大型ポストから投函します。
US Postal ServiceのAurora郵便局の建物の裏側
郵便局の南裏側から建物の様子を覗いてみました。多量の郵便物を扱う窓口となっていて、大型トラックやトレーラーが駐車して郵便物の積み降ろしを行う様になっています。

US Postal ServiceのAurora郵便局の建物の西裏側
郵便局の西裏側を覗いてみました。われわれの家庭へ郵便物を配達する顔馴染みの郵便自動車が並んで郵便物の到着を待っています。運転席は通常の自動車と反対の右側にあって、右側通行の道路の右側から乗り降りする様になっています。

我が家への郵便物の集配サービスについての最近の事情としては、今迄は日中のほぼ決まった時間に長年郵便物の集配してくれている顔見知りの人が来てくれていましたが、昨年末からは新しい人が夕方暗くなってから配達する様になり、その集配の人達は各家の郵便受けの箱が暗くて良く見えない事からちょうど炭坑夫が付けている様な帽子のひさしの部分にランプが付いていて必要に応じてそれを点滅しながら集配業務を行っています。

先に記しましたように郵便事業は国の重要な機能業務という事から、こうした経費削減、人員削減、設備削減などのリストラを実施と言う事になるとまず連邦議会での議題として取り上げて国民へのサービスという見地からの議論との整合をとってから法律化して実施と言う事になりますので、通常の事業会社での実施ほど容易に移行出来ません。


町中に設置されているUS Postal Serviceの郵便ポスト
郵便ポストの標準型です。こうした鋼鉄製のポストがあちこちに設置されていて人々が投函した郵便物の集収の時間がポストの口に表記されていて、各家庭への集配をするのと同じ自動車がやって来て郵便物を集めて行きます。

今回の郵便局の閉鎖、統合といった計画についても人口が過疎な地域などでの郵便局はその収支面ではかなり悪いので閉鎖の対象となり易いのですが、その過疎な地域の人達にすると重要な存在となっている事が多く、こうした閉鎖、統合を行う時の郵便局の選択はかなりその地域の人達の意向に反することが多いと言う困難さが伴います。

そうした事から郵便局や仕分けセンターの閉鎖、統合については即実施と言う訳に行かず連邦議会での討議が始まっていますが、今年の5月15日迄はその実施は見送ってそれまでに結論を出して実施に移行するという事になっています。

ちなみにコロラド州内ではUSPSの仕分けセンターは全部で63ヵ所在りますが、その内のAlamosa、Colorado Springs、Durango、Salidaの各センターが対象となるだろうとされており、郵便局は全部で390ヵ所在りますがそのうちの何ヵ所がその対象となるか心配されています。


US Postal ServiceのHoffman Heights郵便局の入り口
我が家の郵便番号(Zip Code) 80012の地域の郵便物の集配を担当しているHoffman Heightsのショッピングセンターの一角に在る郵便局の入り口です。通常の商店と並んで長屋形式の建物の一区画を使用しています。
Hoffman Heightsショッピングセンターの一画
広い駐車場を中心にしてその周囲をいろいろな商店が囲んでいる、と言った形体のショッピングセンターです。写真はごく最近に建て替えられた東側の建物で、建物右側部分を電気関係商品を扱っているRadioShackの店が占めています。

Hoffman Heights郵便局の前に設置されている大型の郵便集収ポスト
自動車で投函に来た人は左側から、歩いて投函に来た人は右側から、と言う様に2方向から投函出来る様になっています。郵便局前のポストはこの様な大型のものが通常2基設置されています。
小さな商店に並んでいるIronton Street郵便局
年配の男性2人と中年の女性2人の郵便局員で構成している小さな郵便局です。通常窓口業務は2人で行っていて、あとの2人は時間交代要員です。近くに大きなアパートが沢山在って多くの住民が居ますので規模は小さくても扱っている郵便物は非常に多く、何時も大勢の利用者で混雑しています。

Ironton Street郵便局の前に設置されている中型の郵便集収ポスト
大型ポストの代わりに中型のポストが3基並んで設置されています。郵便局の並びの小規模商店の前はIronton通りを挟んで全部駐車場となっていて、郵便物を投函する人は車をIronton通り側に停めて投函します。

あとがき

日本で生まれて日本で育ち、60才頃になってコロラドへ移住した私にとって日本の食べ物は時々フッと食べたくなり、時々デンバー地域にある日本食レストランへ食べに出かけます。

