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[オタク社長の世界映像紀行]Vol.43 アウトドアと映像世界

2014-03-18 掲載

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筆者は英軍系のRYA(英国王立ヨット協会)の資格を持っていることもあり、また、ナイフや包丁などの刃物を作っている事もあり、なにかとアウトドア関連との接点が多い。なぜPRONEWSでそんな話題を?と思うかも知れないが、昨今の映像革新の影響で、そうしたアウトドアの世界も映像とは無関係では居られなくなっているのだ。

ちょうど、春先には映像やカメラ専門のショーだけでは無く、そうしたアウトドア関連のショーも開かれる。今回は、2014年2月7日から11日に幕張メッセで行われたジャパンキャンピングカーショー2014と、3月6日〜9日にパシフィコ横浜及び横浜ベイサイドマリーナで行われたジャパンインターナショナルボートショー2014の2つのショーから、アウトドア世界と映像との関連を探ってみた。

OTAKU_vol43_01.jpg ジャパンキャンピングカーショーは、幕張で行われた

ジャパンキャンピングカーショーはコンパクト&キュート

何もかもがデジタル化した今、ただの四角い機材車に機材を詰め込んで行くと足りないもの、それは電源とPCの作業環境の確保だ。ホテルのロビーやサービスエリア、ファーストフード店などで周囲に詫びつつPCを立ち上げ、ついでに店員さんに頭を下げ充電もお借りした経験がある人は読者にも多いことだろう。

もちろん、電源は発電機を持ち込めば何とかなるし、少しであれば機材車のシガーソケットからも取れる。しかし、これだけ何もかもデジタル化してしまうと、それだけでは到底足りないし、まさか未公開の作品を人目に付く場所でチェックするわけにも行かない。ホテルをチェックアウトした最終日の撮影後にちょっとチェックしようと思うだけで、電源と作業場所の不足は大問題となる。

そんなときに弊社でも活躍しているのが、実はキャンピングカーだ。サブバッテリーで電力も充分だし、いざとなれば発電機も回せる。作業場所は完全に周囲から隔離して用意できるし、オマケに駐車場所さえ気をつければ冷暖房も完備。キッチンまで付いていて作業中の飲食にも困らない。俳優さんの着替え場所や待機場所にもなるし、もちろん荷物も大量に積める。弊社ではオマケに移動スタジオとしてUST放送までやっている。今後は移動編集スタジオとしての機能も足すつもりだ。

これらは元々米国NABで見た小規模映像会社のキャンピングカーの使い方を参考にしたものなのだ。日本でもかつてバブル期の頃はそういう移動作業所的な使い方をしていた人も多かったと聞く。実際、地方に行くと多くの映像会社がキャンピングカーを仮に固定した事務所であったりするから、実用性もお墨付きだ(実は、弊社が最初に買ったキャンピングカーも、こうした昔ながらのインディーズ映画業兼俳優さんのやっているところから紹介された車種だ)。

キャンピングカーは震災の影響で急速に知られるようになったが、まだまだ日本では認知度の低い車種だ。そのため、普及に向けたイベントは数多く行われている。その中の最大のものが、ジャパンキャンピングカーショーだ。

ジャパンキャンピングカーショーでは、いわゆるモーターショー的な新型車種の展示というだけでなく、実際にその場で契約もどんどん進めるという、これもまた米国的なショースタイルを取っている。そうなると、当然にショーで展示されている車は実際に売れている人気車種ばかりという事になり、一目で業界動向がわかる。

今年の傾向は「コンパクト&キュート」であった。元々、銭湯や日帰り温泉とトイレの充実した日本では、ただ寝る場所だけあれば良いという事情から軽自動車規格のキャンピングカー(軽キャンパー)という要求は強く、今までも様々な車種が出てきていた。特に今年は、昨年11月に行われた東京モーターショーで話題をさらった「スズキ ハスラー」の影響で、軽乗用車の本格SUVの時代が到来したとも言われており、各社、軽自動車規格のキャンパーには力が入っていた。

