景気後退のあおりは企業達のNAB出展予算を大幅に削ることになった。例年NABに関わってきた放送事業者達は今後の見通しを含めた予算編成で、催事予算をかなり削られた。

CBSは恒例のエンジニア・ブレックファーストという、朝食をとりながらローカル系列局の技術長たちを集めての技術討論会をキャンセルし、その他のローカル局でも開催するレセプションも多くキャンセルされたという。

キャンセルが相次ぐ中、それでも催事に出展する企業達も、今回はブースを設けずに近くのホテルのひと部屋を借りて行う意向だ。出展社側だけではない。NABに毎年参加していた、放送局の技術スタッフ達も今年は出張費を節約するため、視察をしない方向でいるという。

「昨年は放送局から技術スタッフを11人、ラジオ局側から20人派遣したが、今年は自分自身だけ会議出席のため出向くことになった」と、Coxの技術担当副社長のスターリング・デイビス氏は語っている。

カイロン社のCOO、ケビン・プリンス氏は、今年のNAB2009は25%ほど規模が縮小されるだろうと見込んでいる。「通常だったらNAB会場を利用して打ちあわせもできるポテンシャルも今年は(NABに来ないため)、こちらから各社へ訪問しなければならない。このような負担も波紋で起こってくる。」

ソニー社やHarris社は、NABに来ない人たちのための、「バーチャルNAB」をWebサイトに用意している。しかし、毎年大きな規模のブースを構えていたシスコ社やクォンテル社が今年は見合わせた中、Electronic Arts、Philips 3D Solutions、3ality Digital といった70社もの初出展社企業も現れている。NABのスポークスマン、デニス・ワールトン氏によると、出展社1500-1600社の20%は常に入れ替わっているという。今年はビックネームが出展をキャンセルしたが、この入れ替わりの1つだと考えれば、通常のビジネスサイクルの一環とみなせるとしている。