© WOWOW ©筒井哲也/集英社

Blackmagic Designの発表によると、6月にドラマシリーズおよび映画版が公開された「予告犯」にBlackmagic Pocket Cinema Camera、DaVinci Resolve、ATEM 1 M/E Production Studioが使用されているという。

「予告犯」の原作は筒井哲也氏の人気漫画。Tシャツ姿に新聞紙の頭巾を被った「シンブンシ」と名乗る謎の人物が、法では裁かれずに見過ごされている罪に対してネット上で制裁予告をし、それを実行していく。この謎の予告犯とその正体を追う警察、そして一連の犯行の動機が明かされる。この漫画を原作とした映画版は6月6日に公開され、生田斗真が主演を務めている。

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その映画と連動する形でWOWOWで放送されるのが、ドラマ版「予告犯 -THE PAIN-」である。同作品は映画「予告犯」の1年後の世界を描いている。ドラマ版では東山紀之演じる新たな「シンブンシ」が現れ、以前の予告犯と同じように動画サイトで予告をし、制裁を行っていく。主人公である「シンブンシ」が予告動画を撮影、配信するために劇中で使用するのがBlackmagic Pocket Cinema Cameraだ。様々なアングルから撮影するため、7台のPocket Cinema Cameraが導入され、撮影時にはそれらのカメラで実際に撮影も行っており、劇中で撮影された映像としてドラマ本編でも使用されている。

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撮影監督の相馬大輔氏は次のようにコメントしている。

相馬氏:映画やドラマの劇中で使われるカメラは、予算の関係もあり、古いものが多いのですが、物語の設定は現代なので、今っぽさを演出できるカメラを探していました。さらにPocket Cinema Cameraはコンパクトながら、カメラのスクリーンが大きいため、劇中で何を撮っているかが見やすくてよかったですね。

映画版ではPocket Cinema CameraをMoVIに搭載して、アクションシーンの撮影に使用したという。

相馬氏:大型のカメラでは入れないような場所にPocket Cinema Cameraを持ち込んで、これまで撮れなかったようなアングルの画が撮れました。例えば、渋谷の細い路地で登場人物が走るシーンでは、スタッフのひとりがカメラを背負子に載せて走りながら、撮影しました。

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Pocket Cinema Cameraのコンパクトさを生かして、バイクなどに取り付けて撮影も行われた。ドラマ版のラインプロデューサー、佐藤幹也氏は次のようにコメントしている。

佐藤氏:車が絡むような撮影が、このカメラによってすごく楽になりました。カメラが小さいことで設置場所に融通が利くようになったので、今までだったら、妥協して広角な画でしか撮影できなかったようなシーンも、Pocket Cinema Cameraを使うことでより臨場感のある画が撮れるようになったのです。

また、主人公がインターネット配信で裁判をするという設定だったため、劇中の2台のモニターに映像を送るために、ATEM 1M/E Production Studioが使用された。スタジオに設置されたATEMからPocket Cinema Cameraの出力に字幕をのせた映像と、主人公が配信をする際に使用する資料画像がそれぞれ劇中のモニターに送られた。

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映画版、ドラマ版の両方とも、グレーディングにはDaVinci Resolveを使ってIMAGICAで行われた。

相馬氏:ドラマの劇中で使ったPocket Cinema Cameraの映像は、主人公が撮った映像とわかるように、あえて本編用のAカメラとルックを変えました。ドラマ版では主人公の過去のトラウマのシーンがいくつかでてきます。色を落としたり、ときには、ビビッドな色にしたりと、過去のシーンでもルックを変えています。DaVinci Resolveのおかげで、副題のPAIN(痛み)を色でうまく表現できました。