例えば、トラックの荷台にポンと乗せるだけのトラキャンスタイルでディファクトスタンダード化しているミスティックプランニング社では、軽トラックの荷台を利用しつつも運転席後部をぶち抜いてミニキャブコン化し、しかもそれをキュートにまとめた「Mini Pop Bee」で話題をさらっていた(キャブコンとは、運転席との内部での出入りが可能で、運転中もキャンピング部分に乗車できるシェルタイプの居室を持つ車種のこと)。

OTAKU_vol43_02.jpg 「Mini Pop Bee」はミスティックプランニング社が送り出したキュートな軽キャンパーだ

「Mini Pop Bee」の最大の特徴は、ただの軽キャブコンでは無く、シェル(居室)部分の屋根がポップアップになっていることで、そのため、停車中は非常に広い空間が得られる仕組みだ。もちろん電源なども確保されており、映像用途にも使えるだろう。

この「Mini Pop Bee」は、ただ高機能と言うだけでは無く、カラフルでまたお洒落なデザインに仕上がっている。軽自動車で、しかもこうした所有欲をそそるデザインと言うことは、キャンピングカーが一部のマニアックな金持ちのものでは無くなり、一般化しつつある事の表れだとも言えるだろう。

こうした車種が出てきた反面、数年前まで、一時はポップアップルーフの電動化まで突き進んでいたハイテク路線は影を潜め、手動でのパズル的な楽しみ方をする車が増えた。バンコンと呼ばれるバンの中身だけを就寝可能に改造した簡易的なキャンパーが主流となったのも特徴だ。キャンピングカーと言われるとすぐ頭に思い浮かぶようなゴージャスな外車直輸入の大型キャンパーもあるにはあるが、そうしたステータスシンボル的なものよりも、軽キャンパーやバンコンなどの普段乗りも出来る実用品としてのキャンピングカーに注目が集まっているのは、やはり震災で大いにキャンパーが活躍したその証拠なのかも知れない。

また、発電機類や湯沸かしなどギャレー(台所)回りの充実も特徴だ。震災以前、ギャレーはナンバー取得のための最低限である事が多く、機能は著しく省略される傾向が強かったのだが、小さなキャンパーでも必ず実用的なギャレーは置かれるようになってきた。これも震災の影響だろう。

OTAKU_vol43_03.jpg ホンダの「エネポ」は震災で有名になったカセットガス使用の発電機だ。通常のガソリンのものと異なり、使用前にいちいちガソリンにオイルを混ぜる必要も無く、安心で手軽に使う事が出来る

車載発電機を搭載した車種も増えたが、ポータブルタイプの発電機も種類が多くなった。中でも、ホンダ社が展示していたカセットガスを使った発電機「エネポ」は、発売時期がたまたま震災直前だったことも有り、震災関連の映像で見かけた人も多かったのでは無いだろうか。このエネポと、カセットコンロ、そして省電力のポータブル電子レンジがあれば、キャンピングはもちろん、ある程度の期間の避難生活も送ることが出来る。軽自動車でカセットガスを多用する世界は、昔の山奥の移動別荘というゴージャスな世界とはまた違う風景だが、今のキャンピングカーの世界は実用路線なのだ。

こうして身近になった装備品は、ただキャンプだけではなく、もちろん撮影などでも大いに役立ってくれることだろう。今までは発電機や撮影ベーステントを入れるとなったらかなりの大ごとだったが、こうしたカセット発電機やバンや軽自動車のキャンピングカーであれば、どこにでも気軽に持って行くことも出来る。しかも例えば今回紹介したカセットガス発電機の「エネポ」は正弦波インバーターを搭載しており、実は下手なコンセントよりも綺麗な交流電流を吐き出してくれる。従って900VAまでの制限があるとはいえ、作業用のデスクトップマシンや、それどころか業務モニターを接続しても何も問題が無い(というよりも実はエネポの方がその辺のコンセントよりノイズ無く綺麗に出る)。

我々映像屋は、元々車で長距離を移動しながらの作業が多い業種だ。なのに、こうした優れている装備品が充実して来ているのに使わないのはもったいない。こうした新しい道具を上手に使って映像に生かして行きたいものだ。

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WRITER PROFILE

手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2014-03-18 ]
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