ソニー株式会社は、同社のデジタルシネマ上映システムが、ハリウッドメジャー6社(ウォルト・ディズニー・カンパニー、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、20世紀フォックス、パラマウント・ピクチャーズ、ワーナーブラザーズ、 ユニバーサル・スタジオ)にて構成される業界標準化団体「デジタルシネマ・イニシアティブ(DCI)」の要求仕様に基づくコンプライアンステストを完了し、2011年3月に業界で初めてプロジェクターと上映サーバーを組み合わせたシステムとして正式にDCI仕様に準拠したことを発表した。

DCI仕様はデジタルシネマ映像や上映機器に関する標準仕様を規定している。この仕様では上映システムによる映画コンテンツのセキュリティ保護が重要視されており、デジタル映画コンテンツの暗号化も含めて「デジタルシネマ・パッケージ(DCP)」というフォーマットが規定されている。DCPコンテンツは衛星およびネットワークによる配信かハードディスクに格納されて各劇場へ配給される。別途劇場へ送られる暗号を用いて上映サーバーでコンテンツを複合し、プロジェクターで上映可能となる。さらに上映されるコンテンツには劇場内盗撮防止のため「電子透かし」が埋め込まれるなど、コンテンツの盗難を防ぐためのセキュリティ対策がプロジェクターと上映サーバー内に組み込まれており、海賊版製造を回避する様々な工夫が施されている。

今回同社が受けたコンプライアンステストは映像機器がDCI仕様の通りに動作することを確認する「動作確認テスト」と、それらがDCI仕様の意図したセキュリティ設計になっていることを精査する「デザイン評価」の二つ。DCIの認定テスト機関である慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究センターで行われ、ソニーの「インテグレーテッド・プロジェクションシステム」(4Kデジタルシネマ・プロジェクター SRX-R320およびメディアブロック LMT-300)は、上映システムとして業界に先駆けてDCI仕様として認定された。

ソニーのデジタルシネマ上映システムは北米最大手のRegalシネマズおよびAMCエンターテインメント、北米/南米/欧州に展開するナショナル・アミューズメンツ、欧州のVUEエンターテインメント、日本のTOHOシネマズおよびティ・ジョイなど大手劇場チェーンをはじめとして、多数の映画館チェーンとデジタル化を推進する契約を締結しており、プロジェクターの累計出荷台数は2010年12月末で6500台を記録。2011年3月末には7900台に達する見込みとなっている。

同社では「デジタルシネマ」をプロフェッショナルソリューション事業の主柱の一つと位置付けており、今回のDCI準拠も含め、2013年には全世界でデジタルシネマを累計30,000システム投入し、業界シェアトップの40%獲得を目指すという。