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まずは自己紹介をお願いします。

オートバイ好きが高じて地上波の制作プロダクションを退社。現在はフリーでトライアルというオートバイ競技の映像を撮影し、CS放送やビデオで活用しているディレクターです。

トライアル競技について、またどんな撮影をなさるのか教えてください。

トライアルというのは、数十人の選手が5~6時間に渡り野山をオートバイで走るスポーツです。撮る側も選手を追いかけてバイクでオフロードを移動、試合の展開によっては撮影する選手を替えながらのドキュメント撮影となります。もちろん撮り直しは一切出来ない一発勝負です。

競技を撮影するのに必要な条件は?

こういう撮影で必要なのは、とにかくぱっと向けてすぐ撮れる信頼度の高いカメラですね。また世界や日本のトップライダーを追いかけるのですから、激しい移動に耐え、数時間に渡って手持ちで構える事が出来る小さく軽いボディーも必要です。

私の取材は、いわば戦場で歩兵が最前線で戦っているようなもの。カメラは自動小銃と同じで、いつでも確実に、まさに「Shot」できる機能が最優先となります。

これまでどんなカメラをお使いになってきましたか?

これまでは、SONYのDCR-TRV900から始まり、最近ではDSR-PDX10をメインとして使ってきました。しかし世の中のハイビジョン化にともなって「そろそろ仕方あるめえ」ということでまずはHVR-A1Jを購入しました。A1Jに関しては、また別にレポートすることにします。その後かなり悩んだのですが、ついにHVR-V1Jも入手しました。

HVR-A1Jの購入後、なぜHVR-V1Jの購入をためらったのですか?

直接の原因は、このカメラには内蔵マイクが無いことでした。

これまでは、試合中は内蔵マイクでステレオ録音、インタビューの時はガンマイクで周囲の雑音(特にエンジン音)を低減させていました。

ところがHVR-V1Jに付属の外付けマイクはモノラルなので、スポーツ会場のお客さんの歓声など臨場感のあるサウンドが録れないのです。映像がハイビジョンなのにこれではあまりに貧相です。それに、外付けマイクのせいでカメラ全体も大きくなってしまい、小型化をセールスポイントのひとつにしている設計者の意図が理解できません。

音声収録は現在、どのようにされていますか?

マイクについては相談の上で、audio-technicaのAT835STというステレオマイクを使うことにしました。しかし実売で10万円近くするのと、付属のガンマイクより大きくなってしまうのが気になります。また、XLRの5ピンから3ピンを2本に分岐するケーブルも長めに作られているので、少し邪魔に感じることもありますね。

ただこのマイクはステレオ収音もズーム収音もできるので、試合中はステレオ、選手インタビューではズームに切り替えて、という使い方も出来ます。

AT835STの音質や使い勝手も教えてください。

音質はさすがに問題ありません。内蔵マイク付きカメラの音と比べて、MAルームのミキサーの人間がぱっと聞いてわかるくらいの差がありました。

ただこれもやはり移動撮影には向きません。特にAT835STHVR-V1Jに標準付属のガンマイクより全長が長いので、移動中に先端がよく引っかかります。そのため、カメラのマイクホルダーがストレスを受け、ホルダーのゴム部分がちぎれてしまいました。

ソニーに修理に出したら、部品自体は数百円と安いものの、技術料が8,400円と、この値段はちょっと法外に感じます。結局、部品だけ取りよせて、自分で直しました。

その後、AT835STに標準で付いていた風防スポンジをより短いものに変更し、マイクを6センチほど後ろにセットできるようにしました。それからは、このひっかかりの問題は発生しなくなりました。ただマイクケーブルがその分後ろにはみ出してしまうので、テープチェンジの時は邪魔になってしまいます。

HVR-V1Jを持ってみて、大きさ、重さ、バランスはいかがですか?

まず、HVR-V1Jの大きさと重さですが、ワイコンをつけた状態で手持ちで5~6時間構えるのには、ほぼ限界の重さといっていいでしょう。これ以上もう少しでも重ければギブアップですが、今はなんとか翌日右手が筋肉痛になるくらいで耐えられています。

HVR-V1Jの全体的な使用感を教えてください。

グリップの質感やスイッチ類の操作感は、なかなかGood。滑りにくく値段に見合った高級感にあふれています。

困るのは、表側にたくさんのスイッチ類が着いているため、移動中に勝手に動いてしまうこと。とくにXLR端子やNDフィルターのスイッチ類です。今はXLR端子のスイッチはテープで固めています

撮影中の弱点はありますか?

