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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.14 夏の風物詩、羽田空港オタク系イベント

2011-09-20 掲載

震災と原発事故に振り回され続けている2011年だが、今年もそれなりに夏らしいイベントは展開されていた。中でも、数年前から始まったオタク系と飛行機とのコラボ展開は今年も行われ、大きなニュースにこそならないものの、話題を集めていた。一方で、震災と原発事故、そして円高を発端とする経済破綻の波は大企業にまで及びはじめ、日本の産業構造全体が大きく変化をしつつある。今回は、毎年夏の恒例とも言える空港のオタク系イベントと、その後の現状に注目してみた。

飛行機とオタクの良好な関係

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羽田空港で今年も行われたポケモン系イベント。これを目当てに日本各地から飛行機に乗る家族もある。もはや夏の風物詩だ

平均して週に一度は飛行機に乗り、日系航空会社の上級会員にまでなっているためよく誤解されるが、私は実は飛行機が大の苦手である。あんなガラス繊維とプラスティックで出来た薄紙製品に乗って時速1000キロもの速度で成層圏ぎりぎりの空を飛んでいるなんて、正直想像もしたくない。とはいえ、私の主業務であるオタク映像産業を生き抜くためには日本各地・世界各国との連携は必須で、仕事の都合上どうしても乗らざるを得ないのも飛行機なのだ。

そんな飛行機嫌いの私にとって、最近数多く行われているゲームやアニメなどと航空各社のコラボレーション企画は、恐怖感を紛らわす一服の清涼剤といえる。

そもそも、オタクと飛行機とは、元々極めて相性が良い。飛行機マニアはアニメやゲームマニアとも層が重なるし、そもそも、オタクの好む「男の子的」なメカニカル感や制服感を満載しているジャンルなのだ。元々、航空会社系のショップでも多くのおもちゃ類が取り扱われ、航空機操縦シミュレーションゲームがあるのは空港の定番だ。そんな中、オタクの注目を集めているのは、やはり羽田空港の国際線ターミナルだ。

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大訪中団に参加する国会議員で溢れる羽田空港旧国際線ターミナル(暫定国際線ターミナル)。この頃の民主党政権は、まだ期待感に溢れていた…(2009年)

以前の小さな国際線ターミナルは暫定国際線ターミナルとも言われ、一度羽田が国内化された後、国際的事情で台湾系航空会社のためだけに使われていた小規模な施設であり、その後2002年の日韓共催ワールドカップでの再国際化機運で近距離線チャーター便向けにも暫定的に開放されていたものだ。実は旧国際線ターミナルは、国会議員や大企業幹部旅行など、成田まで足を運ぶ時間が惜しいし警備にも手間がかかるが、羽田の貴賓ターミナルを使うほど大げさでもないという程度のVIPの集団移動向けにも開放されていて、筆者も議員随行のチャーター便で利用したことがある。都心に近く、いつも空いているために大変便利ではあったが、VIPラウンジも全航空会社混合形式で、とにかく狭いターミナル施設であった。ところが、昨年10月に新築全面改装された羽田空港の国際線ターミナルは、そんな簡易建築のターミナルとはまるで別物だ。

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羽田空港新国際線ターミナル。写真2と同じ位置関係の筈だが、格段に広い!

D滑走路の新設と共に再開発されたエリアに新設された同施設は、国際線ターミナル専用駅まで完備し、チャーター便のみならず、中距離定期便までに対応した本格的国際線施設として生まれ変わったのだ。もちろん、建築物自体もちゃんとした本格的な鉄筋コンクリート施設で、以前の倉庫のような簡易建築とはまるで異なる。東京の国際的な顔となる同ターミナルには大規模商業施設も併設しており、日本の各ジャンルからチョイスされた店舗の数々は和風な商店街を形成し、ただの商業施設というだけではなく、日本文化を紹介する重要な役割も担っている。この文化紹介施設としての役割は日本文化の代表選手とも言えるオタク文化も例外ではなく、なんと、5Fがまるごと「TOKYO POP TOWN」として、オタク系文化に特化したフロアとなっているのも特徴だ。

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「TOKYO POP TOWN」では、中国に大人気の「ハローキティ」の専門店を始め、アニメグッズや科学おもちゃの店が並ぶ

「TOKYO POP TOWN」の最大の特徴は、その体験型の施設構成

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なんと、スロットカーサーキットまで完備!こんな空港は他にはないだろう!

