米General Electric(GE)は12月3日、傘下のメディア事業NBC Universalを米CATV大手のComcastに実質売却することが発表された。両社はこの合意の下、NBC UniversalとComcastのCATVネットワークやデジタルコンテンツ事業を統合した新企業を設立する。

実は今回の新しい事業展開を発表できるまでには、長い背景がある。GEはNBC Universal株式の80%を保持しており、残り20%はフランスのメディア企業Vivendiが保有していた。Vivendiの存在は、GEとComcastの合意を妨げる大きな障害であったため、長い話し合いの結果、GEは58億ドルを支払ってVivendiの株式を買い戻す合意にたどり着いた。

ComcastはGEに約65億ドルの現金を支払い、株式の51%を保有して新会社の経営を行う。Comcastの最高責任者、ブライアン・ロバート氏は「新しいNBC Universalは、アメリカの国民が望む、マルチプラットフォームによる、いつでもどこでもメディアにアクセスできる、理想的な環境を提供する革新的リーダーを目指す」と新会社の指針を明確にしている。

GEは、新会社の株式の49%を保有するが、今後7年間かけて、持ち分をComcastに売却する意向を示している。新会社はCATV、映画会社Universal Pictures、米3大ネットワークの1つNBC、テーマパークUniversal Studio、デジタルメディア事業などを擁する巨大企業となる。

NBC Universalの事業評価額は300億ドル、Comcastが新会社に統合する事業の評価額は72億5000万ドルに相当するという。取引は両社の取締役会の承認を得ているが、オバマ政権になって初めての巨大企業設立ということで、独禁法当局やFCC(米連邦通信委員会)などの承認を諮る必要がある。