エヌジーシー(東京都中央区)は、7月2~3日に東京・外苑前のスタジアムプレイス青山7F、8Fで内覧会「NGC WORLD 2009」を開催し,取り扱っている最新製品、最新ソリューション群を一堂に集める。入場は無料だが、Webサイトからの事前登録が必要になる。

NGC WORLDは、最新のノンリニア編集/リニア編集システムやビデオサーバーなどで構築するブロードキャストシステムをはじめ、マルチディスプレイやプロジェクター、裸眼立体ディスプレイによるビジュアライゼーション、3DCGアニメーションソフトウェア、デジタルサイネージソリューションなどを紹介する。エヌジーシーは今春、社内組織変更を行ったが、NGC WORLDは、それ以降、最初の内覧会となる。そのため、同社取り扱い製品を整理し、組織変更後の各部の役割を紹介する狙いもある。部署連携によるソリューション展開も披露する。

NGC WORLDの見所は次のようになる。

最新映像制作ソリューションを出展

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Autodesk Lustre 2009 Extention1

エヌジーシーの取り扱い製品・ソリューションのなかでは、もっとも充実したラインアップを持っている分野が、映像編集・制作分野だ。ハイエンド製品としては、オートデスクのVFX・コンポジット製品であるFlame/Flintと編集・フィニッシング製品のSmokeは、最新版2010を展示するほか、カラーグレーディングシステムの最新版Lustre 2009 Extention1も展示する。いずれも、REDCODE RAWやQuickTimeラッパーやAvid DNxHDコーデックなどに対応し、今年のNAB Showで発表されたモデルとなる。ミッドレンジのノンリニア製品ソリューションとしては、アップルのFinal Cut ProベースのターンキーシステムMediaBridge KONA、トムソン・カノープスのEDIUSベースのターンキーHDWSを展示。企業映像から放送・CM映像まで、幅広く対応できるソリューションを示す。

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ターンキーシステムMediaBridge KONA

このほか、リニア編集系ソリューションとしては、高品質な映像を生成できると定評のあるTeranexのビデオコンバーターTeranex VC100/Teranex miniをデモする。

最近注目を集めるステレオスコピック3D映像制作ソリューションへのアプローチも紹介。オートデスク製品とともに、Redroverの立体ディスプレイを組み合わせてステレオスコピックのモニタ環境を構築する。今後は、3DCGの立体視モニタとしても提案していくという。

これらの製品・ソリューションを扱っているのは、映像システム部(BSI部)だ。BSI部の浅野広昭課長は次のように話した。

「以前は、ビジュアルソリューション部のなかに部署がありましたが、今回、映像制作システムソリューションを扱うBSI部として独立しました。リニア/ノンリニア編集システム、コンバーター、立体ディスプレイなど幅広く扱っています。今後は、ハイエンド製品だけでなく、ミッドレンジのノンリニア編集ソリューションにも力を入れていく予定です」

最新液晶マルチディスプレイ環境を展示

「BSI部が独立したことで、VSS部(ビジュアルソリューション営業部)はビジュアライゼーション分野に特化する形でマルチディスプレイやプロジェクターを取り扱っていくことになりました。この分野は、もともと親会社の日商エレクトロニクスが扱ってきたのですが、映像制作やデジタルサイネージとも関連が深く、より連携を取りやすくするために4月から事業移管し、当社で扱うことになりました」

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サムソン製46型液晶パネルによるマルチディスプレイ環境

こう話すのは、VSS部の堀剛課長だ。新しいVSS部になって始めての展示会となるNGC WORLDでは、サムソンの最新液晶ディスプレイを使用した9面マルチディスプレイ環境を構築する。6.7mmベゼルで枠が目立たないことに加え、ハイエンド向けモデルでは、ディスプレイ配置を問わず最大250面まで対応できることが特徴だ。自立可能なフレーム付きで円柱状配置も可能なこと、セッティング時間が短いこと、滑らかなスケーリング機能などもアピールする。

