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「相棒-劇場版Ⅱ-」お手軽データベースソフト Bento は、撮影監督の良き相棒!~撮影カット管理で映像品質もUP!~

#相棒

2011-02-25 掲載

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安価な「Bento」の思わぬ実力

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海外海上ロケ現場でも、スタンドアロン運用が可能な「Bento」で、常に現場のMacでワークフロー管理をすることが出来た ©2010「相棒-劇場版Ⅱ-」パートナーズ

しかし、「相棒-劇場版Ⅱ-」は、元からレベルの高い東映作品の中でも相当にハイレベルな作品だ。それに、店頭価格:税込み5040円という、極めて格安な「Bento」が使われていることには、正直驚いた。高価なアセットマネージメントシステムを導入する会社も多い中、こうした安価なシステムによる制作管理で、問題はなかったのだろうか?この質問に対し、会田氏は明確に「Bento」の導入効果を示した。

実は、「相棒-劇場版Ⅱ-」は、テスト段階から全部、全てのカットを「Bento」で管理してるんです

会田氏は、今回の撮影において、従来も表計算ソフトに入力していたような使用レンズやカメラ設定などの数値データだけではなく、今までは申し送りで口頭で伝えていたような「このシーン、なんか注意点あったよね」というような、今までは助手の方が個人で記録していたような情報まで入力をしてみたという。

すると、本当に楽だったんです、検索が。あのときのカットって何月何日のどんな状況だっけというような、どんな情報でも一発で検索できるんですよ

例えば、後日追加で撮ることになったカットであったとしても、その機材設定や環境などをすぐに知ることが出来るのは非常に効果が大きかったようだ。撮影部の技術というものは、個人の内側に留めていてもしょうがない、と会田氏は語る。例えば、ある出来の良いカットがあったとして、その効果が、レンズが良かったお陰なのか、あるいはカメラの設定なのか、他の要因なのか? 「Bento」によるデータベース化は、そうした部分を一目でわかるようにしてくれたという。そうした技術部分をデータとして取り出して、撮影部全体で共有化できたのが、作品の質の向上に非常に役に立ったという。会田氏は、導入の効果を熱く語った。

そういう効果はファイルベースで今までやっていた人には当たり前だったのかも知れないですけど(笑) でも、快適なんですよ。何か欲しい項目が出来たとしても、メニューからドラックしてくるだけで全部自分で作ったかのようなインタフェイスが構築できるわけで

撮影現場では、まず、撮影助手スタッフに従来通りに紙ベースでメモを取らせ、それをその日の内にMacに入力する、という手法をとった。その入力データに対して会田氏が書いた申し送りなどをメールで送付し、データをマージして各カットごとの管理データを作り上げていった。

もちろん実際の撮影の時には、コンピュータなどいちいち立ち上げて見ている暇は無い。そこで、現場ではあらかじめ「Bento」の画面を印刷出力してスタッフに配り、そのままその紙にメモを書き加えていたという。そのメモを撮影が終わり次第その日の内に「Bento」のデータとして書き戻すわけだ。そうすることによって、常に最新の情報が撮影スタッフ間で共有できた。こうしたワークフローができたのも、インタフェイスそのままの印刷出力が出来る「Bento」ならではの使い方ではないかと会田氏は言う。

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実際のBento画面。国内撮影だけでなく、フィリピンでの撮影にまで使われたことがわかる。前後のカットのEOSムービーとのマッチングのメモまで読み取れる。©2010「相棒-劇場版Ⅱ-」パートナーズ

