Blackmagic Designの発表によると、本年度のカンヌ国際映画祭で上映されているサスペンス・スリラー映画「Kill Game」の全撮影がBlackmagic Cinema Camera EFで行われ、グレーディングと編集にはDaVinci Resolveが使用されているという。Full Throttle Picturesのマーティ・マーレイ氏がプロデューサーを務めた同映画は、Vantage Media International(VMI)によって配給される予定。

「Kill Game」は、Full Throttle PicturesとAtomic Imagingによる新作ホラー映画で、制作には3台のBlackmagicカメラパッケージが準備された。同映画の監督はロバート・マーンズ氏、撮影監督はアンドリュー・ストラホーン氏が担当した。映画のストーリーは、いたずら好きな高校生グループがある日、度を超えて、一人の生徒を殺してしまい、数年後グループの友人の一人が変死体で発見され、彼らは故郷に帰って来るが、そこで一人、また一人と、グループのメンバーがゆっくりと確実に殺されていくというもの。

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マーンズ監督のビジョンであった極度の残虐性と暗いイメージを表現するため、プロデューサーのマーティ・マーレイ氏と共同プロデューサーのアリ・ゴーラン氏は、ストラホーン氏と相談し、複数のBlackmagic Cinema Cameraをメイン・カメラとして撮影を行った。

マーレイ氏:監督は各ショットのルックに対して、非常に特殊なビジョンを持っていました。監督は映画全体を通して、この高校生たちが直面する闇と恐怖を捉えたいと考えていたんです。この映画には、暗い空と、恐ろしい殺害シーンが必要でした。極端すぎるのは良くありませんが、暴力の残虐性は必ず表現しなければなりません。それを実現するために、広いダイナミックレンジでRAW収録できるカメラが必要だったんです。そのようなカメラなら、監督は可能な限り高品質のデータを収録して、クリエイティビティを存分に発揮できますからね。Blackmagic Cinema Cameraは、私たちが必要としていた機能をすべて兼ね備えていました。そして、画質も信じられないほど素晴らしいものでした。

同映画の撮影には2台のBlackmagic Cinema Cameraが使用され、RAWで収録された。収録されたフッテージはDaVinci Resolveに取り込まれ、基本的なグレーディングが施された後、編集用にProResに変換された。最初の編集が済んだフッテージは、再びDaVinci Resolveに取り込まれ、アリ・ゴーラン氏が最終的なカラーコレクション、フィニッシング、オーディオ調整を行った。

ゴーラン氏:絶対にBlackmagicのカメラを使用したいと思っていました。柔軟なワークフローが可能で、かつ画質も非常に高いですからね。また、撮影しにくい場所で撮る予定もあったので、使うカメラは十分にタフなものである必要があったんです。その点においても、Blackmagicカメラで極めて柔軟に対応できました。RAWファイルとDaVinci Resolveを用いたワークフローはシンプルなものでしたね。私たちはBlackmagicカメラを使用して非常に難しい撮影も行いましたが、始めから終わりまで最高の画質が得られました。

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撮影は困難な場所や過酷な条件下で行うことがあり、また、監督が自身のビジョンを実現するために、アクションシーンを間近に接近して撮影を行った。Blackmagic Cinema Cameraのコンパクトなデザインで、撮影チームはアクションシーンの中に入り込んで撮影を行うことができたという。

ゴーラン氏:タフなカメラで、取り回しも簡単です。撮影が最も難しかったシーンの中に車内からのPOVショットがありましたが、私たちはトランクに無理やり入り込んで、問題なく撮影を行えました。カメラが小さいおかげで、画質が損なわれる心配もなく撮影できたんです。また他のシーンでは、水中撮影の必要があったのですが、カメラの防水ハウジングに漏れがあったんです。しかし、カメラが実際に1/4インチ(約0.6センチ)ほど水に浸っていたにも関わらず、何の問題もなく素晴らしいフッテージが得られたんです。もちろん、カメラが防水カメラであったわけではなく、そのような特性をテストすることをお勧めするわけではありません。しかし、この想定外の“防水テスト”を、Blackmagicカメラはクリアしたんです。

今後は、常にBlackmagicのカメラを使用します。費用以上の画質が得られ、かつマルチカメラ撮影を可能にしてくれますからね。Blackmagicカメラのおかげでクリエイティビティを妥協することなく、監督の持つ「Kill Game」のビジョンを実現し、傑出した映画のイメージが達成できました。

同映画は、今月カンヌで開催されている国際映画祭「 Le Marché du Film」で上映されている。また、2014年トロント国際映画祭や国際ホラー映画際「シュリークフェスト(Shriekfest)」でも上映され、今年中にVMIによって劇場へと配給される予定。