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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.41 今後の映像世界と、人事の難しさ

2014-01-28 掲載

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2014年初回は、今年の映像世界、特に筆者の深く関わる、アニメと映画、特に特撮(SFX)ジャンルの一年を予想し、そこから話を広げて行きたい。

国内回帰が進む外注体制と、海外進出のリセット

OTAKU_vol41_01.jpg 2007年、日中関係が良好で海外外注が最も盛んだった頃の中国の正月(旧正月)

昨今、日本の映像業界、特にアニメやSFXジャンル界隈の景気はだいぶ回復してきている。どん底だった2011年に比べると、企画本数も増え、作業単価も上昇し、常に人手が足りない状況が続いている。その主な理由は、東日本大震災や福島原発事故からの日本経済自体の回復がまず一つ。そしてもう一つの大きな要因が、昨今の日中・日韓関係の悪化、そして途上国の賃金の急激な上昇による業務外注の国内回帰だ。

特に外注業務の国内回帰による効果は覿面で、安くもなく腕前もそこそこでなによりも政治的要因で確実性の低い海外外注よりは、多少高くても腕前が抜群に良く確実性が極めて高い国内企業・個人事業への外注の方が最終コストは安いことが、業界に広く認識されつつある。特に、制作期間が縮む中でのフルHD化とその先の4K化を考えると、リテイクコストが最もリスクが高く、なにかとコスト高になる部分であるので、2014年もこの傾向は変わらず業務の一層の国内回帰が進むと思われる。

OTAKU_vol41_02.jpg 人民解放軍も今ほどぴりぴりして居らず、のんびり雪遊びをして居た。ほんの数年前なのに、この時代がとても懐かしい

とはいえ、中国や韓国は隣国であり関係を完全に絶つ、と言うわけにもいかない。なにより、他の外国に比べ、元は同じ文化圏であった両国はやはり文化的共通点が多く、映像外注などの場合には、文化的すりあわせが少ないというメリットがある。

特に中国はデジタル化後、急速に発展した為技術や機材が総じて最新であり、日本では未だに手作業の部分がデジタル化されて一気にけりを付けられるという側面もある。例えば、日本ではまだまだ導入例が少ないモーションコントロールカメラも、中国では場末のスタジオでも普通に見ることが出来るし、ドローン(ラジコン無人機)による撮影機材はそのほとんどが中国製で、元々中国で実用されているものだ。

筆者の経験で言うと、例えば2009年の小沢一郎大訪中団では、人民大会堂で当時の中国国家主席胡錦濤氏や現国家主席の習近平氏を交えての大記念撮影があったのだが、時間が無い国家主席と国賓(このケースでは日本の国会議員団)のために、撮影は議会内の巨大スタジオにて一発撮りで行われていた。複数カメラでの動きながらのパノラマ同時撮影のため撮り直しは無く、失敗も無い。出来上がった写真を見ると、なんと、写った数百人全員が瞬きせずに目を開けている。これもデジタルが自然に使われている中国ならではで、日本にはあまり導入されていない技術だと言える。

日本だけでは無く、ハリウッドですら、労組の働きかけで本当に最新の技術はなかなか入りにくい側面がある。それに対し、後から来た者のメリットで、中国がこうした最新の技術を既に導入済みであるという点は、やはり注目すべきだ。

OTAKU_vol41_03.jpg 2009年、筆者も参加した小沢一郎大訪中団での人民大会堂での記念写真撮影。中央のカメラが動きながら15秒間撮影する。デジタルならではの一発撮りだ

また、映像作品やキャラクターの中国市場への展開も、やはり改めて考えなければならない時期に来ているだろう。今はまだ、日本文化が強く制限されている同国ではあるが、国同士が険悪になっている今だからこそ文化面での交流は重視されるし、東アジア各国が米国の友好国である以上は戦争をするわけにもいかないため、恐らく今回も改めてそういう文化交流から一步ずつの地道な展開になって行くことだろうと思われる。未成年アイドルのセミヌードでASEAN各国を喜び接待することではなく、それこそが、本来のクールジャパンであるべきだろう。

そう考えると、2014年の映像業界における業務体制は、業務の国内回帰分を捌きつつも、その後半には、中国との関係を再び探り始める時期なのでは無いかと思われる。ただ中国の著しい経済成長を鑑みるに、次の中国との関係は今までのように一方的に日本が中国に外注する形では無くなっているだろう。

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WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2014-01-28 ]
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