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[鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線]Vol.46 ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに新アトラクション「ミニオン・ライド(Despicable Me Minion Mayhem)」がオープン

#鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線

2014-05-02 掲載

取材:鍋 潤太郎、撮影:山下 奈津子、取材協力:Universal Studios Hollywood
オープニング・セレモニーの模様。「ミニオン・カラー」である黄色の風船が、一斉に放たれた

はじめに

NABE_vol46_01.jpg

2014年4月11日(金)、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに最新アトラクション「ディスピカブル・ミー・ミニオン・メイハム(Despicable Me Minion Mayhem)」がオープンした。おそらく、この名前を見ただけでは、殆どの読者の方はあまりピンと来ないのではないだろうか(笑)。

※「ミニオン」がピンと来ない方は、こちらのクリップをご覧あれ

「Despicable Me」(2010)は長編アニメ「怪盗グルーの月泥棒」の原題である。カタカナにすると「ディスピカブル・ミー」となる。おそらく、この語感だと日本の子供達には覚えづらいという事で、こういう邦題になったのだろうと筆者は推測している。そして、その続編である「Despicable Me 2」(2013)の邦題が「怪盗グルーのミニオン危機一発」。「Despicable Me 2」は全米公開最初の週末に、ジョニー・デップ主演の「ローン・レンジャー」を抑えてボックスオフィス売上げ第1位、続く2週目も初登場の「パシフィック・リム」を3位に抑えて2週連続第一位という驚異の人気ぶりだった。

2013年7月5日~7日の週末ボックスオフィス
第1位「Despicable Me 2」 興行収入:約84億円相当 制作費:約76億円相当
第2位「The Lone Ranger」 興行収入:約29億円相当 制作費:約215億円相当
第3位「The Heat」      興行収入:約25億円相当 制作費:約43億円相当

2013年7月12日~14日の週末ボックスオフィス
第1位「Despicable Me 2」 興行収入:約44億円相当 制作費:約76億円相当
第2位「Grown Up 2」     興行収入:約42億円相当 制作費:約80億円相当
第3位「Pacific Rim」    興行収入:約37億円相当 制作費:約190億円相当

全世界興業収入は最終的に970億円相当という超大ヒットとなった。しかも、この売上げはユニバーサルの歴代作品の中でもNo.1を記録したというから驚きだ。

NABE_vol46_02.jpg ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド / シティ・ウォークに出来たミニオン・グッズ専門店

ハリウッドのメジャー映画スタジオとしてのユニバーサル・スタジオは、ご存知のようにどちらかと言えば実写の作品が主で、長編アニメーション作品にはあまり力を注いでこなかったという印象が強い。そこに突如、白色彗星の如く超大穴として登場したのが、このシリーズだった。

しかも、ユニバーサルの予想に反して(?)サブ・キャラクターである謎の黄色い生物「ミニオン」が大ブレイク(本当)。キャラクター・グッズは飛ぶように売れ、ユニバーサルのパーク内や、入口に隣接するショッピング施設シティ・ウォークにも、ミニオン専門のグッズ店が相次ぎ登場した。LAで街を歩いていると、ミニオンのぬいぐるみを抱えた女の子や、Tシャツを着たおっさんに出くわす事も珍しい事ではなかった。昨年のハロウィンのパレードでは、ミニオンの仮装をした人も多く見られた。

NABE_vol46_03.jpg 店内にはミニオン関連のキャラクター商品が並ぶ。どれも人気だ

こうした大人気の勢いに乗って、ベストなタイミングで登場したのが、この「ディスピカブル・ミー・ミニオン・メイハム」である。筆者はとりあえず、このアトラクションを便宜上「ミニオン・ライド」と勝手に呼ぶことにした。まぁそんな訳で、今月の本欄では、この「ミニオン・ライド」のグランド・オープニング突撃レポートをお送りしましょう。

グランド・オープニングに参加してみる

NABE_vol46_04.jpg 配布されたヘルメットをかぶり、みんなで楽しく取材する報道陣達

2014年4月11日(金)、ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドにおいて、「ミニオン・ライド」グランド・オープニングが開催された。当日は、報道陣に「ミニオン・ヘルメット」が配布され、みんなでそれをかぶって取材するという、大変不思議な光景が広がっていた(笑)。

NABE_vol46_05.jpg 「イエロー・カーペット」の上を歩く、ミニオン

アトラクションの建物前にはミニオンの色にちなんで、レッド・カーペットならぬ「イエロー・カーペット」が敷かれ、ミニオンや主要キャラクターが登場し、報道陣の前で愛嬌を振りまいていた。

NABE_vol46_06.jpg コメントを述べる、ライド映像のプロジェクト・ディレクターを務めたジョン・コルフィーノ氏

この日のプレス・イベントでは、ライド映像のプロジェクト・ディレクターを務めたジョン・コルフィーノ氏が会見を行い、「子供達にも大人達にも楽しんでもらえる、そんなアトラクション&ライド映像を目指しました。その意味では、成功したと思っています」とコメント。

