情報の交錯

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世界の放送機器祭典が終わりもう1ヶ月が経とうとしている。このNAB情報もホンの数年前(3年位か?)迄は現地に行っているジャーナリスト及び関係者が日本に帰って来る迄はその情報も一般的に深く知ることが出来なかった…。

今年は完全にリアルタイムでしかも細かい情報まで現地さながらのライブ感で手に入れる事が出来たのでは?下手をすると日本から****番のブースの***が凄い!等と一体貴方は何処にいるんですか?のリアル感が本当に楽しかった。しかしリアル感がある分、誤情報も広まるのが早かった気がする。特にリリース発表が遅かった物やいきなり当日発表がされた様な物に期待感込めての尾ひれが付いたと言った方が良いのかもしれない。この感覚はInterBEEには無い感覚なので非常に面白い。しかし一人歩きする情報は注意したい所だ。

NAB振り返るの巻

昨年は各メーカーとも自信満々でプレスカンファレンスでも出してきて所謂「ドヤ顔」で笑みをこぼしていたメーカー責任者も今年は若干トーンダウン。特にSONY、Panasonicという2大メーカーが若干パンチが弱かったのが其れを表している。そんな中で今年最も派手だったのは間違い無くCanonだ。昨年発表したEOS C300に加え、EOS 500とEOS-1D Cの2機種の4Kカメラ実機登場とそのサンプルショートフィルムの上映、更に4Kモニターの展示と次世代レゾリューションを掲げてきた。

その勢いは昨年のブースエリアを単に拡大するだけでは物足りず、Panasonicブースの一角を食いつく勢いだ。そして昨年に引き続きGoProエリアも凄い。2台の劇レアレーシングカーに惜しげも無くカメラを付けまくりでのプレゼン、しかも遂にカラーグレーディングソフトまで投入してきた。来年はどんな展示車を持って来るのか今から楽しみ。

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そして個人的にも興味深かったのは密かに盛り上がっていたJVCケンウッドブース。今回は既に発表済の4Kカメラ、GY-HMQ10と新カメラであるGY-HM600&650。そしてNAB終わりにGY-HMQ10をお借りする事が出来たのでレポートしたい。

4Kはモンスター?

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NABでもその素材の取り扱いの重さに簡単にはいかない事を実感していたQ10。他の4Kソリューションとは違い基本はAVCHD収録でレゾリューションを4分割にしているに過ぎない。実はチョットだけ甘く見ていた!

いざ撮影データーをEDIUS 6に載せてみるとその片鱗ぶりに驚く事になる。確かに考えれば分かることだが4分割と言うことはAVCHDがTLに4段重なるという事で、そこにディゾルブを掛け様ものなら合計8本のAVCHDを扱うのに等しい。小さくても流石4Kである、リトルモンスターと言う言葉がピッタリかもしれない。

4Kの使用感とは?

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話が前後したがその使用感は、電源をいれてトリガーを入れれば普通に録れてしまう手軽さ。業務用という位置付けながらこの機種はマニュアルで使うよりフルオートで使う方が正しいだろう。その筐体はGY-HM100と比べるとデザイン上では殆ど違いが見ることが出来ない。バッテリーの形状からか若干横に太い印象は在るがそれがホールド感に違いが出るレベルでは無い。

LCDモニターは4Kの解像感に追従する為か大型の物になっている。マイクホルダー兼用のハンドルもHM100とほぼ同じものだ。ここ迄似たような外観だとその操作性も同じ様に感じるがそれは全く異なる物と言って良い。まずメニューの階層がそんなに深く無いのに何処にどの設定が在るのか最初は戸惑うかもしれない。この辺の作り込みは民生機からの流用なのかもしれない。

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収録に関してはこのカメラの最も特徴的な部分で、本題左下側にSDカードスロットが4口並んでいる。ABCDと区切られ各々の録画セクションに別れている。この順番はカードフォーマット時に既に割り振られている為に、この順番を守らないと記録が出来なくなってしまう。出力に関してもミニHDMIポートが4口並んでいて各々の収録部分と連動している。

今のところの対応したモニターと言うのが一種類しか無いが、同じサイズのモニターを4つ並べても同様の効果を得られることは出来るが、ポートAだけにケーブルを差し込むとHDサイズにダウンコンされた映像が出てくる。ピントがシビアな4K映像は本体のLCDだけでは今一ピントが掴みにくいので、外部モニターに出す方が良い。

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またレンズ廻りのリングは4Kだけに出来ればフォーカスに特化して使いたいが、そうなったときのズーム操作をズームレバーでするには特に三脚に載せている場合は使いにくい。それを解消するべくGY-HM150用のズームリモコンが使えるので、コレは本体とセットで用意したい。

総評

チョットだけ残念なのは、絶対的な感度が今時のカメラにしては低い。4Kサイズという事で素子辺りの受光部分が小さいためにある程度はしょうがないものだろう。屋外ならまだ良いが室内なら照明をしっかり立てないと厳しい。また絞りの構造が虹彩絞りではなくひし形絞りを採用している。コストと組込みサイズの関係かも知れないが、この部分は次期バージョンでは是非改善して貰いたい。

4Kはモンスターと書いたが、その画質はやはり詳細で素晴らしい。確かに感度の低さがあるがそれでも黒で潰れることなく階調は確実に残っているのが印象に残った。フレームレートも60pと24pが在るので小型の制作系カメラと思う方も居るのでは?でもHMQ10はどちらかと言えばワイドで撮ってHDサイズを切り出す使い方がミドルレンジにはマッチする筈。マルチカメラ収録で引き映像に4K収録して置けば、編集時にHDサイズでのトリミングが出来る。発表会や舞台撮影、幼稚園等のお遊戯会撮影にはかなり使い所のあるカメラである。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。