これがもし、高価なアセットマネージメントシステムであれば、システムに合わせてデータ収録の手法などを変更したり、管理情報にあわせていちいちシステムを組み直す必要などもある。また、制作現場にアセットマネージメントシステムのためのPC端末を設置する必要も出てくるだろうし、そのオペレート業務も新たに発生することになる。つまり、今までうまくいっていたフィルム時代のワークフローそのものをデータ管理システムのために大きく変えなければいけなくなるのだ。しかし、「Bento」であれば、従来の手書きメモを利用したフィルム時代のワークフローの延長上で、確実にデータベース化が出来るようになるのだ。そうしたデータ管理の整理によって、撮影に入るまでの準備時間や実際の撮影にかかる時間が短縮されることも多かった。こうした時間の短縮は、単に撮影をスムーズにして各カットごとの質を高めるだけでなく、明確なコスト削減効果もあったという。

例えば、ワークフロー管理のおかげでポスプロの時間が1日減ったら、100万円違うんですよ。それが「Bento」だと、Mac1台当たり数千円の投資で済む。コスト面で考えても、そして映像の質で考えても「Bento」1本で100万円浮くというのは大きいんです。それだけ撮影現場に費用を掛けられるということなんですから

実際、ポスプロに使うスタジオ費用は、素材準備に使う時間など、実際の編集作業時間以外の時間もかなり長い。それを縮められれば、その費用効果は絶大だ。今回は、撮影部内での導入であったが、もし、作品全体に適用されれば、例えば香盤表からカメラデータまで、一括管理をすることなども可能なのかも知れない。そうなれば、そのコスト削減効果はさらに大きなものになるだろう。簡単で手軽なソフトウェアでありながら、制作現場における「Bento」の可能性は、非常に高いものがあるのだ。

まだまだ広がる「Bento」の可能性

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会田氏は、この「Bento」の便利さに目覚めた当初、多くの入力フィールドを入れ込んだ大きなデータベースを作ったが、結局最終的には、今のような最低限のフィールド数に落ち着かせたという。

今はとにかく、ユーザーとして非常に満足して使っています。なんというか「手頃」なんですよね。その「手頃感覚」を生かすためにも、あまりフィールド数が多くてもいけないな、と

実際、フィールド数を削り、プリントアウトして一枚の紙で見られる範囲にフィールド数を押さえることで、非常に大きな効果が生まれたという。また、「相棒-劇場版Ⅱ-」の撮影に当たっては、主要スタッフや撮影部のMacには「Bento」が入れられ、仕事の際には個人データを別途バックアップ保存してから、配布された撮影管理用のデータをバックアップから復元して作業環境を完全に共用化する手法がとられた。この手法は一見面倒だが、確実に同じデータを見ることが出来る為、最終的にはこうしたデータ共用手法になったという。

会田氏は、作品ごとに必ず「日本初」の技術を入れるようにしているという。その一つが、この「Bento」によるワークフローの改善だったわけだ。そしてその効果は期待以上のものであったらしい。すでにLANでのデータ共有などの機能がある「Bento」だが、会田氏はこれがインターネット経由などで簡単にデータ共有化できればさらに楽になり、将来的には様々なスタジオなどにも使われるに違いない、と指摘する。確かに、もし、そうした発展が「Bento」にあるのなら、それは、制作現場を大きく変え得る非常に大きなブレイクスルーとなるのではないだろうか。非常に将来の発展も楽しみなソフトウェアなのだ。会田氏は、PRONEWSの読者のような、映像のプロにこそ「Bento」によるデータ管理の効果は実感できるのではないか、と言う。

データを管理するということは、単にコストを安く作業が楽になるだけじゃなく、個性を含めた項目を客観的に見ることに直結するんです。そうすると、映像の質がワンランク上がります。これは、とても大きいことではないか、と

日本の撮影現場は、どうしても根性論が先行する体育会系の世界である。しかし、厳しい世情の中撮影を続けていくためには、能率化や客観化によるさらなる技術向上は欠かせない。そうした撮影現場の一助として、会田氏の提案するこの「Bento」活用手法は、大いに参考になるものなのではないだろうか?

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WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。修士(芸術) 博士課程芸術専攻


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2011-02-25 ]
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手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。修士(芸術) 博士課程芸術専攻


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