txt:林和哉 構成:編集部

キヤノンから待望の「EOS R5」「EOS R6」が登場

2020年7月9日。新たに記憶に残る日となりました。

2008年に登場したEOS 5D Mark IIの衝撃から12年、新たなモンスターが大襲来!オンラインでの発表で日本時間の21時スタート。セキュリティの問題で他社が入れない場所からの配信かな、と見守ってしまうほのぼのとした感じで、やんわりとEOS R5が発表されたのです!

主なスペックは下記の通り。

■EOS R5

  • 新開発の約4500万画素フルサイズCMOSセンサーとDIGIC Xによる高画質
  • 電子シャッター最高20コマ/秒、メカシャッター・電子先幕最高約12コマ/秒
  • 測距エリアも横:最大約100%、縦:最大約100%
  • AF人物検出:瞳/顔/頭部、動物(犬、猫、鳥)検出:瞳/顔/全身
  • 世界最高約8段分の手ブレ補正効果(IBIS/OIS)カメラ内5軸手ブレ補正機構搭載
  • 動画性能、8K DCI/UHD 30P、4K DCI/UHD 120P/60P
  • カードスロットはデュアルスロット(CFexpress+SD)
  • Image.canon対応

■EOS R6

  • 約2010万画素CMOSセンサー(EOS-1D X Mark IIIベース)とDIGIC Xによる高画質
  • 電子シャッター最高20コマ/秒、メカシャッター・電子先幕最高約12コマ/秒
  • 測距エリア横:最大約100%、縦:最大約100%
  • AF人物検出:瞳/顔/頭部、動物(犬、猫、鳥)検出:瞳/顔/全身
  • 世界最高約8段分の手ブレ補正効果(IBIS/OIS)カメラ内5軸手ブレ補正機構搭載
  • 動画性能、4K UHD 60P、FHD120P
  • カードスロットはデュアルスロット(SD✕2)
  • Image.canon対応

その反響たるや凄まじく、明けて10日の10時の予約開始時、ちょっとお得なセットが購入できるキヤノンオンラインショップでは、アクセスが集中してほとんど見ることが出来ない状態が続きました。このスタートダッシュ感は、皆が待ちわびていたことの証左でありましょう。

筆者はRのナンバリング機が出たら迷わず手に入れることを心に決めていたので、もちろん速攻発注。本体+追加バッテリーセットにバッテリーグリップとバッテリー3個をペイジーで一括大人買い。早くこないかなー。

EOS Rも良いカメラでありましたが、テストマーケティング機であることが今春のR5の開発発表で裏付けられ、こよなく愛していた筆者としては人柱を務めた一人としてホッコリしました。

「5」であること

キヤノンのサイトでは、「5であることが、すべて。」というコピーが添えられています。「5」こそ、キヤノンの一眼カメラの伝説を作ってきたカメラであることは異論のないところですよね。

動画がメインな筆者にとって、動画機能の大幅なテコ入れが一番の注目点でした。5D Mark IIで世に問うた「フルサイズセンサーHD動画」機能は「EOSムービー」と呼ばれ、その後の映像制作を根底から変えてしまいました。

5D Mark II登場以前は、業務用ビデオカメラでも2/3インチ、同時期に出てきたRED ONEでフィルムのS35サイズ(APS-C)が最大または主流であり、フルサイズセンサーが持つボケ味を生かした映像は、価格も手頃さも圧倒的で、皆がこぞって手にしました。

撮影された映像データを扱うにはその時代のPCは非力で、ProResHQなどへの返還が必要でした。変換サービス自体も発生し、DIT的な業務が勃興し始めます。

テレビでは薄ピンの映像が溢れ、深夜番組は、それはもう被写体以外何もわからない、みたいなものを多く見かけるように。

カメラ単体では撮影に不便な点も多いため、それを補助する形でリグが認知され、あまたのリグが発売されてマーケットが立ち上がります。

他社メーカーも5D Mark IIの勢いに、出し惜しみしていたセンサーサイズを大幅に拡張して販売を開始。マイクロフォーサーズという新規勢力のセンサーサイズも生まれました。まさにゲームチェンジャーだったのです。

しかしながら、Mark III、Mark IVと進化していく中で、自らが名付けた「EOSムービー」を先細りさせていくかのような凡庸なアップデートに、「C」を冠する他の業務用カメララインナップに気を遣っている、と揶揄されもしました。

ミラーレスカメラにシェアを奪われ、じわじわと土俵際に詰められているかのような話題性のなさに、キヤノンユーザーはヤキモキ。

しかし、キヤノンはキヤノンでした。すべて受け止めて余裕をもって勝負を決める横綱相撲のように、「5」の系譜を引き継いだ全部入りの「R5」で反撃開始です。

PRONEWSでのEOS R5の紹介記事に詳しいスペックなどが載っていますのでそちらも見て頂きたいのですが、転載しつつその機能について、早速考察してみたいと思います。

