引き続き、「第1回ライブ&イベント産業展」からイベント映像演出に欠かせない様々なソリューションを紹介して行こう。

シネ・フォーカス | 3Dホログラムシアターが大人気

ライブ&イベント産業展でもっとも長い来場者の待ち行列ができていたのは、シネ・フォーカスブースの3Dホログラムシアターだ。シネ・フォーカスは、イギリスのミュージョン社と提携していて、3Dホログラム技術の提供を行っている。そして、ブース内の特設ステージではこの技術を使った映像が公開されていた。公開されていたコンテンツは、1つが世界中で話題になったホログラム映像の中から厳選されたエンタメ系とプレゼン系コンテンツを上映する「MUSIONスペシャルデモ」で、もう1つが国内屈指のビートボクサーたちと彼等の分身である3D忍者キャラが繰り広げるバトルパフォーマンスの「ニンクロ×ヒューマンビートボクサー」だ。

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世界最高輝度プロジェクター「BARCO HDQ-2K40」。本体のサイズも大きい

ステージ外では、シネ・フォーカスならではの機材が展示されていた。ブース前面に大々的に展示されていたのが、40,000ルーメンの光出力のDLPプロジェクターBARCO HDQ-2K40だ。国内でも台数が少なく希少な機種で、大規模なプロジェクションマッピングや建造物の投影によく使われる機材だ。そのほかにも、デジタルシネマプロジェクターの最高峰と言われているクリスティ・デジタル・システムズのCP2230が展示されていた。33,000ルーメンの光出力の明るさを実現しているのが特徴だ。

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世界最高峰のデジタルシネマプロジェクター「CP2230」も展示されていた

ユナイテッドスマイルズ | 立体的な光と映像を実現するガラスショーケースシステム「optiglow case」を展示

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ガラスケースと照明、映像投影、音響機能を一体化した新システム「optiglow Case」

独自開発の光と映像のショーケース「optiglow case」が展示されていた。ショーケースの中には、角材が1つ置いてあるだけなのだが、そこにプロジェクションマッピングで演出が始まるとぐっとその世界に引き込まれてしまって動けなくなる人が後を絶たなかった。

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optiglow Caseを使い、木材を置いてプロジェクションマッピングが行われていた

また、ガラス玉を使ってダイヤモンドのような輝きを再現した展示も行われていた。こちらは光を放つダイヤモンドのような輝きを再現したものだ。そして、これらのコンテンツを再生しているショーケースoptiglow caseも特徴だ。optiglow caseから伸びているケーブルはコンセント1本しかなく、基本操作はコンセントの抜き差しのみとなっている。それでいて、ケースだけで映像の送出から投影、音といった演出まで可能にしている。音はケースの下から流れるようになっていて、全部ワンストップで入っている。

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こちらもoptiglow Caseを使って、ガラス玉をダイヤモンドのような輝きに再現した演出が行われていた。ダイヤモンドは光が入って乱反射で反射を繰り返して輝くのだが、その様子まで再現していた

ブースのスタッフは、「3Dプロジェクションマッピングもできて、いろんな照明や映像、音を総合的に観る方に対して感じていただけるようなワンストップのソリューションがあっても面白いんじゃないかなと思って実現しました」とアピールしていた。

エーディテクノ | 映像を遅延や画質の劣化を気にすることなく最長100m伝送可能な「HD-10HPE」が登場

展示会の初日に発表されたばかりのHDbaseT規格を活用したHDMI延長器HD-10HPEが早速展示されていた。HDMIを延長したいといった場合はSDIに変換して行うという方法があるが、ケーブルが重い、価格が高いなどの欠点があった。HD-10HPEは、延長にLANケーブルを使用できるのが特徴だ。LANケーブルであればワンロール買っても100メートル5000円ぐらいで購入することも可能なうえに、取り回しも楽だ。

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HDbaseT規格を活用したHDMI延長器「HD-10HPE」

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TXモデル(写真上)に新しくHDMI出力が搭載された

同社は既にHDMI延長器HD-06HPEを発売しているが、HD-10HPEはその上位機種にあたるモデルだ。HD-06HPEと比べて、伝送距離が1080p60/48bitの信号で60mから100m、4K/2K@30の信号で30mから70mと伸びているほか、映像、音声、イーサネット、電源、制御信号などの5つの異なる伝送方式を1本のLANケーブルで伝送できる5Playにも対応している。

