11月に行われたInter BEE 2008で、XH G1/XH A1の第2世代機XH G1S/XH A1Sが発表され、12月11日に発売開始となった。

型番に”S”が付いただけという今回のバージョンアップは、基本的にはハード的な部分よりソフト的な部分が正常進化したという認識で問題はない。しかし、ハード的にも若干のデザイン変更が見られ、カメラをオペレートする際の改善が行われている。例えば、鏡筒部分のF・Z・Eの3本のリングに刻み込まれている溝が若干だが大きくなり、業務用のキヤノンレンズに使われているようなデザインになった。

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筆者的にはこちらのデザインの方が指にしっくりくる。特にズームを操作しながらの微妙なフォーカス送りなどは、明らかに指の掛かり具合の感じが良い。またマイクブラケットもボディ直付けではなく、ダンパー代わりのゴムが1枚入っているために高感度のガンマイクを取り付けてもタッチノイズをそれほど気にする事はないはずだ。こうした細かい変更は、XL H1に”S”が付いたときも全く同じだったことを思い出した。

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「やっぱり」と思ったのは、パワースイッチ(ダイアル)の配列変更だ。G1/A1では、電源OFFの位置から一番近いモードがフルオートだったが、G1S/A1Sはマニュアルが一番近い場所になった。コンシューマーの入門機ならともかく、業務用と銘打っているカメラにフルオートはむしろ無くても良い位。その他の細かいハード的な変更は、キヤノンのWebサイトを参照してほしい。

明るい広角系だが、よりワイドが欲しい

短期間ではあるが、某イベントにXH G1Sを早速持ち込んで使ってみた。通常この手の新機種導入の時は、”万が一”の事も考えてバックアップ的な要素で回すが、ある意味熟成された感があるカメラなので、いきなり本番で使用してみた。結局、オペレートの不具合もなく、何事もなく終わってしまった。やはり、今回のマイナーバージョンアップは、ズバリ”安心感・安定感”の向上だと感じた。何事もなく用意でき、何事もなく撮影し終了する、これが撮影において最も大切だと感じているが、G1Sについてはこれらのことを一切考えなくても良いカメラだと感じた。

同じイベントで、前回はパナソニックAG-HMC155を使用したのだが、1/3型CCDと言う心臓部はほぼ同じなのに、G1Sでは確実に1.5絞りは明るく録ることが出来た。全く同じ照明での比較ではないにしろ、これはもうレンズの違いと言うほか無いだろう。最近のキヤノンレンズは少々疑問符が付くのだが、さすがにこの様な状態ではその性能の高さを感じられる。また波形モニタで詳しく計測したわけではないが、キヤノン特有の”白”がかなり抑えられ、”フラットな白”になっているように感じた。とても感覚的で曖昧な表現になってしまったが、H1ユーザーならこの感覚がわかって貰えるのではないだろうか? 白をわざわざカラコレで追い込まなくてもいいと言えば良いのかもしれない。

改善してもらいたい点を1つあげるならば、やはりレンズ部分だ。レンズメーカーでもあるキヤノンが専用レンズを作ったにもかかわらず、一番大事なワイド端が他の最新機種よりも狭いというのは、やはり納得できない。せっかく他の部分が使いやすくなっているのに、この部分がこれでは少々厳しい。もっとも純正ワイドコンバーターは、専用に作っているだけあって明るい。そういう意味では、まぁ許せる範囲かもしれない。

岡 英史(VIDEONETWORK)

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