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[NIPPON Viewing Travelers]Vol.04 CINEMA AMIGO 海の香りと美味しい食事と、そして映画。親しい仲間が集うシネマカフェ

#NIPPON Viewing Travelers

2013-12-31 掲載

海の香りと美味しい食事。映画を中心としたクリエイターの発信基地

NIPPON_vol4_02.jpg 海岸通りから1本裏手の閑静な地域にある洒落た佇まいの外観が見えます。すぐ近くに市営の広い駐車場もあって便利な場所

都心から約1時間、夏には多くの海水浴客で賑わう神奈川県の湘南海岸。鎌倉、江ノ島(藤沢)、茅ヶ崎と全国区の名所が並ぶ街の中で、その一端にある逗子市は観光産業とともに映画祭やプロジェクションマッピングなど、映像文化で街をもり立てようという動きが活発な街としても有名です。また作家など多くの文化人、芸能人、クリエイターが居を構える、風光明媚で環境のよいところです。

NIPPON_vol4_03.jpg席は20名ほど。上映時間になるとスクリーンが降りて上映が始まる

小さな入り江になっているこぢんまりとした逗子海岸の表通りから一本入った路地沿いに2009年、オシャレなシネマカフェが誕生しました。それが今回ご紹介する「CINEMA AMIGO(シネマアミーゴ)」です。一軒家を改築して作られたという、どこか懐かしいレトロな佇まいの外観。20名ほどの客席がある小さなカフェが、上映時間になると暗幕が下ろされミニシアターに変身します。カフェのみの利用はランチタイムのみで、10:00~、15:00~、17:30~、20:00~と1日4回の映画上映が行われています。

NIPPON_vol4_CINEMA_AMIGO_NAGASHIMA.jpg CINEMA AMIGOのオーナー 長島源氏

このCINEMA AMIGOのオーナーであり、運営母体となっているBASE LLC.のファウンダーでもある長島源氏は、ミュージシャンであり、モデルでもある多彩な人物。ここは長島氏とこのエリアを中心に活躍している多くのクリエイターが集う活動拠点でもあります。これまでの成り立ちとCINEMA AMIGOの魅力についてお話をお聞きしました。

逗子、葉山、鎌倉エリアのクリエイターが集う場

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長島氏:CINEMA AMIGOを立ち上げる前にこの地域の情報発信を様々な形で始めていました。それをまとめるために私とカメラマンとデザイナーの3人で立ち上げたBASE LLC.という合同会社が、このCINEMA AMIGOの運営母体となっています。CINEMA AMIGOはこのエリア(逗子、葉山、鎌倉)の様々なジャンルのクリエイターが集う拠点でもあり、その活動のベースとなる場所として作りました。1階がカフェとシアター、2階がオフィス=クリエイションスペースとなっていて各人の制作をしたり、映像編集をしたりなど各人の工房となっています。

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BASE LLC.はこの「CINEMA AMIGO」を中心に、食文化を発信するフードクリエイターの「AMIGO KITCHEN」、屋外上映の五感体感型シアター「CINEMA CARAVAN」、そして様々なモノ作りの拠点となる「BASE INDUSTRIES」の4つの部門で、それぞれ活動かれています。

長島氏:僕は元々ミュージシャンで、音楽を切り口にした情報発信や人とのつながりというのはこれまでもやってきましたが、それ以上の他ジャンルのクリエイターたちとのつながりを持つためには何を切り口にしたらよいか?と考えたとき、その答えが『映画』だったのです。そこで映画を中心に集まれる場所を作ろうというのが、CINEMA AMIGOを作ったきっかけでした。

だから以前に映画業界にいて映画が好きで映画館を始めました!という人とは根本的に発想が違います。映画上映の他にも音楽のライブイベントもできます。またカフェは「AMIGO KITCHEN」のシェフが日変わりで担当し、毎日メニューも変わります。これは食を中心に創作活動をしているフードクリエイターの発表の場となっています。また文化人も多く住んでいるこのエリアにおいて、映画館が一軒も無いというのもCINEMA AMIGOを作るきっかけの一つでした。

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近隣には唯一、鎌倉のシネマテーク(上映ホールを備えたフィルム・アーカイブ、その組織)として、鎌倉市川喜多映画記念館がありますが、そちらは日本映画の旧作中心に上映されています。CINEMA AMIGOはあくまで新作中心で、国内外作品でドキュメンタリーやドラマなどジャンルも問わず上映されています。

長島氏:上映設備はすべてデジタル上映で、上映素材はDVD、ブルーレイ、DVCAMのいずれかです。いずれはデジタルレコーダーとDLPプロジェクターなどのデジタル上映設備に対応しなければと思いますが、まだまだ機材が高いのとこれからの技術進化を考えて導入時期を検討しています。

作品の配給元は開店以降少しずつ開拓してきましたが、現状では10社程度の配給会社さんを中心にお取り引きさせて頂いています。シアターの客席も20名とキャパシティも小さいので、ほとんどがお互いの信頼関係で(入場者数による)歩合でやらせて頂ける作品や配給会社が中心ですが、監督さんご自身が版権を持っていて直接取引できるような作品が一番好ましいですね。基本は新作中心で、今月(12月)のように逗子フィルムフェスティバル等と連動した期間などでは旧作も上映します。CINEMA AMIGOの上映作品の決定はすべて僕がセレクトしています。映画のテーマによって来て頂ける客層も様々ですが、この辺は昼の時間帯は年配の女性の方が多いので食をテーマにした作品などは人気がありますね。本編上映前に10分ほど予告編を流しますが、例えば何かテーマ性のあるドキュメンタリー作品などは、そのジャンルに興味の無い方でも、その予告編を見せるだけでもメッセージになるのでは?と考えています。