現在、企業や会議場などで使用されているプロジェクター環境は、まだまだHD化が進んでいない状況もある。エヌジーシーではプロジェクター環境の移行についても対応しており、CHRISTIEのHDプロジェクターを出展する予定だ。

開発やトレーニングが充実した3DCG制作を提供

オートデスクの3DCGビジュアルツール群も、NGC WORLDに出展する。ポリゴンモデリングツールとフリーフォームデザインツールを100種類以上搭載するグラファイトモデリングツールセットや、オブジェクトやマテリアルの操作を簡略化するマテリアルエクスプローラなどの新機能を追加して5月にバージョンアップを果たした3DCGアニメーションツール最新版3ds Max 2010を紹介する。このほか、3DCGアニメーションソフトウェアMaya 2009、3DキャラクタアニメーションツールMotion Builder 2009、ブラシベースの3DモデリングツールMudboxなども展示、デモする。

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エヌジーシー内カスタムトレーニングルーム

これらの3DCGビジュアルツールを扱っているのが、コンピューターグラフィックスソリューション部(CGS部)。同部営業課テクニカルサポートグループの森宣智グループリーダーは次のように話した。

「CGS部は、デジタルアドバンストテクノロジー部から、オートデスクの3Dビジュアルツール製品に特化した部署として分かれました。テクニカルサポートはもちろん、ユーザーの開発環境に合わせて、必要なツールを開発するコンサルティング営業も行えることが強みです。カスタムトレーニングにも力を入れており、当社独自のチュートリアルビデオ素材を使用したトレーニングなども提供しています」

汎用性の高いデジタルサイネージシステムを提案

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Saika for Scala

デジタルサイネージソリューションと米NewTek製品を扱っているのがデジタルアドバンストテクノロジー(DAT)部だ。DAT部営業1課がデジタルサイネージ関連、営業2課がNewTek製品を取り扱う。

NGC WORLDでのデジタルサイネージ関連の取り組みは、米SCALAのScala 5を中心に紹介。エヌジーシーが開発したコンテンツ制作サポートツールとして、地図案内サイネージオーサリングツールSignageMapPro、コンテンツにCGをリアルタイムに重ねて視認性を上げるSaika for Scala、Excelと連携した電子案内構築ソフトウェアQuickInfoDisplayをデモする。

DAT部営業1課の山崎剛課長は、デジタルサイネージソリューションについて次のように話した。

「今後のデジタルサイネージは、運用コストを下げることと視認性を上げることが必要になってきます。当社が開発したツール群は、サイネージを導入したユーザーの声を聞きながら、改善するためにはどうしたら良いかという視点で作っています。当社で、サイネージを運用したり、コンテンツ開発をしたりもしていますので、ユーザー視点で欲しい機能を新たに開発して提供できるということが強みです。今後はVSS部との連携も図りながらソリューション展開もしていきます」

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NewTek TriCaster BROADCAST

NewTek製品は、2009 NAB Showで発表されたばかりのマルチチャンネルHD/SDスローモーションリプレイシステム3PLAYを出展する。3チャンネルの同時録画再生が可能なディスクレコーダーで、滑らかなスローモーションを実現できるため、リプレイやハイライト映像を多用するスポーツ中継などに活用できる。このほか、インターネット中継、企業の会議中継/記録や学校の授業やイベント/行事中継への活用が進むワンボックスの番組制作ソリューションTriCasterも出展、デモする。

DAT部営業2課の松尾勝仁氏は、2課の取り組みを次のように話した。

「DAT部2課では、米NewTek製品と、3DCGツールを提供する米Luxology製品を扱っています。NGC WORLDでは、NewTek最新製品の3PLAYを紹介します。TriCasterについては、インターネット中継など解像度に依存しない分野での利用が進んでいます。HD対応製品については今秋登場予定です」

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