また、入力されたソースを分配出力するHDMI出力端子を送信機に搭載しているのも特徴で、手元の送信機に液晶モニターなどを接続することで表示コンテンツを確認したり、送信機にて分配されたHDMI信号をもう一台のHD-10HPE送信機HDMI端子に入力することで最大5台までデイジーチェーン接続することができる。

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参考出展されていたSDIフレームシンクロナイザー「X_F/S」

参考出展品としてSDIフレームシンクロナイザーX_F/Sも展示されていた。入力はSDIやアナログL・R音声で、リファレンスを入れてできるようになっている。こちらは、プレミアムシリーズとなる「Bridge X」シリーズとして発売予定だ。また、光延長ユニット「M_OTR TX/RX」も参考出展品として展示されていた。SDIを最大10kmまで光で延長できるというものだ。TXは2つのSDI入力と1つのSDI出力、RXは2つのSDI出力と1つのSDI入力を装備している。

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こちらも参考出展されていた光延長ユニット「M_OTR TX/RX」

アスク | TruZoomや3Play 440、TriCasterをアピール

アスクのブースではCorvid UltraとTruZoomを使った4Kの切り出しシステムが展示されていた。キヤノンのEOS C500で撮影をして、それを4K 60pにも対応するCorvid Ultraで受け、4Kの中から好きな範囲を切り出して自由なサイズでHD出力することができるというデモが行われていた。出力は、TruZoomの4Kのフル画面の中から赤枠を指定することにより、HD出力される。赤枠は自由にポジショニングもできるし、サイズも4K全体を指定してHDに縮小して出力することもできる。また、HD以下のような極端に小さく指定した場合はアップコンバートをかけてリアルタイムで出力することができる。

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4Kで入力された映像に対して、TruZoomで赤枠を設定(左画面)。そこの部分がHDで出力される(写真右のモニター)

さらに、バーチャルカメラ的にカメラポジションを仕込むことが可能なのも特徴だ。具体的な例として、タレントが複数人出演するようなバラエティー番組でタレントをピクチャー・イン・ピクチャーで小さく入るといった場合がある。従来、このような場合は各タレントごとにカメラを1台ずつ用意しなければいけなかったが、Corvid Ultraを使ったシステムであれば、あらかじめタレントごとにカメラポジションを設定しておいて、4Kカメラ1台で広く抑えておけばタレントごとのカメラアングルに対応可能といったことも例として紹介していた。

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ブースでのデモの様子。キヤノンのC500で撮影。ワークステーションとCorvid Ultra、ソフトウェアのTruZoom、連番をキャプチャーするための高速なストレージで構成されている

ブースのスタッフは、「今のところ4Kのカメラを導入してみるのだけれども、4Kの素材というのはこれからの放送でまだまだ使い道というのが狭いです。そういう中で4Kのカメラを生かしていく使い方として、今までのHDのワークフローに4Kのカメラを組み入れるとどういったことが必要になるかと考えたときに、このシステムが大いに役立つのではないかと考えています」とアピールをしていた。

アスクのブースでは、インスタントリプレイシステムの「3Play 440」も展示されていた。440の特徴は、キーバーで逆再生ができるようになったことだ。スローモーションもできるし、戻すことも可能だ。こういった操作がリアルタイムで操作ができるようになった。また、4チャンネルマルチでレコーディングすることも可能だ。その各カメラの映像を画面で確認することもできるところも新しいところだ。

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展示されていたインスタントリプレイシステム「3Play 440」

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コントローラーのキーバーで逆再生もできるようになった

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複数のビデオストリームをモニター上に同時に表示させながら、同期を保ったままハードディスクへとキャプチャーすることができる

TriCasterは今年のNABで発表された新製品というわけではないが、MIDIパッドを使ったデモというのをアピールしていた。MIDIパッドにマクロで操作を割り当てて操作することにより便利に使えるというのだ。また、ブースには旋回カメラが設置されていて、旋回カメラのアングルの切り替えが自由にできることも紹介されていた。カメラのアングルをあらかじめプリセットで決めておいて、ボタン1つでそのカメラの位置に振ってくれるといった使い方が便利で、カメラマンが一部いなくても、操作ができるようになっているという。「最近のケーブルテレビのスタジオでは、旋回カメラが3カメ入っていて、アナウンサーの方が一人だけで全部サブからコントロールしてしまうという現場が増えてきていますね」と紹介していた。

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ブースに展示されていたTriCaster

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TriCasterはMIDIパッドに対応。こちらにマクロを割り当てて操作をすると非常に便利だと紹介していた

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PTZカメラコントロール機能を搭載しており、カメラを直接インターフェース上からコントロールすることが可能だ

