先月2日に韓国で予約販売を始めた、韓国のLG電子の55型有機ELテレビの注文数が100台超になったことを受け、パネル部位を供給している韓国LG Display(LGD)側の第8世代(8G、基板サイズ2,200×2,500mm)パネルラインはフル稼働となっている。

LG電子が発表した55型有機ELテレビ”55EM9700″は、リビング用の大型有機ELテレビの市販として世界初。18日から韓国で発売を開始(定価113万円)、米国をはじめ他国でも3月中旬から順次発売をする予定となっている。

LGDでは今後の大型有機ELテレビ市場の成長に備え、そして同社の次世代WRGB OLEDの製造のため、韓国・京畿道坡州市(Paju)のP9工場にあるWRGB方式の有機EL蒸着ラインM2に7063億ウォン(613億円)を投じ、2014年初旬には月産26000シート(ガラス基板投入ベース)で量産を開始することを発表した。先行投資をすることで、有機EL市場の主導権を握るのが狙いと思われる。26000シートという基盤数は、55EM9700であれば14万6千台分になる。

LGDは、既存のRGB方式に白色(White)ピクセルを加えたWRGB方式を用い、量産化に成功した。同社は元々、LG電子とフィリップスの共同出資会社で、現在はLG電子がLGディスプレイ株の38%を保有している。LG電子の55EM9700の製造に注力を注いではいるが、Appleを始め他社からの受注の製造も行っている。

市場調査会社ディスプレイサーチ社によると、OLEDディスプレイ市場は2019には昨年比100倍に当たる440億ドルまで成長するという。現在のOLED市場ではサムスンが70%と圧倒的なシェアを持つ。2番目からは10%以下で日本企業ではパイオニアが4.3%、TDKが4%で、ソニーに関しては0.9%となっている。ちなみにAppleでは、次世代iPhone向けのRetinaディスプレイを超えるパネル技術を見出すために、元LGDにいたイ・ジョンギル博士を採用したことが明らかになっている。

(山下香欧)