AFの圧倒的進化

デュアルピクセルCMOS AF IIを搭載して、測距エリアが画面全域をカバーし、検出性能、アルゴリズムも改善してより食いつきのいいオートフォーカスを実現しているとのこと。

  • 人物検出:瞳/顔/頭部
  • 動物(犬、猫、鳥)検出:瞳/顔/全身

EOS Rでも好評だったAF機能ですが、さらに進化して食いつきが半端ない感じです。この辺りはSonyが先を行っている感じがありましたが、デモ映像を見るに、現段階では一歩リードした感じがします。精度も高く、人間的な挙動が見えていて、とても興味深い。

  • 動画でもスチール同様のAFが作動

これは実はとんでもなくすごい。

よく、動画のプロはオートフォーカスを使わない、と言われています。筆者は、「使わないのではない、使えるオートフォーカスがないだけだ」と各所で発言してきました。その声はどうやら開発の人に火を付けたようで、この数年で各社劇的に進化しました。8Kといったフォーカスの山を表示系で確認するのが困難な現状において、この流れは喜ばしいです。ビデオグラファーの方々にこそ、活用して欲しいですね。

動画機能の超絶進化

■8K/4Kの動画記録

EOS R5は、フルサイズ一眼カメラとして初の8K動画RAW内部記録に対応しており、クロップしない8K30P 12bit RAWの内部記録を実現しています。また、4Kの記録に関しても、8.2Kからのオーバーサンプリング処理により高い解像度をもつ4Kデータ撮影が可能な高画質モードを搭載しています。

■フルフレームの4K120P撮影が可能な4Kハイフレームレート動画機能も搭載

写真同様のAF追従をしながらスローモーション撮影が可能になるわけです。コンパクトなボディでフルサイズセンサーのスローモーションが撮影可能ということでやれることが拡がりますね。

ただ、気になる点があります。

「ハイフレームレート」と「4K高画質」設定は両立しない、とのこと。

フルフレームと言うことは、8Kサイズではないのかな?R5の通常はそこからオーバーサンプリングして4Kをつくっている=4K高画質のはずなので、4K高画質がオフになるということは、何かしら情報を間引いているということ?クロップしちゃうって事?この辺りは後編で検証してみたいですね。

4K120Pのハイフレームレート記録は29.97固定のフレームレート。

これはカメラ内での扱いや撮って出しの時に影響を受けるだけのお話で、編集機などでフレームレートを変えてあげれば何にも問題なし!

■イメージセンサーのクロップ選択が可能

フルサイズで撮影しているが、もうひと寄り欲しい、という時にクロップできるので便利。筆者はRF28−70mm F2レンズを家宝にしてお待ちしておりましたので、このレンズをクロップ活用して28−105mm的な使い方をしたいと画策しております。

8K記録はイメージセンサー自体がフルに8Kなので、クロップすると対応しません。また、4K高画質や4K120Pもフルのみの対応だそうなので、撮影したいビデオフォーマットとの整合性には注意が必要ですね。

■記録方式はRAWとMP4(H.264、H265)、Canon LogとPQ

(A)Canon LogやPQのガンマ設定をオン

(B)8K記録を設定
H.265で内部記録。
色域はBT.709もしくはBT.2020から選択
カラーサンプリング4:2:2/10bit

(C)Canon Logをオフ
H.264で内部記録
ガンマも色域もBT.709ベース
カラーサンプリング4:2:0/8bit

■Canon Logのバージョンは「現状」は初代のみ

将来的に2、3が搭載されてくるかは、ユーザーの御奉公に掛かっていますね(笑)。8K、Canon Logオンでの運用がメインか?といったところ。裏技的にPQで撮ってSDRに落とし込むというのもあり。

この辺りも実機で検証しましょう。

■Canon Logオン/オフの設定で8K RAW内部収録のダイナミックレンジが変わる

ここが、ユーザーが一番気を付けたいところ。

(A)RAW&CanonLogオン
イメージセンサーの最大ダイナミックレンジで収録
Canon Logをオンの場合は12ストップのダイナミックレンジのデータとなる。