デンバー地区にはいろいろな形態の日本食レストランが有りますが、イエローページで調べてみますと、全部で50軒くらいあるのではないかと思われます。コロラドはアメリカでも田舎ですので、ロサンゼルスやサンフランシスコ、ニューヨークなどのように日本から来ている人がそれほど多く無く、また日本食の味についてもうるさいお客が少ない、といった環境ですので、今ひとつ何かおかしい味となっている様に感じます。

しかしながら私の様な日本から来て滞在歴が長くなる日本人にとっては、こうした日本食レストランは大事なものの一つとなっています。

昨年の始めから気になって来ている事として、デンバー地区の日本食にかかわらずいろいろなレストランで食べるお客が減少して来ており、また1回の食事に使う金額も低下して来ているのを感じます。

各レストラン間の顧客獲得競争は激しくなって、

  • メニューの品目が今迄の豪華、高価から簡素、低価格へと徐々に変わって来ています。
  • 新聞広告に入って来る各レストランのクーポン券付き割引メニューの折り込みも増えて来ています。
  • 友達やお礼の印として贈るレストラン毎のギフトカードの販売が熾烈となって、多くのレストランのカードがスーパーなどで販売されています。
  • デンバー地区に複数の支店、分店をもっていたレストランチェーンでは、お客の入りの良く無い順に店を閉鎖して規模縮小するところが多くなって来ました。

長期のアメリカでの経済不調で一般消費者が外食に使うお金を節約し始めたと言う事だと思いますが、最近とみにこうした事が感じられる様になっています。「良質牛肉のステーキよりもマクドナルドのハンバーガーで我慢」といった感じです。

その中でも今迄は健康に良いから、という印象でお客を獲得して来た日本食レストランは苦戦を強いられており、お客数の減少と使用金額の減少と言う面で厳しくなって来て、経費の節減だけでは追いつかなくなっている状況の様です。

日本食レストランSonoda’s Sushi & Seafoodの所在地
我が家の近くにある「Sonoda」レストランで出される割り箸の包み紙に印刷されているデンバー地区に在る支店の所在地を示すアドレスです。今迄は一番下の列のSoutheast店、LoDo(Lower Downtown)店、Park Meadows店、Broadway Central店の4店でそれぞれ営業していましたが、昨年後半にその内の2店を閉鎖し中段の2店で現在営業しています。

我が家の近くに在って比較的ポピュラーな日本食レストランで私達家族が良く行く「Sonoda’s sushi and seafood」レストランという店があります。

今迄デンバー地区に4ヵ所の店を持って運営していたのですが、昨年後半にその内の2軒を閉鎖して、デンバーのDowntown店と我が家の近くのSouthEast店の2店での営業になりました。

一方、日常の日本食としてインスタントラーメンや納豆、のり、ふりかけ、レトルトカレー、日本酒、焼酎、餅菓子などは時々それらを扱っている韓国系のスーパーへ行ってまとめて購入していますが、特に日本で製造されて輸入されている馴染みの日本ブランドの商品が徐々に商品棚から姿を消して、代わりに韓国ブランドの類似品が並ぶ様になって来ました。

現在、私の購入している店で生き残っている日本ブランドの商品としては、「キッコーマン醤油」、「キッコーマンのインスタントみそ汁のもと」、「永谷園のおとなのふりかけ」、「ハウスベジタブルカレー」、「サッポロ一番みそラーメン」、「水戸納豆」と数えるほどになってきており、それらもいつ無くなってしまうかと心配です。


こうした状況は極端な円高/ドル安の長期にわたる継続でアメリカへの輸出価格が採算が取れなくなって来ているためと思われますが、アメリカのカリフォルニア州に製造工場を持って供給しているものなどについても、その製造拠点から日本の本社への還元する配当金が目減りしているためかと推測しています。

一方、ご飯に使う白米の方はカリフォルニアのサクラメントなどを中心とする農場からの供給が豊富であり、最近では日本の「コシヒカリ」や「ササニシキ」「ひとめぼれ」といった高級米の複製物も供給される様になって来ており、その選択に迷う程です。

このままではコロラドで日本の味をささやかながら楽しんでいる日本人や日系人の人達が日本の味が得られなくなってしまうのではないか、と大変気がかりです。

早くも2012年も2月に入りましたが、円高/ドル安の状況がいつ迄継続するのか、コロラドでの日本食の存続が直結している様に感じられる今年の注目点です。

WRITER PROFILE

萩原正喜

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。