例えば、喫茶店「PLANETARIUM Starry Café」はプラネタリウムを兼ねていて、食事をしながら科学に触れることが出来る。そのとなりには科学おもちゃの店「ザ・スタディルーム」があり、実際に見本に触れながら、科学に関するおもちゃを購入することが出来る。それだけではない、なんと、おもちゃ店の「博品館」には、ミニラジコンとも言えるスロットカーのレース場まで完備されている。一定額を払えば特に車輌など持ち込まなくともレース参加できる仕組みで、時間をもてあましがちな夏休みの空港では、この設備も大活躍していた。

しかし、こうしたオタクの楽園、羽田空港新国際線ターミナルにも、暗雲が立ちこめはじめている。原油高騰に加え、原発事故による利用者激減のため、米国航空会社の羽田便は9月から運休してしまったのだ。米国航空会社も、当初は「阪神大震災の例から見て、2~3ヶ月で需要は回復する」として震災後運休していた路線を7月に再開したのだが、やはり客足は伸びず、結局9月から再運休となってしまった。

当初の予定では、爆発した福島第一原発の封じ込めが3ヶ月程度である程度の見込みが見えてくるという予定であったため7月再開としたようだが、結局それから2ヶ月経っても未だに封じ込めはされておらず、大量の放射性物質が日々だだ漏れしている状況が続いている。日本国内では、報道コントロールでそうした事実が無かったかのように扱われているが、そうした手法は当然海外客には通じない。

羽田空港は福島第一原発から250キロも離れておらず、諸外国からは極めて近い位置関係にあると見なされている(事実、放射能汚染もそれなりにある)。これで諸外国から東京に来て貰おうというのは、無理があったのだろう。実際、運休後の空港にも足を運んだが、本当に人が少なくて、不安にならざるを得ない。結局、羽田の今後、ひいては東京圏の今後が明るくなるためには、何よりもまず、福島第一原発の事故事態の収拾開始が必須なのだ。

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人影の少ないショッピングエリア「江戸小路」。国際線減便はショッピングエリアを直撃していた

そんな中いち早く人が戻りつつあるのが、国内線だ。人影の少ない国際線ターミナルとは違い、国内線ターミナルはすでに、震災前にかなり近い活気を取り戻しつつある。特に、家族連れの姿が帰ってきているのが嬉しい。航空機利用客はビジネス利用が多くを占めるのは事実だが、消費をし、地域経済に貢献するのは、やはり家族連れがあってこそだ。もちろんまだまだ節電で電気は暗いし、放射能汚染食品を恐れて、レストランに子ども連れの姿は少ない。

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国内線ターミナルには、子どもたちが帰ってきた。彼らこそが東日本復興の要だ

しかし、例えば、屋上展望台には、お弁当を持った子供連れが帰ってきているし、今回紹介した一番最初のポケモンイベントの写真も、実はお盆時期の国内線ターミナルのものだ。時期が時期だけに、東京近郊の名物食品などは余っていたが、汚染が少ない地方産の空弁などは、飛ぶように売れていた。たとえ旅の最中とは言え、少しでも危険なものは子どもに食べさせたくないのが親心というものであろう。

羽田空港は日本の国際的な顔であると共に、東京圏の出入り口でもある。その立場を生かし、各地方からの無汚染食品を東京圏に紹介する役割など、核汚染の現代東京圏にマッチした、新しい羽田空港の在り方も考えて見てもよいのではないだろうか。汚染がなかった振りをして、権力を振りかざして危険な食品を子どもたちに食べさせるばかりでは、東日本の復興はますます遠のくのではないかと思えてならないのだ。

次回は、震災後の中国とのオタク産業事情や、先延ばしされていた各種イベント開催の状況など。


WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2011-09-20 ]
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