ジャパンケーブルキャスト | 4Kライブ伝送サービスをアピール

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千代田区にあるジャパンケーブルキャスト社で撮影されている4Kの映像が東京ビッグサイトのブースに伝送されていた

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4KコーデックはNTTエレクトロニクスの「HVD9130」が使われていた

ジャパンケーブルキャストブースでは2つの4Kライブ伝送サービスをアピールしていた。1つがフレッツ回線を使用したリアルタイム4K転送デモ。実際に千代田区にあるジャパンケーブルキャスト社に設置された4Kカメラの映像を東京ビッグサイト内のブースに4Kリアルタイム転送デモを行っていた。4Kのモニターはパナソニックの4K液晶テレビで回線はNTTフレッツという非常にリーズナブルな設備で4Kの伝送ができることをアピールしていた。遅延は1秒ぐらいに設定できるが、安定を重視して同ブースでは2秒の遅延設定で行われていた。

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4Kを非圧縮でリアルタイムに伝送できる「QoolTornado QG70」が使われていた

もう1つ行われていたのが、PFU社の映像伝送装置「QoolTornado QG70」を使った4K非圧縮伝送デモだ。PFU社のブースに設置された4Kカメラからジャパンケーブルキャストブースへ非圧縮による4Kリアルタイム転送のデモも行われていた。こちらはほぼ遅延なしで行える。こういった4K伝送はパブリックビューイングや映画館、公民館、市民文化センターといった人が集まるところに映像を届けるサービスとして今後活用されていくのではないかと期待を寄せていた。

イベント活性化のための展示が行われたブースをダイジェストで紹介

ここまでは最新の演出や技術に関する展示を行ったブースの様子を紹介してきた。しかし、ライブ&イベント産業展はイベント会場の選定や集客につながるイベントのヒントといった展示も大きな柱となっている。PRONEWSで紹介する内容ではないのだが、こちらもダイジェスト的に紹介しよう。

■富士スピードウェイ
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ブースにはレーシングカーが展示されていた

「レースが行われる際にアーティストとのコラボレーションイベントなどをやりませんか?」といった感じに大規模レースとの共催も可能ということをアピールしていた。「とりあえず場所はあるので、なんでもやろうと思えばできてしまいます」と紹介していた通り、なんといっても広さが魅力の会場だ。

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会場の様子を模型にしたものも展示されていた。とにかく敷地が広い

■ココロ
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人体型ロボットは稼動もするようになっていた

ロボットの開発、企画制作、製造、販売、賃貸を行っている企業。「ロボットをレンタルして、イベントを盛り上げませんか?」という提案が行われていた。ブースでは、恐竜ロボット「サーボティラノサウルス」とアクトロイド「DER-3」が展示されていた。サーボティラノサウルスは、実物大の3/5の大きさで、一番人気とのこと。人体型ロボットは、イベントのMC等に使うことができるという。

■円谷プロダクション
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誰もが知っているお馴染みのウルトラマンもアピールしていた

ウルトラマンでお馴染みのプロダクションも出展していた。ヒーローショーや展示、遊具などの案内が行われていた。

■ゴーゴープロダクション
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ブースでは迫力のあるキャラクターダンスショーが行われていた。写真はNBLに所属している日立サンロッカーズ東京のサンディーとキャンディー&ウィンディー

着ぐるみの造型製作、ショーの企画、演出、上演、出演者の派遣などを手がける着ぐるみ専門会社。キャラクターダンスを専門とした国内唯一のキャラクターダンスチーム“Myquee55”のマネジメントなども行っている。ブースでは、プロスポーツチームのマスコットによる出張パフォーマンスなどをアピールしていた。ブースのステージでは、実際にアメリカンフットボールリーグやバスケットボールリーグのキャラクターのダンスパフォーマンスが行われていた。

■ファンファクトリー童夢
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さまざまなイベント用ミニ新幹線がラインナップされていた

ミニSLやイベント会場のアトラクションなどを手がける企業。ミニ新幹線や、キャラクターのミニトレインのレンタルサービスをアピールしていた。ミニトレインはレールを現場に敷いて実際に乗れるという。ミニ新幹線が各種展示されていたが、今人気のモデルを聞いてみると、最高速度320キロ運転を始めたはやぶさのE5系が一番人気とのことだ。その次がこまちのE6系、それから新しく出たかがやきのE7系がじわじわと人気が上がってきているという。


Vol.01 [第1回ライブ&イベント産業展]

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。