リトアニアの国営放送局であるLietuvos Nacionalinis Radijas ir Televizija (LRT)では2007年から、文化メディア資産をアーカイブするプロジェクトが進められている。

1950年からのテレビ番組をはじめ、5000時間近い映画など、総合35000時間と試算されているメディアをデジタイズし、自由にWEBから閲覧できるようにする、というもの。今夏までには3000時間もの映画コンテンツデータが準備できているはずだ。

このプロジェクトのテープレス・ワークフローの中心となるシステムとして、米オムネオン社のSpectrumメディアサーバ・システムが採用された。

Spectrumシステムでは、LRTの3つの放送チャンネルを送出や、LRTの総合デジタルアーカイブ用のコンテンツ(テープベース)のインジェストを行う。インジェストフォーマットは、MXF(OP1a)、MPEG-2 4:2:2:@50Mbpsで、SGT社のオートメーションにより、ファイルはテープ・ライブラリへ転送される。編集はApple Final Cut Proで行われるという。

これらアーカイブされたコンテンツは閲覧用として、低解像度にコピーされたものがウェブ上で公開されることになる。LRTは、リトアニアの国営公共放送会社で、公共の3つのテレビチャンネルと3つのラジオステーションを運営している。NHKのように、視聴者からの視聴料と国の税金から運営費が賄われており、運営費全体の75%は国からの基金である。

LRTは1993年1月1日に欧州放送連合のメンバーとして認められた。そのこともあり、このメディア資産のアーカイブ・プロジェクトは文化的に重要であるという見地から、EUからも部分的に基金を受けている。