スカパーJSAT株式会社は、10月20日に実施した、衛星を使用したJリーグ生中継の4K映像伝送実験が成功したことを発表した。4K対応のデジタルテレビが国内家電メーカーから順次発売される事実、市場に急速に普及する可能性を見据え、ますます注目される4Kライブ放送環境に先導して対応することが、目的のひとつとみられる。

今回の実験では、同社が保有するJCSAT-5A衛星を使用し、仙台で行われたJリーグ試合「ベガルタ仙台 vs 浦和レッズ」の4K解像度のリアルタイム伝送を実施した。

変調方式には国際規格であるDVB-S2の32APSK方式を使用。1衛星中継器あたり回線容量が最大120Mbps と、非常に伝送効率が高いものとなった。撮影現場は、試合が行われた仙台ユアテックスタジアム(宮城県仙台市)にてキヤノン製デジタルシネマカメラ「EOS-C500」で収録し、伝送機材には、アストロデザイン社製のMPEG2-TSマルチプレクサや4K対応HD-SDI/DVIコンバータ、および富士通の4K対応H.264エンコーダ・デコーダ「IP-9610」を採用。映像圧縮はH.264/MPEG-4 AVCで行い、3,840×2,160/59.94pの映像を伝送した。今回はイベントのパブリックビューイングを仮定して、東京・お台場のシネマメディアージュ(東京都港区台場)へ伝送し、ソニーの4Kプロジェクターで投影した。

衛星回線を使用した伝送では、場所を選ばないリアルタイム4K映像等の高伝送速度を要する中継や、複数拠点に対して大容量ファイルを超高速且つ同時に配信することが可能となる。これにより、スポーツをはじめとする各種イベントのパブリックビューイング等の高画質かつ即時性が求められる市場や、コンテンツデリバリー等、同報性が求められる市場に向けて強力なソリューションとなる、と同社は発表文で説明している。

またアストロデザインと富士通は、この4月にも衛星を使った4K映像伝送実験を行っている。

(山下香欧)