米Yahoo!(Yahoo)は3月12日(現地時間)、米FacebookがYahooのオンライン広告システムを含む10件の自社特許を侵害したとして、Facebookをカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所(San Jose)に提訴した。

Yahooが19ページにまとめた提訴書類によると、オンライン広告、プライバシー設定、メッセージ、ソーシャル機能、カスタマイズなどの分野で自社が保有する特許をFacebookが侵害したという。

同社は2月に報道関連者へ「Facebookが自社特許を侵害している」と主張、「Facebookにライセンス合意に応じなければ、われわれの権利を保護するための対策に出ることも辞さない」と述べていた。Facebookのスポークスマン、ジョナサン・ソー氏によると、Facebook側はメディアのニュースでこの提訴について知ったという。

Facebookは、この春に上場計画を発表している。Yahooは米Googleが2004年に株式公開をする際も特許侵害を主張した過去があり、この時は株式による和解金支払いで終結した。Facebookのように、株式公開発表後に訴訟を起こされたソーシャルネットワーク系企業はまだ他にもある。しかし、そういった訴訟のほとんどは、ライセンス契約で収益を上げるという目的で知的財産権を買い集める特許買収業者によるものであり、ハイテク業界においてソーシャルメディアが関係する特許訴訟は今回が初となる。

Yahooはメールの声明文で、この訴訟に勝つ自信があると語っている。ソーシャルネットワーク分野やインターネットサービス全体にも特許訴訟が拡大する可能性があると見られている。

Yahooは昨年、米国ディスプレイ広告市場における首位をFacebookに明け渡した。また検索市場でもGoogleには及ばず、売上の成長に影が差している。そういった背景のもと、今年1月に新CEOとしてPayPal(米eBay)よりスコット・トムソン氏を迎え、事業建て直しを踏まえて今回の訴訟に踏み切ったという。

(山下香欧)