弱点と言えば、NDフィルターのスイッチ類ですね。

撮影場所は炎天下から林の中、建物の中にまで短時間にいくつも移動しますが、NDフィルターはそのたびに操作しなくてはなりません。CMOSセンサーを採用しているせいで、CCDよりも暗部の表現が弱いのもありますが、PDX10にはなかった操作が加わっているのは、非常に煩雑に感じます。

またワイコンに着いているレンズフードは、しっかり固定される部品がないので、移動中に斜めになってしまい、構えた時画面に見切れてしまっている事が何度かありました。雨の日以外は外してしまった方が無難かもしれません。

撮影中に重宝する、またお気に召した点を教えてください。

まず、先に書いたグリップなどの高級感です。それにある程度の大きさがあるため、手持ちでも画面が安定していてしっかりと撮れます。

炎天下でも液晶モニターは明るく、横からのぞき込んだ人が「画面が綺麗ですね」と驚くこともありました。また、ピクチャーモニターで確認すると、実際に撮影された色や輪郭がとてもクリア。背景のボケ方などはまるでスチール写真のようです。

ビューファインダー(VF)も非常に明るく、見やすく設計されているところも好感がもてます。細かいところですが、液晶モニターとVFに、オーディオのレベルメーターが常時表示されるのも大変ありがたいです。音はある意味映像以上に録るのが難しいですが、それをいつも目で確認出来るので安心できます。

ズームの操作感はいかがですか?

ズームの位置は「Z0」から「Z99」までの数字として、ファインダー内に常時表示されます。これまで、「もう少し引きたい」とレバーを操作しても実はもうワイド端ギリギリで、カクっと画面が動いたためかえってそのカットが使えなくなったりすることもありました。これなら数字でどのくらい画角変更が可能か判断できるので、これも助かります。

ズームレバーは、動き出しと停止寸前に少しスピードが落ちる感じで、しっとりした絵作りができます。ただ、端から端までのズーミングに時間がかかるのが困りもの。最大ズームからワイド端へ動かしているうち(あるいやその逆)に被写体が動いてしまい、カット編集が出来なくなってしまうことがあります。

しっとり動くズームも、実はレバーを離してから止まるまで、一瞬時間がかかる設計なので、バイクやライダーの動き出しにぴたっと止めたくてもこぼれてしまうことがあります。ズーミング自体を生かした絵作りは滅多にしないので、もっとギュッギュッと瞬時に動くズームが是非ほしいところです。

参考になるデータがあれば教えてください

光学ズームのワイド端からテレ端まで移動するのに何秒かかるか、手持ちのカメラで比較実測してみたところ、以下のデータがとれました。

HVR-V1J 約2.3秒 (20倍 3.9~78mm) (ハンドグリップ上のレバーでは、最速にしても4.5秒)
DSR-PDX10 約0.8秒 (12倍 3.6~43.2mm)
HVR-A1J 約1.2秒 (10倍 5.1~51mm)  
AG-DVC30 約1.2秒 (16倍 4.1~65.6mm)

こうしてみると、HVR-V1Jのズーム動作が遅いのは、望遠側の移動量が大きいからで、モーターが遅いわけではないようです。ただ倍率を大きくするのなら、1秒程度で端から端まで行ける速いモーターをつけてほしかったところです。

せめてズームリングが機械式で、手動で動かせればいいのですが…。

ソニーのカメラはワイドが弱いといわれますが、このあたりは?

レンズについても、三脚をつけられない取材が多いため、手ぶれする望遠より、広角にして被写体に近づいて撮影することが多いです。ワイコンは純正の0.8倍をつけていますが、これがまたでかくて重い・・・。望遠側はそこそこでいいので、標準でもっと広角を広くしてほしいと思います。

撮影していて、HVR-V1Jのオススメポイントを教えてください。

オートでのホワイトバランス調整が安定していて、撮影中にほとんど狂うことがありません。私がSONYを買ったのは、実はこれが一番のポイントです。

過去、他社のカメラを使った時には、スイッチを切り替えたとたんに画面が青みがかってしまったり、パンやインタビューの途中にも色が変わることがよくありました。そのメーカーに問い合わせたところ、故障ではなくそういう仕様なのだそうです。

撮影の都度、ホワイトを撮り直しロックすればいい事ではありますが、戦場でいつ撮影するかわからない私の状況では、とてもそんな余裕はないのです。

その他、取材・撮影中に工夫なさっていることはありますか?

レインカバーにはPROTECH社のHVR-V1J専用タイプを使っています。これは取材中に雨がぱらつき「あ、やばいかな?」と思ったときでもぱっとつけられる、シンプルでよく考えられた設計です。お値段もほぼ1万円程度とお手頃なのがいいですね。オススメです。

総論をお願いします。

このカメラは旅行番組などで風景や街並みをしっとり撮るときなどは、最高の一台のひとつでしょう。

ただ私としては、もう一段の小型・軽量化、ステレオマイクの内蔵、素早いズームをお願いしたいですね。



このコーナーは、今業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にPRONEWSからお願いをして実機レポートをしていただくコーナーです。

「ここは予想以上に素晴らしかった!」「ここは期待した程ではなかった・・・」等々、メーカーカタログには記載されない、実際に使ってみてどう感じたのか、リアルな声が聞けるかもしれません。

同じ機材でも、レポーターさんの使用目的等によって着目点やその感じ方が違うことも非常に有益な情報になることでしょう。

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