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CINEMA AMIGOでは、ジャンルにとらわれない新作映画で、特に社会風俗、環境、そして人間の心の問題をテーマにしたドキュメンタリーなどを中心に上映されています。さらにここはカフェなので、入場料ではなく大人1,500円という値段も1ドリンク付きのテーブルチャージ料金で観賞でき、飲食をしながら映画を観られるというのもCINEMA AMIGOの売魅力です。本編がはじまる前に注文もできますが、本編上映中でも食事を注文でき、映画を気楽に観られる空間として、ここを好んで来られる方も多いようです。

映画作品をセレクトする役割が重要に

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長島氏:ここの場所的な条件も大きいと思いますが、CINEMA AMIGOに関しては単に作品を観て終わり、というよりもその後に作家のトークショーや交流会があり、関係者と時間と場所を共有できる目的で来ていただくという映画体験としての場所としても使って頂いています。特にドキュメンタリーのような作品はこういうシアターで上映することが望ましいのではないでしょうか?現にここで上映会とトークショーを演られたドキュメンタリー作品の監督さんに、理想的な上映の形だとおっしゃって頂きました。ただし劇作品となると難しいですね。それなりの制作金額が掛かってきますからどうしてもシネコンのようなところで上映をしなくてはなかなか採算がとれないと思いますから。でも自分としては劇映画も好きなのでもっと上映できる作品を増やしていきたいと考えています。

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毎月の上映作品のセレクトも自身で行っているという長島さんですが、CINEMA AMIGOを作る前は単なる一映画ファンだったそうです。ここを立ち上げてからは多くの配給会社と交渉してきた中で、映画業界に対して色々と感じたことも多いようです。

長島氏:多くの配給会社とお付き合いして思うのは、観客にどう見せようか?ということよりも、作家に目が向いている会社が多いということです。作家の作品をどう出して行くかということに注力している配給会社さんが多いですね。

あと強く感じたのは映画の権利の複雑さです。気軽に上映を許可して頂けない理由として、配給会社さん側でも多くの関係者に面倒な手続きを沢山踏まないと上映許可が取れないことが障壁になっているケースも多いと思います。デジタル上映になったことの利点は、映像技師が居なくてもプロジェクター等の上映機材と多少の音響知識があれば、気軽に映画を上映して観れることだと思います。しかしそうした権利関係の複雑さがそれを阻んでいるとすれば、ある意味で業界の利益を守っている部分だとしても、逆にそれによって公開できないというデメリットとどちらが大きいかを判断することは難しいですね。

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デジタル上映が一般的になってきたこの時代、これからの映像作品の配給を考えると、音楽のように作家(監督等)自身が版権を持って、DVDやブルーレイの販売はせずに、CINEMA AMIGOのような場所で上映のみでしか観れないというプレミアム感を持たせた作品というのも今後は有りなのかもしれません。また今の時代、YouTubeやVimeoなど動画専用サイトが世界中ですぐに観られ、人々がすぐに注目できる環境がある中で、すでに「埋もれた名作など存在しないし、あり得ない」と唱える意見があります。そういった状況の中で、これからの映画(映像)作品上映とはどのようなものになっていくとお考えなのでしょうか?

長島氏:もしかすると、今後は映画もセレクターとして整える役割が重要になってくるのかもしれませんね。洋服などファッションのセレクトショップのように、今はあまりにも情報が多すぎて、何が面白くて何が面白くないのか分からないので、あそこに行けば、もしくはあの人が選んだ作品であれば自分の趣味に合う面白い作品が観られる、というプレミアム感をつけて上映していくとか…。

前は水野晴雄さんなどセレクター的な方がいましたが、昔からの映画をセレクトできる今の時代のキュレーターとして有名な方が出てくると面白くなるのではないかなと思います。また音楽業界もいまやCDやライブそのものの売り上げよりもグッズ販売の方が売り上げの主流だったりします。そういう中で大スターやビッグヒットが生まれにくくなっている。映画でもお金をかけた大作などはどんどん撮りにくくなっている中で、次第に映画もそうした方向性に向かって行っているのかもしれませんね。

NIPPON_vol4_12.jpg 歩いて1分で逗子海岸へ…初めて訪れた方でもどこか懐かしいと思わせる景色が広がります

お客の指向性に合わせ、セレクターが選んだ作品を上映する映画館はいまの多様に細分化された指向性をもった時代に、魅力的なコンテンツを適量に配給できる新たな仕組みになるのかもしれません。作家性を見極め、それにふさわしい空間演出もできるセレクターさんが経営する、CINEMA AMIGOのようなシネマカフェがもっと普及すれば、これからの新しい映画鑑賞の形が見えてくる。そんな未来を感じさせて頂きました。


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ViewingLab 未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る


[ Writer : ViewingLab ]
[ DATE : 2013-12-31 ]
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