福岡市が主体となって実施する、国内最大規模でもある、総務省地域ICT利活用モデル構築事業「デジタルサイネージ福岡実験」が12月23日より開始された。実施団体は、デジタルサイネージ福岡実験推進協議会。財団法人九州先端科学技術研究所(ISIT)とベンチャー投資会社のインスパイアが参加する。

実験には、デジタルサイネージ・ネットワークをもつCOMEL、ICカードサービスを手がけるシナジーメディアが協力。実験内容は、「まちなかサイネージ」として、鉄道の駅や地下街などに設置されているデジタルサイネージへ、設置場所や時間帯などの特性に合わせた即時性のある情報(防災、観光などの公共情報)を提供し、ホームページや広報誌など既存の広報媒体との連携(クロスメディア)を図る。さらに「バスサイネージ」では、西鉄バスの車内にデジタルサイネージを設置し、様々な公共情報 コンテンツを表示する。

「まちなかサイネージ」には、福岡市内の駅や地下街に設置されているCOMELのデジタルサイネージ「福岡街メディア」の約500台を使い、市民と来訪者に防災や観光の公共情報を提供 し、効果を検証する。福岡都市圏で使われているICカードの利用促進や、デジタルサイネージと連携を狙った非接触型ICカードの実験も実施する。

約500台のデジタルサイネージのうち、7か所、20台にシナジーメディアのICカードリーダ「HONEYTOUCH」を設置。IC機能付き携帯電話をかざすことで詳細情報が入手できるようにする。また、「バスサイネージ」には、エフエム東京(FM東京)が西日本鉄道および西鉄エージェンシーとともに参画。IPパケット形式のデータを放送システムで送信するIPDC(IPデータキャスト)技術を用いて、移動するバス向けに一斉に情報を配信するシステムを構築した(2路線、3車両)。移動体向けに一斉に情報を配信するシステム実験は、日本で初めての試みで世界的にも先進的な取り組みだという。

実験は2010年2月17日まで行う予定。公共情報の広報媒体としてのデジタルサイネージの効果や今後の展開方策について検証していく。