NABE_vol46_07.jpg コメントを述べる、エリック・ガルセッティ氏 / ロサンゼルス市長

また、ロサンゼルス市の現市長であるエリック・ガルセッティ氏も登場。「ロサンゼルスは、エンターテイメント・キャピタルです。良いものを作れば、大勢の人が集まり、お金が落ちます。これが、ロサンゼルスのエンターテインメントのサイクルなのです。このサイクルを、ぜひ今後も発展させていきたいと考えています」とコメントし、今年の観光の目玉になるであろう、このアトラクションへの期待を語っていた。

どんなアトラクションなのか

NABE_vol46_08.jpg 映画の中でもおなじみであるグルーの家が再現されている

このアトラクションは、1999年にオープンした人気アトラクション「T2 3-D:Battle Across Time」が2012年の年末に廃止された跡地に新設された。アトラクションの建物はグルーの家をモチーフにデザインされており、中に入ると映画の中でもおなじみの部屋や廊下、そして家具等を見る事が出来る。

NABE_vol46_09.jpg アトラクション内部にも、楽しいイラストがいっぱい NABE_vol46_10.jpg

そして、メインシアターへ入る前に、立体映像を見る為の3Dグラスを受け取る。このライド映像で採用されている3Dグラスは、ドルビー3D方式によるものだった。

NABE_vol46_11.jpg ライドに載る前に、ドルビー3D(Dolby 3D)のメガネを受け取る

ライド映像の前の待合いスペース「プレ・ショー」エリアでは、お馴染みのミニオン達が「注意事項」を観客に説明する。

NABE_vol46_12.jpg 待っている間にも楽しい映像が流れ、観客を退屈させない演出 NABE_vol46_13.jpg モニターに映るプレ・ショー映像では、ミニオン達が3Dメガネについて、楽しく解説

そして、いよいよメインシアターへ入ると、そこには据え付け型のモーション・ライド24機(各8人乗り)が設置されている。このライドは油圧式のコントロールによって、浮遊・ツイスト・ピボットの各動作を実現している。

NABE_vol46_14.jpg シアター内部の模様。据え付け型のモーション・ライド24機が見える NABE_vol46_15.jpg 各ライドは8人乗り

シアター前方には横52フィート、縦36フィート(約16m×11m 縦横比1.44)、そしてゆるいカーブ形状の腹心曲線スクリーンがある。これは、どのライド方向からでも臨場感が得られる為の配慮であろう。そこに投影される立体映像とライドの動きがシンクし、立体効果と臨場感が楽しめるという演出である。

ライド映像は、映画本編と同じくIllumination Entertainmentがコンピューター・アニメーションを担当しており、解像度は“流行り”の4K、そしてKing Kong 360 3-Dと同じく60コマ/秒を採用している。この業界が長い方は、「お、ショースキャンと同じコマ数だ」と思わずニンマリされるに違いない。映像は2台のクリスティ4Kプロジェクターによって、曲面スクリーンに投影されている。このプロジェクターが採用された理由は、「現時点で、4K映像を最も高いルーメンで映写出来る」という評価によるものだという。

さて、いよいよ映像が始まった。みんなでミニオン達と一緒に工場の中へ入り込み、大冒険をするという観客参加型のストーリー展開である。筆者は一般の観客の反応を見るべく、一般人と一緒にこのライドを体感してみた。演出には、映像に合わせて風、水、そして振動などの「4D効果」が盛り込まれている為、子供達はキャイキャイ喜んでいた。大人達からも、「おお!!」という歓声が上がっていたのが印象的だった。

このライド映像の立体視について言及しておこう。筆者は1人という事もあって、たまたまスクリーン最前列のライドの空き席へ案内されたので、画面にかなり近い位置で鑑賞する事になった。映像の立体視差はやや強めに設定されており、しかもライドが大きく動くので、見終わったら軽い乗り物酔いに見舞われてしまった(笑)。今回の経験から、このライドを鑑賞するなら、なるべく劇場のセンター付近のライドに搭乗するのがおススメと言える。少しスクリーンから離れた中央エリアが、ベストな立体効果と臨場感で楽しめる事だろう。

この「ミニオン・ライド」は、このプレス・イベントの後から一般公開が始まったが、さっそく大人気となった。この日の待ち時間はなんと75分で、その人気ぶりを示していた。

NABE_vol46_16.jpg 「ミニオン・ライド」はなんと、75分待ち!

さて、駆け足でご紹介した「ミニオン・ライド」の突撃レポート、如何だったであろう。その概要はおそらくご理解頂けたのではないだろうか。今年の夏休みにユニバーサル・スタジオ・ハリウッドをご訪問される予定の方は是非とも

  • King Kong 360 3-D(「バックロット・トラムツアー」の一部に組み込まれている)
  • トランスフォーマーズ・ザ・ライド3D

も併せてトライしてみると楽しいかもしれない。ただ、いずれのアトラクションも激しく動くので、満腹状態で乗ると後で悲しい結末が予想される(笑)。くれぐれもご注意されたし!


WRITER PROFILE

鍋潤太郎 ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。


[ Writer : 鍋潤太郎 ]
[ DATE : 2014-05-02 ]
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