ポスト処理前提の撮影スタイルですね。

(B)RAW&CanonLogオフ
リニア記録となり、BT.709ベースの約8ストップのダイナミックレンジで記録。

(B)は撮って出し利用が想定される。Logオフにすると調整幅の狭まった状態で焼きつくようです。

あれ?RAWって何?この辺りも実機で検証予定です。

ポスト処理をする前提であればLogはオン、ビューイングLUTを使用するアシスト機能を使いましょう。ATOMOSなどのモニターが欲しいですね。

EF互換の優位性、マウントアダプターが便利すぎる件

RFレンズの描写力はちょっとビックリします。LEICAみたいに完全手作りの非熱処理レンズではなく、それなりに大量生産に長けた仕組み・設計であるはずですが、これまでのEFマウントレンズで撮っていたそれとは次元が違う抜けと解像感。まるで被写体が目の前にいるかのような実在感。もちろん本体側でもレンズの弱点を補正しているかとは思いますが、それを差し引いても、ちょっとアレです。

加えて、EOS Rを使用されている諸兄はご承知のとおり、EFレンズをEFtoRFマウントアダプターで使っても、一皮向けたかのような描写を見せます。大概の人は、EFマウントのレンズを持っていると思うんですよね。EFマウントをミラーレスのショートフランジバックを活かして使用できるようにするマウントアダプター遊びが一世風靡し、定番化してますから。

マーケットに展開されている豊富なEF資産もそのまま活用できます。その資産で「ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R ドロップイン 可変式NDフィルター A付」を使って撮影すると、後ろ玉にバリアブルNDが入った状態で撮影が可能です。ND3~ND500相当まで調整可能な逸品。デイライトで解放にしたい、なんてことも、簡単にできてしまうのです。この機動力は、一度やってみると手放せないのです。

お高いのですが、これはマストでしょう。R5を導入しようと思っていて、この記事をご覧になっている方。本体が届く前にこれを早めにゲットしましょう。R5が出回り始めたら、間違いなく品薄になると予想されます。

RFレンズの将来は明るい

RFマウントレンズは、まずはプロ御用達レンズがラインナップされていて、確かにお高め。でも、筆者はEFレンズとうまく共存しながら、少しずつRFレンズに置き換えて行くつもりです。マウント系もアップして、フランジバックも短くなったことで、のびのび新設計でのハイスペックレンズ。

出てくる色も、一発で「イイ!」と思わせるキヤノンカラー。髪の毛などの描画がすごく繊細だけど悪目立ちするほどシャープすぎない。そういった叙情的な味付けは、やっぱり一日の長ですね。

筆者の主観なのでそういうつもりで聞いて頂きたいですが、色んな個性のカメラが各種出ているなかで、「あれっ?なんだろう、グッとくるな、この作品」という写真は、キヤノンで撮影されたものが多い印象です。昨年、とある展示会でC500 Mark IIのSLのデモ映像が流れていました。通りすがりに目に入り、一旦は他のブースに移動しようとしたのですが、心つかまれてその場に戻り、「なんだろう、いいですね、これ」と話し込んでしまいました。

きっとキヤノンユーザーは理屈ではない何か琴線にふれる部分に共鳴しているのではないかな、と思います。それが動画でも手に入ると思うと、ちょっとドキドキします。

RFマウントのデファクトスタンダード化

EFレンズ、EFマウントは、流通しているレンズ量、マウントアダプターの多種多様な機種向けの対応などから、ほぼほぼデファクトスタンダード化しているといっても過言ではないかと思います。ざっと上げるだけでも、

  • Panasonic VARICAM LT、EVA1
  • RED HELIUM、GAMINI、Monstroや歴代のカメラの変換マウント
  • Blackmagic Design BMPCC 6KやURSAの変換マウント

などが正式に対応しています。SonyのFSシリーズもMETABONES Speedboosterを介してEFレンズ使用が多い。会社を跨いでマウントが標準化されていくのは良いですよね。Lマウントアライアンスの取り組みも素晴らしいと思いますが、EFの生態系は広く深く浸透している感じです。その中にあって、他社カメラへのマウントアダプターを介しての利用をうながしているのではないか?と思ってしまう、RFマウント敢えてのフランジバック20mm。

すでに、RED Digital Cinema社の小型カメラKOMODOでは、RFマウントが採用されています。RFでも行けますし、EFのNDマウントアダプター運用するとどちらでも美味しい運用が可能。

筆者の予想では、BMPCC 6KでEFマウントを採用しているBlackmagic Designが「BMPCC6K RF」を出してくるのではないかな、と思っています。

こうして、RFマウントレンズを持っていれば、多方面で活用できるとなって、価値も上がっていくでしょう。僕は今虎の子の28−70mm F2だけですが、レンズ資産を増やして行きたいな、と思っています。

ざっとスペックを見ての考察をインプレッションの前編としてお送りしました。どうやらテスト機に来週触れられそうなのでテクニカルな検証を後編につなげたいと思います。

ではでは、キヤノンの反撃に心躍らせている皆様、次回まで健やかに過ごされますよう!

WRITER PROFILE

林和哉

最新技術が好物でリアルタイムエンジンにゾッコン。Unity Technologies Japanの中の人。セミナー講師経験豊富。