ベンジャミン・バトン、タイタニックなど、数多くのハリウッド映画の特殊効果を手掛けているCGプロダクションの米デジタルドメインが来年、カナダのバンクーバー(British Columbia)に新しくスタジオを設立することを発表した。

また同社はこの発表と同時に、新設スタジオと米カリフォルニア・ベニスの本拠地の社長として、現在幹部のグロリア・ボーダース女史が就任することを明らかにした。この人事移動により、2拠点の全てのスーパーバイザーおよびプロデューサはボーダース女史に報告、ボーダース女史はCEOのクリフ・プルーマー氏に報告することになる。

ボーダース女史は、デジタルドメインに移る前はドリームワークス・アニメーションにおり、「ターミネーター2」においてサウンド効果編集部門でオスカー受賞、また「フォレスト・ガンプ」でもノミネートされた実績を持つ。

新しく設立されるバンクーバーでは、特殊効果を主体にビジネスを展開していくという。カリフォルニア本社と同じシステムを導入し、プロジェクト共有できるパイプラインが敷かれる。これにより、同じタイムラインにより多くの製作プロジェクトを走らせることができるが、同時に受注を取り合う競合相手となる可能性もあるという。

同スタジオで携わる初めての作品は、現地が撮影現場ともなったディズニーの「Tron:Legacy」だ。こちらは、既にカリフォルニア本社側では作業に取り組んでいる。2010年初旬のオープンを目指し、現在、マネージメントクラスのスタッフを含め、50-60名ほどのデジタル・アーティストを急募している。2010年内には、100名以上に拡張する予定。

カナダは税金から人件費が比較的安いため、各国から同業者が集まってきているという。特にバンクーバーは、ピクサー、ソニー、プライム・フォーカスVFXやテクニカラー傘下のプロダクションなど、デジタル・プロダクションの中心地となりつつある。