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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.24 アジア映像の都、上海!

#オタク社長の世界映像紀行

2012-08-07 掲載

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「中国経済がバブルだったらいいな、そして中国バブルが崩壊してくれればいいな」という先進諸国の期待と裏腹に、中国は実体経済を着実に成長させ、特に沿岸部に限ってはほとんど先進諸国と変わらない生活水準を実現するようになった。特に上海は、今や「アジアの首都」とまで呼ばれるほどの活況を呈している。今回は、その上海から映像関連最新情報をお伝えしたい。

機材は東京以上の品揃え

teduka2401.jpg 上海駅南口の商城は、古くからある上海の名所だ

PRONEWS読者が最も気になるのが、おそらく上海の映像機器事情だろう。特に、InterBEEなどのイベントでは、RIGやライト、レンズマウントで、安くて優れた機材を次々と出しているのが上海企業ばかりなので、その興味は尽きないはずだ。今回は、上海駅周辺にある、映像専門商城を訪れてみた。

中国の大規模商業ビルは商城という形式を取ることが多い。これは、一店舗の大きな店がビルを占有するのでは無く、コマごとに分かれた小さな店が集まって大きなビルを形成するもので、建物ごとにその地域の専門店を集めるのが特徴だ。秋葉原ラジオセンターの超巨大版が各ジャンルごとに存在すると思うとわかりやすいだろう。そのため、目的の商品専門のビルに行くだけで、その地域のほとんど全ての専門店に行くことができる。大変合理的な仕組みなのだ。

映像関連商城は、上海駅の南にある。実は上海の名産品の一つがレンズなどの光学製品で、そのため上海駅周辺は眼鏡などの光学製品の商城だらけ。その一部として映像機器が扱われているのである。上海では映像機器は、主に婚材、つまりブライダル撮影用途を目的としたものである。中国の結婚式はご存じの通りド派手で、そこでの映像演出は、もはや欠かせない存在となっているのだ。これに対して上海の元々の商売である眼鏡などの光学製品自体は、実は、最近は人件費の安い地方都市にお株を奪われつつ有りすっかり下火となっている。映像機器はこれからのジャンルと言うことで出店数を伸ばしており、商城の中でも一大勢力を形成しているのだ。

今回訪ねた商城も、そうした定番通り、1階が新品カメラ製品、2階が中古カメラと周辺機材、そして3階が全て結婚用品というわかりやすい構成で、大いに賑わっていた。

teduka2402.jpg 規模や品揃えは完全に東京以上。安い中国メーカーが多いが、中には映画機器専門店やLeica専門店もあり、品揃えは侮れない

しかし最近、そうした映像商城に変化が訪れつつあるという。それは、結婚用途以外の商店の増加である。例えば、この商城でも、Leicaの専門店や映画用RIGの専門店など、明らかにブライダル撮影用途には不向きな映像機材の専門店が増えていて、記念撮影では無く、映像を撮るという行為そのものが中国でも受け入れられつつあることが見て取れる。そうした店舗には、明らかにプロでは無い一般の素人客が出入りしており、素人お断りの感のあった商城の雰囲気を一変させている。元々何かの機会に巨大な写真を撮りたがる写真好きの国民性だけに、経済発展があればそこに趣味的要素を見出すのは当然のことだったのかも知れない。

teduka2403.jpg オールドカメラやLeicaなど、明らかにブライダルに向かないカメラの専門店もある。こうした店には必ずマウント変換アダプタも売られている

ちょっと前までの中国製映像用品の出来が酷かったのは、それが、自国内で使われない商品だったからである。自分たちで使わないものを、それが高価なものだという理由だけで、商売のためだけにそれっぽくコピーして売っていただけなのだから、出来が良いはずが無かった。そもそも、肝心のカメラ自体が高額すぎて買えなかったため、そうした中小の工場には出来の善し悪しですら判定の方法が無かったに違いないのだ。

それに対して、最近急激に中国製品の品質が上がっているのは、技術力そのものの向上もさることながら、なによりも、それが自国内で使われる製品になったからだ。実際にこの商城でもRIGやレールが多数置かれていたが、ガタが来て音が出るようないわゆる昔ながらの中国製品はただ同然でたたき売られ、先進各国に負けずとも劣らないような最新の高精度の中国製品が、それなりの値段で売られるようになっていた。これは中国の人々にも、きちんとものを見る目が出来てきた、という事である。

teduka2404.jpg 2、3年前なら考えられないことに、RIGやクレーンも普通に店頭で売られていた。特にDSLR動画機材は、大いに盛り上がっていた

こうした変化をもたらしたのは、やはり、DSLR動画の普及という点が大きい。中国はいくら経済発展したとは言え、やはり発展途上国である。その平均収入は、増えたとは言えまだまだ上海ですら年64万円程度で有り、まだまだ100万円を切る収入だ。土地以外の物価が格段に安いので、そうした収入でも実際には日本の平均所得者以上の生活が出来るのだが、それでも輸入品が多い映像機器に関しては、価格帯は日本とそう変わらないという事情があり、年収の数倍に及ぶカメラを買うことは、到底中国一般人民に手が出せるものでは無かった。

そうした経済状況の中登場したDSLR動画は、まさに革命的存在であった。中国の人々でも、ちょっと無理をすれば買える10万円前後の価格帯に、業務レベルの映像機器がやってきたのだ。よく言われることだが、一ヶ月の月収と同額くらいになると、AV機器は一気に普及する。当然DSLR動画は中国でも瞬時にブレイクし、今や、猫も杓子も一眼カメラを持って映像を撮影する時代になっている。豊富なRIG群や、オールドレンズを活用するKIPON社などのレンズマウントアダプターの数々が上海から誕生したのも、こうした背景があってこそのことなのだ。もはや中国でも、フルHD動画は一部の限られたプロだけのものでは無いのだ。

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WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。修士(芸術) 博士課程芸術専攻


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2012-08-07 ]
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