英国放送BBCは、来年ロンドンで開催されるオリンピックの模様を高さ50フィート(15.24m)の大スクリーンにスーパーハイビジョン(SHV)で上映することを明らかにした。HDTVの16倍の解像度約3300万画素(横7680×縦4320ドット)を持つSHVスクリーンはイベントだけのカスタムメイドとなる。

設置されるのは、BBCのグラスゴーにあるパシフィック・クアイビルディング、ロンドンにあるブロードキャスティング・ハウスと、もう一か所は現在交渉中のブラッドフォードにあるナショナル・メディア・ミュージアムの3か所が予定されている。BBCは、1台の広角撮影用カメラを使ってオリンピックのオープニングセレモニーからSHVで上映する予定。同局では、既にスポーツイベントや大規模スタジアムでのイベントで撮影を実験的に行っているという。SHV技術においてNHKと技術開発提携をしており、昨年ではUKの人気バンド「シャーラタンズ(Charlatans)」のコンサートやスコットランドのテコンドーチームの模様を放送した実績がある。

先月末に開催されたメディアガーディアン・エディンバラ国際テレビ祭(MediaGuardian Edinburgh International Television Festival)で、BBCの「London 2012」統括ディレクターであるロジャー・モゼイ氏は、SHVはS3Dよりも長期的に将来性のある技術であると語っている。

シャープはNHKと共同で85インチクラスのSHVテレビを開発しているが、一般家庭で入手できるのは少なくとも2022年以降になると言われている。NHKでは2020年に試験的放送を行う予定としている。

BBCではオリンピック放送の際に史上初の技術を試みることを続けてきた。1948年のロンドンオリンピックでは、テレビ放送する正式放送局となり、1984年のロスアンジェルスオリンピックでは史上初めてHDカメラで収録した(オリンピックをフルHDで放送したのは24年後の北京オリンピックだった)。2012年のロンドンオリンピックでは3D中継放送も実施される。