米ニューオーリンズで開催中のCGカンレンカンファレンスイベントSIGGRAPH 2009で8月3日(現地時間)、オープンでロイヤルティフリーの業界標準API仕様の策定と開発の支援を行うKhronos Group(以下クロノス)が、3Dグラフィックス向けクロスプラットフォームに対応した、グラフィックスAPIであるOpenGLの最新バージョンOpenGL 3.2を発表した。昨年8月にOpenGL 3を発表して以来、12ヵ月で3回目のバージョンアップとなった。OpenGL 3.2は、Webサイトからダウンロード提供される。

OpenGLは、デスクトップ2D/3Dグラフィックス分野で業界内でもっとも幅広く採用されているAPI。OpenGLにより、PCソフトウェア、ワークステーション、スーパーコンピューティング・ハードウェアの開発者が、CAD、コンテンツ制作、エネルギー、エンターテイメント、ゲーム開発、製造、医療、バーチャルリアルティなどの市場向け、高性能グラフィックス・ソフトウェア・アプリケーションの制作が可能となる。

OpenGL 3.2では、性能向上のための機能追加、描画品質の向上、ジオメトリ演算の高速化とともに、Direct3Dアプリケーションの容易な移植にも対応した。OpenGLシェーディング・ランゲージの最新バージョンとなるGLSL 1.5を扱えるようにしたほか、OpenGL 3.2内に2つのプロファイルを定義している。この2つのプロファイルは、新しいアプリケーション向けのコア・プロファイルと、既存のワークステーション・アプリケーション向けに従来のOpenGLとのバックワード・コンパチビリティを提供するコンパチビリティ・プロファイルであり、製品開発者が選択できるようにしていることが特徴だ。

OpenGL 3.2での機能強化ポイントは、(1)CPUとGPU間で共有されたリソースを待つアイドリングを避けるために、バーテックス・アレイおよびフェンス・シンク・オブジェクトのパフォーマンスの向上(2)OpenGLコア内のジオメトリ・シェーダーを含むパイプライン・プログラマビリティの改善(3)シェーダーのテクスチャ・サンプルへのダイレクト処理により、ブーストしたキューブマップの描画品質や、マルチサンプリング・レンダリングへのより柔軟な対応といったものがある。

クロノスでOpen GKLの策定に取り組むOpenGL ARB(Architecture Review Board)ワーキンググループは、OpenGLの将来バージョンへの取り組みも公開。最新のGPUが搭載した最先端グラフィックス機能をOpenGL経由で活用可能にする5つの新ARBエクステンションを定義した。これらのエクステンションは、将来その機能が幅広く採用された段階で、OpenGLの将来バージョンのコアとして搭載される予定。