このところ、映像編集にまつわる新しいツールを見かけることが少なくなったが、そんな中、今年のNABで今までなかったDITツール「BulletProof」がRed Giantから登場した。

NABでは9日の夕方、インテルブースにあるStudioXperienceにて記者向けに披露会が行われ、またNABに合わせて行われるCPUG Net主催「Supermeet」でもステージにて紹介された。

Red GiantというとNLEやAfter Effects専用プラグインを開発していることで知られるが、今回開発したのは、カメラからポストプロダクションへ渡す前の管理ツールで、スタンドアロンだ。オフロード、バックアップ、ログ、メディアトランスコードと、非常に管理されたワークフローが成し遂げられるというもの。Red Giantは、映画産業第一戦で活躍している製作者達が携わっていることもあり、どのツールも現場目線で開発されたものばかりだ。

率直に言って、BulletProofはDIT(Digital Imaging Technician)ツールで、エディターやポストプロダクションで使うツールではない。しかし、整理された適切なフォーマットでメディアが編集側に来ることは、編集側の時間と予算の負担を軽減することになり、最終的には良い結果を提供することになる。

GoProやDSLRで収録する映画製作者、ビデオグラファーが利用しやすくなっている(現在、Canon DSLR、Nikon DSLRとGoProカメラに対応している)。

BulletProofはタブメニューが4つ(Import-インポート/Organize-オーガナイズ/Review-レビュー/Refine-レファイン/Export-エキスポート)あり、順に作業をしていく。カメラの記録媒体(カード)からソースを選択し、BulletProofカタログへインポートするところから始まる。このカタログにはクリップ自身だけでなくそれぞれのメタデータが記録されるコアな部分となり、DITワークとしてBulletProof上でカラー設定やキーワードといったメタデータを追加していける。

次のタブでプレイリストのオーガナイズ/レビューを行える。Reviewタブでは、各クリップに星印やフラッグでランク付けや、カラーラベル、キーワードといった様々なパラメーターで整理が行える。またマークイン・アウトポイントもつけられる。

130422_BulletProof-refine-tab.jpg

BulletProofのタブメニュー、Refine-レファイン

Refineタブでは、クリップのメタデータを更に編集していける。カラーウィールを使ってカラーコレクションおよびLUTの追加といった色の編集ができるようになっている。このカラーコレクションの処理だけGPUパワーに依存するという。

130422_BulletProof-export_tab.jpg

BulletProofのタブメニュー、Export-エキスポート

すべてが終わったら、Exportタブで編集したグループファイルのタイムコード、フレームレートを設定して任意のフォーマットでエキスポートする。1つの該当グループファイルで、いくつものエキスポートフォーマット(クオリティ、解像度)が選べ、また埋め込むメタデータ、カラー設定もエキスポートフォーマットごとで設定することができ、非常にパワフルなエキスポーターだ。

130422_BulletProof_supportcodec.jpg

BulletProofサポートコーデック

現在BulletProofはMac版のみ、ベータバージョン(トライアルバージョン)として利用することができる。正式リリースは年内、価格は199ドルの予定。

(山下香欧)