米Microsoftは4月16日、NAB2012ショーにてクラウドベースのメディア配信サービス「Windows Azure Media Services」を発表した。

Microsoftの製品だけでなく、他社のプラットフォームを搭載した各種端末を含め、あらゆるデバイスに対応したメディア制作、管理、配信を簡素化するとしている。

Windows Azure Media Servicesでは、サード•パーティのメディア•テクノロジーの包括的なセットを提供することによって、コンテンツプロバイダーやメディア関連企業が、今まで以上に優れたコスト効率と簡単なワークフローで、大容量のデジタルメディアをクラウド上に作成、管理、配信することが可能だとしている。

同社のWindows Azureアプリケーションプラットフォーム担当副社長のスコット・ガスリー氏は、今日のインターネットのトラフィックの1/3以上がビデオ配信にかかっており、これは2015年までには全体の80%までに膨れ上がると予測しているという。Windows Azure Media Servicesでは、企業がその負担を軽減するために構築するカスタムワークフローを構築することをサポートする。Microsoft Smooth Streaming、HTTP Live Streaming、Flashといったフォーマットをサポートし、Microsoftのゲーム機「Xbox 360」、Windows Phone、Windowsのほか、非Microsoftプラットフォームのスマートテレビやセットトップボックス(STB)、Mac OS X、iOS、Androidに向けたメディア配信を行える。

また、カナダDigital Rapids、フランスATEME、米Dolby Laboratoriesのコンテンツ圧縮技術、米Asperaの高速伝送技術、米BuyDRMやオランダCivolutionのコンテンツセキュリティ技術、米Wowza Media Systemsのオンデマンドストリーミング技術や、最新の標準フォーマットMPEG-DASHなどを組み合わせて、カスタムなメディアワークフローの構築を可能とする。

またMicrosoftは、放送事業者やメディア企業向けのリファレンス「Broadcast Reference Architecture」を公開(PDF文書)した。メディア企業がクラウド環境に移行することにより、システム性能管理の強化を実現するためのアーキテクチャである。

同社は、Windows Azureのメディア•サービスの機能を紹介するため、2012年ロンドンオリンピックにおいて、アカマイのdeltatreとタイアップし、欧州、北米、中米、南米の知名な著作権ホルダーを介して高精細ビデオのストリーミングを配信する。 この規模で数百万の視聴者へクラウド・プラットフォームから配信されるのは、「史上初めて」という。

(山下香欧)