ソニーは今月18日、2015年度からの3カ年の新中期経営計画を発表した。「デバイス」と「ゲーム」、「エンターテインメント」を重点3分野と定め、高収益体質構築に向けた施策の1つとして音響・映像(AV)機器事業を本体から切り離す。赤字体質のスマートフォンとテレビの両事業は収益性を最優先にし、売却も視野に入れる。

同社は2018年3月までに、5,000億円以上の連結営業利益と当期の株主資本10%リターンという自己資本利益率(ROE)を目標に掲げている。事業ごとにROIC(投下資本利益率)の目標値を設定し、資本効率の最大化を図る。2015年3月期連結純損益は1,700億円の赤字の見込み。営業損益は黒字を確保するものの200億円、ROEはマイナス7.4%を予想している。

ソニーは昨年、パーソナルコンピューター事業から撤退し、また7月にテレビ事業を同様に分社化しており、他デバイス事業の分社化も準備が進められているという。

「“ソニー精神”は他ができなかったことを実現すること」と平井一夫最高経営責任者(CEO)は同社の戦略概説で述べており、同日に本社で行った記者会見では「(失敗を)恐れず変革し、高収益企業の実現を目指す」と語った。

携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」は、薄型テレビやスマートフォンなどの分野と同様に市場の進化に遅れをとった。AV事業が扱うウォークマンやブルーレイディスクプレーヤーといった製品は需要の大幅な拡大は見込めないと判断され、今回の決断に至った。10月をめどに子会社化される予定。

ソニーが電機事業を中心にコスト削減や組織の見直しを進めている構造改革は今後も続投する。

(山下香欧)