スペインのSGO社は、DI+ポストプロダクションシステムMistika Postの最新バージョン7.4をIBC2013で披露する。このバージョンでは新しく、コンポジターとカラリスト両方が利用できる、シェイプ、スタビライザー、モーションスムージング機能を組み合わせた自動形状トラッキングツールが搭載された。スピード編集のために設計されているが、精細なトラッキングパラメータを追求できるようにもなっている。また新しいカラーグレーディング機能では、任意の数のレイヤー全体でカラー合成、変換をリアルタイムで行える。タンジェント・エレメンツのコントロールサーフェイスとシームレスなインターフェイスが取れており、細かいカラーコントロール用の曲線モード、各レイヤーのブレンディングのほか、新しくマスク処理のオプション機能が含まれている。

Mistikaは既にHDから4K、8Kスーパーハイビジョンフォーマットとマルチフォーマットオペレーションに対応している。そして4系統の3G-SDIおよびHDMI1.3もしくは、単一HDMI1.4経由で60fpsのハイフレームレート(HFR)のコンテンツデータに対応できる。今春のNABでも放送事業者向けにアプローチしていたが、ARRIからRED、ソニー、キヤノンなど様々な4Kデジタルカメラと高度並列マルチコーデックに対応し、類のない高速処理環境を実現するという。英BBCの3D放送プロジェクトでは、Mistikaが起用されており、最後の3D番組の1つDoctor Whoの50周年スペシャル番組も現在進行中だ。

ワークフロー全体のオプション機能として、オリジナルのカメラファイルデータの半分のフレームレートで素材をエクスポートし、NLEで編集した後、そのEDLを用いてオリジナルHFR素材をコンフォームできる、プロキシワークフローを展開できるようになっている。

Mistikaは世界初の3D-HFR上映となった「ホビット 思いがけない冒険」の制作のコンフォーム過程でも採用された。ホビット3部作のポストプロダクションPark RoadはSGOとタイアップしてDIコンフォームワークフローの開発を行ってきた。IBC2013が主催するイノベーションアワードでは、コンテンツクリエーション部門において、Park Roadが世界初の3D-HFRポストプロダクションのプロジェクトを手掛けたとしてSGO Mistikaと一緒にノミネートされている。IBC2013でのSGOのブースはホール6のA11。

(山下香欧)